最後に希望が残る作品が好き
──『ヘドウィグ』が今なお支持されているのは何故だと思われますか。
及川:普遍性というのもあると思います。あくまでこれは私の主観なんですけど、一番最後にヘドウィグが残しているものが“希望”だからだと思います。
──確かに。
及川:私は最後に希望が残る作品が好きなんです。
──私も凄く好きな作品なんですけど、自分の中で上手く消化できていない部分があって、なんでだろうと思っていたのですが、今の及川さんの言葉でそのシコリが取れたように思います。
及川:最後にヘドウィグが自分には音楽があるじゃないかというところが、私の人生と被ったところでもあるんです。私も離婚した際に全部失ったと思ったんですけど、書くことが残っていると感じたんです。未来は自分の意志で変えられるんです。なので、私から見ると“愛”が原因になっているけどこれは“希望”の物語だと思っています。
──確かにその通りです。愛の物語という点に焦点が当てられがちですけど、自分で道をつくることができるという希望・未来の物語も普遍的なものでこの作品が支持される部分ですね。金言ありがとうございます。
及川:いえいえ。
──普遍的なテーマを持つ名作であり22年前の作品でミュージカル・映画と何度も再演されているので、物語を知っている方も多いと思いますが。
及川:そうですね。ファンの方には今回はどんな風に変わっているのかを楽しみにしていただければと思います。演出だったり、役者さん達だったり。浦井(健治)くんのファンは浦井くんがどんな風に変わっているんだろうとか、アヴちゃんはミュージシャンなのでどんな風に演技をするんだろうという期待感を皆さんもお持ちだと思います。
──そうですね、新たに上演されることへの期待はあります。
及川:今回は原作に忠実に作っているんです。自由に変換してもいいとプロデューサーから頂いていますが、詞も忠実に逸脱しない形で作詞しています。だからその基本ラインを守りながら、役者のみなさんがそれぞれの役を自分の中に入れて暴れてくれるという期待もあります。そういう部分で今までになかった浦井健治くんやアヴちゃんを見られるんじゃないかと期待していて、私自身も公演を楽しみにしています。