新宿ロフトが2014年より、毎年年末に行ってきた「年末大感謝祭 年末ダヨ!全員集合!!」が今年も12月27日に行なわれる。新宿ロフトのブッカーでもある樋口寛子が、その年に強い繋がりを持ったアーティストたちが年末に今一度大集結。次年度に向けて弾みをつける、いわゆる「新宿ロフト樋口がその年に推してきたアーティスト」の総決起集会的な体を、これまでは魅せていた。
そんな中、5年目にあたる今年はこれまでと主旨を変え、樋口と4人組ロックバンド「メメタァ」がキュレーターとなり行われる。特定のアーティストをキュレーターとして絡めるのは同イベントとしては初。樋口、メメタァ共に来年に向け期待し、且つ「これからのアーティストたち」が多く出演するのも特徴的だ。
実はメメタァもこの「大感謝祭」を経て今に至る部分もあり、このイベントには思い入れも深い。そんな樋口、メメタァ西沢成悟(Vo.)、サンライズ太陽(Dr.)に、今年の開催への流れや出演アーティスト、趣向や当日への意気込み等を訊いた。(interview 池田スカオ和宏)
即答で「お願いします!!」
──今年の「年末大感謝祭」は従来と違い、樋口さんとアーティストとでキュレーションを務めるんですね。
樋口:そうなんです。今年、新宿ロフトが歌舞伎町移転20周年なこともあり、3月から周年のイベントを数多く組んできました。20周年だからこそ、従来通りではなく来年に向けて何か新しい打ち出し方や切り口で今年はやりたいと考えていて。そんな中、「今年自分の中で印象深かったバンドと共にやるのも面白いな…」と。他のライヴハウスでもこのような、その年の集大成的なイベントを行なうんで、それとの差別化もしたかったのとアーティストとキュレーションする企画がこの時期、他にはあまり無かったので「これだ!!」と。
──そんな中、メメタァにその白羽の矢を立てたのは?
樋口:今年はライヴも数多く観たし、インタビューもさせてもらったりと例年に比べてメメタァというバンドやメンバーの人となりが分かった年でもあったんです。このイベントは年末を盛り上げつつ、いかに士気高く来年へと挑めるか? と、私の中でも1年のうちで最も大事にしていているイベントでもあって。そこでパッと思い浮かんだのがメメタァだったんです。
──メメタァ側はこの話を受けていかがでしたか?
西沢:プレッシャーもありましたが、それよりも嬉しさの方が勝っていました。即答で「お願いします!!」と。
太陽:樋口さんから「主にこれからのアーティストとやりたい!!」とのビジョンを聞いていたので、だったら我々もこの1年、若手等とやる機会も多く、それらを実践できる場所と機会をいただけたなって。
西沢:そうそう。会場も大きいし広いしキャパもあるので、当初はロフトから巣立ったバンド等も呼ぼうか…とも考えていました。そうしないと形にならないんじゃないか? って。でも樋口さんのその一言で考えが変わって。まさに自分たちとしても渡りに船でした。
──その「渡りに船」とは?
西沢:これまで後輩に対してあまり先輩らしいことが出来ていなかったので(笑)。ずっと先輩格のバンドとやりたがっていましたが、バンドも10年やってきて、沢山慕ってくれたり、ついてきたりしてくれる後輩バンドも集まってくれて。そんなヤツらが集れる日がようやく作れるゾって。
太陽:ブッキングも若手中心です。加えて、これまで自分たちと一緒に戦ってきてくれたアーティストもバランスよく交えてみました。
面白い出会いが生まれるんじゃないかな
──樋口さんはどうして今回は主に若手をフィーチャーしたかったんですか? 私的にも例年のオールスター感よりも、これからのアーティスト感があります。
樋口:今年みたいにここまでアーティスト数が多いのは初めてですが(笑)、今年は若手で期待できる方がより多い実感が私の中にあって。前々から若手や今後に期待が持てる方々にも多く出てもらっていたところもあったし。半分は私の推すこれからのアーティスト、半分はメメタァの推薦するこれからのアーティスト、そのミックスも、お客さんにとっても出演者にとっても面白い出会いが生まれるんじゃないかなって。
太陽:誘ったアーティストがほとんどOKで。おかげさまでこんな数とラインナップになりました(笑)。
樋口:私の方もほぼ一発でみんなOKでした。
西沢:この「年末大感謝祭」って、去年は都合が合わず出れなかったんですが、毎年凄く気になっているイベントで。去年も「ああ、これも出るのか…」とラインナップを女々しく眺めてました(笑)。
太陽:特にメメタァは新宿にこだわっている面もあるし、いつか新宿ロフトでワンマンをやるのが目標の一つでもあるので。そこで自分たちのイベントが打てるのはやはり感慨深いです。自分たちにとってもいい通過点にしたいなって。
西沢:樋口さんが選んだアーティストさんも、やはり今年樋口さんと一緒にやってきたんだな…って方々ばかりだし、完全に独自のカラーがあるし。従来とはかなり差別化のあるイベントになりそうですね。
樋口:ロフト初出演の方もいるし、何度も出てもらった方もいる。そういった面でもバランスはいいかなと。
──今「新宿で…」なんて話をしてくれましたが、メメタァ側は来年の2月に毎年恒例のメメフェスも控え、日も近く、そことの差別化も必要でしたよね?
西沢:その辺りの差別化は非常に考えました。正直この話をもらった際にも、先に既にメメフェスをやることが決定していたんで、「2つも大丈夫かな…?」との不安はあったんです。けど、いい意味でキチンと棲み分けが出来たなって。
太陽:ロフトの方は自分たちの同世代から後輩。メメフェスの方はそれよりも上の方々も交えてたり。あと、メメフェスは全国のバンドに集まってもらうけど、ロフトは関東近郊のバンドを中心にしました。なので是非両方とも来て欲しいです(笑)。
西沢:地方にライヴに行く度に感じるんです。キチンと結束もして動員もあるし、凄く地元に誇りをもっているバンドが多いな…って。あんな感じを是非関東のバンドたちとも一緒に作り上げたいんです。
来られなかったことを後悔させる
──当日はどんなイベントにしたいですか?
太陽:長丁場だしアーティストも沢山いるので、観る方も大変かもしれませんが、始まったらそんなことすっかり忘れちゃう1日にしたいです。
西沢:あとはバーステージもなかなか侮れないんで。あそこで過去何度もかっこいいバンドを観てきましたから。僕らも何度もやってきたし。あの雰囲気や空間はロフトならではの1つだなって。
樋口:バーステージでしっかりとしたステージを魅せられる方は、やはりホールに移って演っても無敵ですね。肝が座っている方々はステージの大小関係なくどこでやってもキチンと心に残るライヴをやってくれますから。
──最後に今、来ようか? 迷っている方々に、「来いよ!!」的なメッセージをお願いします。
西沢:これまで10年やってきた僕らのベストな日になるでしょうし、これを機にもっとメメタァも注目してもらえる日になるでしょう。出演アーティストにとっても来年に向けて絶対にキッカケとなるだろうし、させる日でもあるので、是非その様を見逃さないで欲しい。来られなかったことを後悔させるイベントにします。
太陽:メメタァや出演するバンドのこれからがキチンと観れるし、想像したり、夢を馳せたりするイベントになるでしょう。実施こそ年末ですが、けっして忘年会じゃなく、むしろ2020年の新年会のつもりでやるので。みなさん是非この会に来て楽しんで色々と出会って下さい。待っています!!