音楽ライターであり、ABCラジオ『よなよな...なにわ筋カルチャーBOYZ』(木曜10時〜深夜1時)のパーソナリティーの鈴木淳史さん。裏方としての在り方や、ロフトへの想いなどを語っていただきました。5月5日には、ロフトプラスワンウエスト×よなよな...木曜日のW5周年記念ファンミーティングも開催! 彼のカルチャーへのアツい想いとは![interview:松本尚紀/はるな(Loft PlusOne West)]
「格好悪いふられ方」をして“いない”学生時代なのに
──鈴木さんは今どういった媒体で活動をされているのですか?
鈴木:雑誌やウェブのインタビューが主なのですが、『関西ウォーカー』や『Meets』とか、最近であればイープラスの『SPICE(スパイス)』っていうウェブ媒体ですね。あとはレコード会社や事務所から、インタビューやライブレポートを頼まれたり、フェスの即レポなんかもしています。
──音楽関連のインタビューが多いですよね。
鈴木:そうですね、音楽が多いです。でも、もともと『週刊ザテレビジョン』の出身なので、芸人さんや役者さんの取材とかもしていますね。
──小さい頃から芸能に興味があったのでしょうか。
鈴木:はい。すごくテレビっ子でした。僕が小学生の頃にやっていた、アメリカ横断ウルトラクイズという番組があって。一般素人が海外旅行をできたり、ペーパーテスト次第で飛行機から降りられずに帰されるとか、罰ゲームにもユーモアがあって好きでしたね。
──いわゆる良い時代のテレビという感じですね。そんな時に、衝撃を受けた音楽アーティストの方はいますか?
鈴木:中学の頃に、”HIS”(ヒズ)っていう、細野晴臣さん・忌野清志郎さん・坂本冬美さんの音楽ユニットがあったのですが、それまで聞いたことのない音楽ですごく衝撃を受けたのを覚えています。あと当時は、男性シンガーソングライターが流行っていて、大江千里さんの「格好悪いふられ方」っていう歌は、自分の歌だと思って聞いていました。まだ中学生で、ふられたりしたわけでもないんですけど…(笑)。そういう意味では僕のマイノリティの目覚めは大江千里さんでしたね。
パーソナリティを務めるラジオ『よなよな〜なにわ筋カルチャーBOYZ〜』
──ABCラジオ『よなよな』はどういった経緯で始まったのですか?
鈴木:雑誌の仕事をしていて、この人にインタビューしたい! っていう目標みたいなのがあったんですけど、僕の世代でいうとダウンタウンのお二人がそうでしたね。それが2012年にインタビューできたんですよ。その時にやりきっちゃったなぁ、次は何をモチベーションに生きるのかなと思ってたんです。自分の好きな人に取材して“これが素晴らしいですよ”っていうのを伝えるのが仕事ですけど、雑誌も売れない時代になってきていて、テレビやラジオに行かないと意味ないなと。ラジオの方が専門色の濃いものが出来そうなので、ラジオが出来たら良いのにな、とは思っていたんです。
──そして、偶然にもお話がきたという流れでしょうか。
鈴木:そうなんです。「今までともっと違うところで発信できたら良いけど、そんなこと出来るわけないよね」と、後にアシスタントをやってもらう雑誌編集者の原くんとも話していたんですよ。そしたらホントにお話しがきて、という感じです。
──アシスタントの原偉大さんについて教えてください。
鈴木:ラジオをやるってなった時に、僕がメインで、アシスタントは自分で探してくださいっていうことになったんです。それだったらということで原くんに声をかけました。彼は雑誌編集の仕事をしていますし、僕と話が合うとことは分かっている、さらにもともと芸人をやっていたので(お笑いコンビ”線香花火”当時の相方はピース又吉さん)元演者さんだけど、今は業界の裏方仕事をしている彼だったら最適だと思いました。
裏方としての武器のひとつがラジオパーソナリティー
──自分がラジオパーソナリティーとして表に出て、心情や感触はどうでしたか?
鈴木:ゲストコメンテーターとして一つの番組に出て喋るのと、“鈴木淳史の”とメインで3時間毎週喋るっていうのは、当たり前ですが全然違いましたね。僕の場合は構成も任せてもらっているので、全て自分で考えて喋るというのは大変でしたし、僕ごときがメインっていう恥ずかしさもありました。慣れるまでは時間がかかりましたけど、裏方としての発信する武器が増えたっていうのはすごく大きいことだと思っています。
──5年間やってきての反響はどうですか。
鈴木:一年たったくらいから、ラジコで全国どこでも聞けるようになったんですよ。全国にバンドのファンの方はいるので、「あの好きなバンドを私たちと同じテンションで喋ってるラジオ番組がある」っていう広がり方をしたり、業界の間でもそこまで砕けた話すんの? って好意的に受け取ってもらえたので、そういった反響は感じています。
ロフトやカルチャーへの想い
──『よなよな』と同じくロフトプラスワンウエストも5周年を迎えますが、当時のロフトプラスワンウエストの印象はどうでしたか?
鈴木:オープン初日は関係者もたくさん来て、お披露目会のようなイベントでしたよね。その時は異様な興奮感があって、これは何かすごいことが起きるんじゃないかと思いました。喋れる業界人っていっぱい居るんですけど、それをお客さんの前でできるっていう面白い場所ができたなと。東京のロフトでいう、吉田豪さんや杉作J太郎さん、リリーフランキーさんたちのようなカルチャースターが、自分も含めて大阪から生まれるチャンスだなと。自分が出ることによって、いろんなものの良さを伝えられるし、裏方にスポットを当ててくれる、良い実験の場というか、おもしろいと思ったことをやらせてもらえる場所ができたなと思いましたね。
──一貫して"良いものを伝えたい"という想いがありますね。
鈴木:小さい頃から自分の好きなものはみんなに知ってほしいと思っていたんです。こんなにおもしろいものがある! っていうことを共有できる仲間を増やしたいんですよ。おもしろさそのままの濃さで伝えたいなという気持ちです。みんなが熱狂的なカルチャーファンだったら幸せだなとも思っていますね。僕が好きなものはみんなに知ってほしいし、傲慢ではありますけど、自分の好きなものには絶対的な自信があるので。
──ロフトはそういったもの伝える現場として、役割を果たしたいです。昨年4月に行われた、ロフト席亭・平野悠と頭脳警察・PANTAさんのイベントでは進行役を務められていましたね。
鈴木:スーパーレジェンドのお二人とご一緒できて、すごく貴重な経験をさせてもらいました。僕は今41歳なんですけど、お二人からしたらスーパーヤングなんですよ。でも、さらにもっと下の世代に繋げて、平野悠さんやPANTAさん世代の文化に興味を持って、おもしろがってくれる人が増えたら良いなと。アングラでやってるおもしろさを、濃いまんま伝えられたら痛快じゃないですか。
──今後ロフトで共演して話してみたい方はいますか。
鈴木:東京の演者さんと、僕のような大阪の裏方とのトークイベントっていう形でいうと、“古館伊知郎トーキングブルースinロフトプラスワンウエスト”が実現すればお相手させて頂きたいですね。もちろん古館さんにあったハコのキャパもありますし、いろいろ難しいとは思いますが、僕の中ではトークの神様の一人なので。
鈴木淳史の冠イベントがついにロフトプラスワンウエストで実現
──5月5日に行われるW5周年記念イベント『よなよな・・・なにわ筋ゴー!ゴー!カルチャーBOYZ』について教えてください。
鈴木:昨年、他の場所でリスナーミーティングという感じで、リスナーの方の普段聞けないような質問に答えるというイベントをやったんですけど、その時メールやツイートもあまりしない、いわばサイレントリスナーの皆さんが結構集まってくれて。それを年に一回、周年の時にやりたいなとは思っていたんです。それで以前からロフトの松本くんとは何かやりたいと相談してたので、話したらロフト5周年で偶然5月5日が空いていて、やらせて頂くことになりました。僕自身はまだ早いと思っていたんですけど、ダブル5周年ですし、盛り上げたいなと。
──まだ早いというのはどういう心情なのでしょうか。
鈴木:先ほどもお話しましたが、東京で言うと、カルチャースターが何人も出たところじゃないですか。もちろん大阪が盛り上がって欲しいっていうのもあったし、いつか自分の冠イベントでそれを試してみたかったっていうのはありますが、遊び半分ではしたくないという想いはあって…。僕からしたらロフトで自分が主体で出るっていうのは勇気がいるし、憧れの場所なのですごく感慨深いですね。
──そこまで想って頂いて、こちらも更に気が引き締まります! 来て下さる皆さんに伝えたいことはありますか?
鈴木:イベントはチケット代も飲食代もかかることなので、金額以上のものを必ずお届けしたいですね。良い意味で何の規制も無く、濃いまんまで話を伝えられるのが、トークライブの特権ですから。暴露話や裏話ではなくて、普段なかなか話せてない先の話をしたいです。ラジオのオープニングトークのようにダラダラネッチョリお伝えしますが、お気軽にお越しください。