兵庫県西宮発、小川 悟(Vo / Gt)、島田 将羅(Ba / Cho)、大平 "王将" 雅樹(Gt / Cho)、上羽 一志(Dr / Cho)の4人からなるロックンロールバンド、Slimcatが結成5年目にして待望のファーストフルアルバム『Bleachers』を完成させた。長きに渡ったレコーディングの日々、彼らが全国各地で培ってきたライブの経験と覚悟が濃縮された傑作アルバムについてメンバー全員から話を伺った。【interview:川本俊(下北沢SHELTER)】
──結成の経緯は?
悟(Vo.Gt):5年前に大学の軽音部の歓迎会で席がたまたま一緒になって組みました。洋楽が好きでパートがみんなバラバラで。
将羅(Ba.cho):楽器弾いてる所もお互い見たことなくて。ノリで組みました(笑)。
雅樹(Gt.cho):みんなで閃光ライオットに応募するために組んだんですけど組んだ年に無くなっちゃって。結局そのままズルズルと。
悟:俺らが20歳の時に閃光ライオットは復活したんですけど、もう20歳だったんで応募できなかったんです。
──バンド名の由来は?
悟:バンド名ないまま10ヶ月ぐらい過ごしてたんですけど、名前決めるときに友達とサッカーのゲームやってて。スックソムギットっていうタイの選手を友達がスリムキャットって呼んでて、それを英語にしたらなんか良いなってなって(笑)。
──サッカーが由来ってこと?
将羅:メンバーもバンド名も全部ノリで決まってるんですよ(笑)。
悟:実はスリムキャットってカタカナで調べると色んな意味があって(笑)。当時は検索1位になることを心がけました。
──詳しくは読者の皆さんに調べてもらおう(笑)。
所属のSEEZ RECORDSはシェルターとしても凄くお世話になってるレーベルだけど最年少の所属バンドとしてはどう?
悟:先輩がデカすぎてまだ実感ないです(笑)。go!go!vanillasは文化祭でも先日対バンさせてもらったんですけど、まだまだ遠い存在で。THE BAWDIES 、go!go!vanillasもロックンロールに対する情熱がものすごくて。そういう面も僕たちが引き継いで行けたらと思っています。
──やっぱり2組には影響受けてきた?
一同:大好きですね!
悟: go!go!vanillasのコピーバンドも雅樹と2人でやってたのでSEEZ RECORDSから声かけてもらった時は「すげー!」ってみんなでなりました(笑)。
雅樹:今でももちろんTHE BAWDIES 、go!go!vanillasも機材車でめちゃめちゃ聞いてるんですけど日本のバンドでこんなに出来るんだなって思って。凄くリスペクトしています。BAWDIESもルーツはロックンロールなんですけど沢山の人に響くアレンジだったりして、本当にかっこいいし、僕らも音楽を突き詰めてって先輩2組に負けないようにバンドも成長していきたいです。
将羅:初めて買ったバンTもBAWDIESで、単純に嬉しいです。SEEZ RECORDSは日本のRough Trade Recordsです(笑)。
──結成5年目にして初のフルアルバム「Bleachers」が完成しました。どんなコンセプト、アルバムになりましたか?
悟:まずタイトルの「Bleachers」というのが英語で「観客席」という意味なんですけど、僕は小中高とアメリカに住んでて、アメリカの高校にはアメフトのスタジアムがあるんです。専用のスタジアムですごく立派で。その観客席を「Bleachers」というんですけど、「Bleachers」という言葉には色々使い道があって。サッカー部の僕からすると上下運動する練習場だったり、他の人にとっては集会で使う場所だったり、恋人とイチャイチャする場所だったり、家族が週末にアメフトを観に遊びに行く場所だったり。本当に色々な使い道があるんで、同じ様に今回のアルバムも色んな人にとって色んな意味があって欲しいなっていう思いがあってこのタイトルにしました。ストーリーのような、1本の映画のようなアルバムになってます。
将羅:レコーディングを3ヶ月ぐらいかけて録ったんですけど、みんなで居る時間が本当に長くて。長く一緒にいると仲が悪くなったりするじゃないですか?(笑) でも一緒に居る時間が悪い方向に行くんじゃなくて、凄く良い方向に向かって。その濃厚な良い時間をグッと詰め込めたかと思います。
雅樹:前作のミニアルバムのレコーディングが僕にとって凄く修行の時期で。そこまで音楽も詳しくない状態で弾いたりして、色んなダメ出しもされたり。曲を作るということに対してマイナスなイメージがあったんですけど、今回のフルアルバムを作るにあたって凄く色んな音楽を聴いて、曲ってこんなに楽しく作れるんだって思えて。僕にとっては青春のファーストアルバムになったと思います。
一志(Dr.cho):凄くレコーディングが楽しかったです。そんな僕らの「青春」の楽しさを詰め込むことが出来たと思います。
将羅:しんどくなかったもんな(笑)。
一同:楽しかったよね。
悟:「青春」って誰もが思春期に味わう辛さとか、色んな感情もあると思うんです。それを曲にも反映させてて。アルバム全体を通すと楽しい明るい曲だと思うんですけど、楽しいの裏には切なさもあって。人生常に良い事ことだけじゃないですし。そんな人生の波も青春かなって。
──レコーディング秘話などあれば教えてください。
雅樹:アルバムにSummertimeって曲があるんですけど、冒頭でよく聴くと波の音が入ってるんです。レコーディング終わりの朝6時に小田原の海まで行って、iPhoneのボイスメモで録って。それを活かしたりしました。
悟:音は凄くこだわりました。メンバーみんなの声がしっかり入ってて。マネージャーのリュウさんにも手拍子入れてもらったり。手拍子も色んな音を出すために自分の太ももを強く叩いたりとか(笑)。
将羅:違う音を出すために、みんなでズボン降ろして。
──生身でやったの?(笑)。
将羅:結局いい音出なくて太もも赤くなっただけやった(笑)。
雅樹:あとレコーディングの初日に僕が機材車ぶつけちゃって車の窓ガラスが綺麗に割れちゃいました…だいぶスケジュールが…。
一同:スケジュールと予算が(笑)。
将羅:色々な物が飛び立って行ったよな(笑)。
──大赤字からのレコーディング(笑)。PVもアルバムからForever Young/Killer Boots/Time Machineと3本公開でかなりボリューミーだね。
悟:Killer Bootsは僕が心斎橋を歩いたり、走ったりしてるんですけど、交差点を車が赤信号になった瞬間にダッシュしたりして、周りにたくさん人がいる中での撮影だったのでひたすら恥ずかしかったです。Youtuberだと思われてたみたいで(笑)。
将羅:キレてるおっさんも居たよな(笑)。
悟: Time Machineはシンさんという監督に撮ってもらったんですけど僕ら自身も凄く気に入ってます。
雅樹:Time Machineはライブでも激しいパフォーマンスをする曲で、その雰囲気がPVでも出てて、めちゃくちゃ気に入ってます。撮影スタジオも壁、床、天井、換気扇とかも赤で統一されてて。凄くカッコいいです!
──Time MachineはSlimcatの代表曲でもあるけど今回は撮り直してるんだよね?
悟:そうですね。アレンジは変えてて。何回か録っている曲なんですけど「もうちょっと出来るなぁ」と思っていた所もあって、やっと完成版が録れたなと思っています!