目の前にいる人が敵なんじゃない
──民衆が分断されるのが一番よくないということを分かっていた人ですよね。
佐古:カメジローは「目の前にいる人が敵なんじゃない。その後ろで操っている人間と僕は闘っているんだ」と言っていますが、まさにそういうことですよね。
──象徴的なのは、当時の佐藤首相との国会での対決シーンです。激しい議論の応酬ですが、その一方でどこか心は通じ合っているように見えます。
佐古:このシーンは前作では3分ぐらいの尺でしたが、今回は現存する映像のほぼすべてを入れました。そこまで映画で紡いできた歴史がカメジローのあの時の言葉に回収されていく場面でもあるし、あとはやはり、あそこに立つ二人の姿ですよね。二人の熱のこもったやりとりを聞いていると、今の国会論戦のありようまで考えてしまうような、そういう歴史的な場面です。
──映画だからこそ入れることができたシーンですよね。ドキュメンタリーがテレビ番組から映画になるという流れはいま増えていますが、今後も予定はありますか?
佐古:またチャンスがあればやってみたいです。沖縄の事はもちろん、とりあげるべき人物や事象はまだまだたくさんありますから。