平和ボケでイカれた日本で、 黒人音楽とミクスチャーロックを融合したヤバい音楽のミクスチャーブルースを掲げるNAkidZの初インタビューをした。私も長いことライブハウスシーンで働いているがNAkidZほど、ライブを見ると色々な意味で胸がドキドキするバンドはいない。ステージから西瓜を目掛けてパンチしたり、フロアーで褌になったり、全力で自分達が出せるエンターテイメントに取り組んでいる。昨今では、あまりライブハウスでは、見なくなったライブハウスらしい若者達である。それが良い事なのか悪い事なのかが問題ではなく常に真っ直ぐな活動姿勢を見ていると、なんだか良いなと思う。そんなNAkidZ全員に、今回の4ヶ月連続3マンイベントに対する意気込みやミクスチャーブルースなどの話を聞いた。 そこには、音楽愛に溢れた真っ直ぐなバンドマン達の姿があった。[interview:柳沢英則(新宿LOFT店長 )]
ラブなロックをやりたい
──NAkidZの音楽性はどういう経緯で今に至ったの?
ウエサカ:大学時代はガレージロック…BLANKEY JET CITYとかミッシェルとかの影響を受けてやってたんですけど、やっぱりNAkidZはガレージバンドにしたくないなって思いがどっかにあって。それはスーツ着てガレージをやってる人があまりにも多くて陳腐で、それがどうしてもつまんないなって思ってたので。音楽性は、はガレージと何かを組み合わせて何かをやりたいなって思考になっていきましたね。
──それがNAkidZが掲げてるミクスチャーブルースってことなのかな。こうやって聞いてるとわかるけど、一見したらわかりにくくもあるような気がするけど。
ウエサカ:ミクスチャーロックってのはロックにルーツがあってそれを何かに掛けていくってものだと思ってるんですけど。俺の中ではロックがルーツにあるわけじゃなくてブルースがルーツにあるってのが強くあって。ロックと違うのはブルースはラブを歌う曲なんですよ。ブルースと何かを掛けていって最終的にラブなロックをやりたいなと。で、ミクスチャーって言ったらレイジとレッチリって認識がこの国にはあるなと思ってて。彼らはヒップホップとかとミックスしてやってるけど、この国の認識ではもうレッチリそのものをミクスチャーって言ってる節があって。ヒップホップと同等にミクスチャーってものがジャンルとしてあって。ミクスチャーブルースってのはミックスしてるからそれ、ってことじゃなくて今ミクスチャーって言われてるものとブルースを掛けたものだからミクスチャーブルースなんんです、何言ってるかわからないかも知れないですけど。
──怒りというか強いメッセージ性をNAkidZの曲から感じて、それは今の若いバンドにない強み、良いところだと思うけど、例えば今の音楽シーンに何か言いたいこととかある?
ウエサカ:若い子はこれで夢見れるのかなとは思いますね。マリファナとか暴力事件とかそういう粗相をしてロックスターがTVで謝ってる姿を目の当たりにして、音楽に夢見て音楽をやろうって回路につながるのかなって。ロックバンドも良くないと思うしやるならカッコ良くやれと思うしメディアも取り上げ方も本当に良くないし、音楽のサイクルをどんどん殺されてる気がして俺はそれがすごい嫌で噛みついてやろうとは思います。単純にロックが表に出てないというかロックというより本物が舞台に上がってない感じ。俺が好きなアーティストたちが表に出てない。それは好みなのかも知れないけど、本当に人生かけて信念貫いてるロックバンドがメインステージに立ってないロックフェスが最近多いと思うし、それは単純に俺が信じてたものが評価されてない音楽シーンに憤りを感じますよ。楽しいよ、盛り上がろうよ、みたいなのはもう面白くないなって思ってます。
あれ完成したときは日本がひっくりかえるかと思いました
──7月に出した『マラリア・ドッグス』は映像としても音としても良くできてると思うんだけど、自分たちの手ごたえとしてはどう?
チバ:めちゃくちゃ良い出来だと思います、ライブ映像も入ってるんで、あれを見てくれればわかるかなと。
ウエサカ:でも手ごたえ的には全然足りないです。俺たちとしてはとんでもないものが出てっていう認識でやってるんで。
チバ:もっと見てほしいですね。
カミタニ:あれ完成したときは日本がひっくりかえるかと思いましたもん。
ウエサカ:やっぱもっと集客につながってほしいですね。ライブに来てほしいです。ライブはあの映像を超えるものをやってるって自負してるし俺たちは。あんなもんじゃない。もっと集客につながるべきだとは思います。
──ライブの手ごたえはどうなの?
ウエサカ:それはありますね。チバが俺よりもハシってない、冷静なときは良いライブな気がします。
チバ:それを心がけてはいます。
──ブランキーのインタビューで昔、一番良い状態は全員が自然体なとき、次が皆頑張ってるとき、みたいなこと言ってたよね。
ウエサカ:俺らはセットリストも変えてないしほとんど同じことをやってるけど、当たり前に全くお同じライブは存在しないし、何も考えずに手が動くとか、何も考えずにブレイクが入るとか、そういうのはこのセトリをやり始めてから感じるようになりましたね。
チバ:最初よりどんどん感じ方が変わってますよね。
──配信でMC5の「KICK OUT THE JAMS」をカバーしてるけど、あれを選んだ理由は?
ウエサカ:元々あの曲はプログレに対してテクい音楽なんてクソだみたいなことを言ってるんです、パンクな感じというか。俺たちは音楽シーンに対してkick outしてる感じというか。有名な人が捕まってそのイベントができなくなったりとか作品がどうのこうのとか言われてるのを見てると、皆が言いたいことは俺たちしか言えないなって思いますね。音楽とリフに乗せて俺たちが今言わないとダメだなって。デンジャラスな歌にしたかったです。
──今後のリリース展開とかある?
ウエサカ:まだ公表はしてないけど曲は作ってます。どんどんアウトプットしていかないとなって思います。もう既にスタジオで合わせてる曲でヤバイ曲は幾つもあるけど、早く発表したい、形にしたいですね。
チバ:まだ音源にはなってないですけど、ライブでたまにやるんですよ。基本セットリストは変わらないけど今日はこれやろうって時があるので、要チェックです。
来たら絶対変わると思うし、変えられる自信がある
──下北沢SHELTERで4か月連続企画ってことで相手が先輩ばかりじゃないですか。Radio CalorineもYellow StudsもMAD3も。元々そのバンドたちは知ってると思うけど、どういう印象があった?
ウエサカ:レジェンドというか。ロッケンローサミットで見てた人たちなんで、いつかこの人たちと絶対にやるぞって人たちです。
──自分で組んでおいて自画自賛だけど、本当にライブハウスっぽくていいイベントだなって思う。
チバ:ライブハウスでしかできないことですね。
──こういうイベントができるのがNAkidZの強みだと思う、イキがいい、ライブハウスにいる若者っていうか。この4か月連続企画に対して意気込みを聞かせてもらおうかな。
チバ:とりあえず来てほしい、現場を見てほしいですね。バンドを誰も知らなくてもいい、でも来たら絶対変わると思うし、変えられる自信がある。ライブの良さを知ってもらいたい。
カミタニ:SHELTERは日本で一番のハコだと思ってるんで、そこでnakedして傷跡、爪痕を残さなければいけないと思ってます。その瞬間を見に来てほしいです。
ウエサカ:自ら宣戦布告してるわけですから。何を以て勝ちか何を以て負けかまだわからないですけど、皆に忘れられるようなライブをしてはいけないなという思いはあるので必ず傷跡を残したいなと思ってます。バンドにもそう、オーディエンスにもそう、ライブハウスの人間にもそう。怒られてもいいので傷跡を残すつもりでいます。俺たちの意気込みとしてはそこしかない、皆に傷跡を残すってことです。
──それは皆で楽しみたいってよりも誰かの心に刺さる何かを残したいってこと?
ウエサカ:喜怒哀楽なんでもいいんで何か突き抜けて感情的になってもらわないとNAkidZとして意味がないと思います。普通のライブをやれないので…逆に普通のライブは見れないと思います。
今、言論の自由が許される時代に責任感のある音楽をやろう
──『King passed America.』ってのはどういう意味なの?
ウエサカ:直訳すると、キングはアメリカに殺された。って意味です。4月4日がキング牧師が暗殺された日で。その日にKing passed America.をやり始めたんですよ。だから要は、キング牧師に捧げてるイベントです。何でキング牧師かっていうと、俺たちがインスパイアされた人物であり、最後まで自分の主張を辞めずに死んでいった人。自己主張をするだけで殺される時代と違って、今言論の自由が許される時代に責任感のある音楽をやろう。ってそういう意味をこめてですね。