Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE BOY MEETS GIRLS(Rooftop2016年8月号)

「誰も一人ぼっちにしない音楽」、ここにあります!
笑って泣けるノスタルジックポップバンドがふるまう音の鳴る弁当箱、どうぞ召し上がれ!

2016.08.01

サウンドと歌詞にギャップがあるから面白い

──「SUSHI☆ZANMAI」も食べものをテーマにした曲ですが、サウンドだけ聴けばメロウでセンチメンタルな名曲なのに、「シャコの海岸物語」とか「寿司と書いてキセキと読んだ」とか歌詞は遊びたい放題ですよね(笑)。あえてそういうギャップを狙っているんですか。
高島:曲と歌詞の差をつけようって意識はありますね。ふざけた歌詞ではあるんですけど、特に深い意味はないんです。寿司が好きな彼女とケンカして、ご機嫌を取るために寿司屋に連れて行ったのに、彼女が好きなハマチが品切れで余計に仲が悪くなるっていう救いのない歌なんです(笑)。
DOMESTICKS:まぁ、歌詞とのギャップはいつものことですね(笑)。
中野:いつの間にかそういうのを面白いと思えるようになっちゃったんです。
DOMESTICKS:前作の『ONSEN POP WAVE』(2014年12月発表)で高島がシンセを使い出してから、シンセでいろいろ遊べると思ったんでしょうね。最初に「動物ディスコフィーバー」のデモを聴いて、『坂巻通り』の頃みたいな歌ものっぽい作風とあまりに違ったから、「え? 大丈夫!?」って思ったんですよ(笑)。それ以降、「SUSHI☆ZANMAI」みたいな突飛な曲がどんどん出来上がってくるから、むしろいまは楽しみになってるくらいです(笑)。
かつくん:前作に入ってる「SPA NOVA 〜Love伊豆Over〜」も、タイトルはおかしいけど歌詞は意外と真面目な曲なんです。いまは自分たちでもそういうギャップを楽しんでるところがありますね。これも前のアルバムなんですけど、「#262810」と書いて「風呂に入れ」って読ませる曲があって、タイトルこそ面白い感じだけど、輪のなかに群れてぬるま湯に浸かってんじゃねぇよ、みたいな歌詞なんですよ。
高島:ちょっとした反骨心って言うかね。「打ち上げが本番だぜ!」なんてことを言ってるバンドのライブを名古屋で見てすごい覚めちゃって、仲間内でなにぬるいことを言ってんだよと思ったんです。
かつくん:「SUSHI☆ZANMAI」もそんな感じで、ああいうお洒落なシティ・ポップみたいな音楽をただ流行りだけで聴いてる、踊ってるような人たちへの当てこすりにも思えますけどね。こんなふざけた歌詞でも踊らせてやる、みたいな(笑)。
高島:あんな歌詞で踊ってくれたら最高だけどね(笑)。
──なんでも、高島さんは「すしざんまい」の存在を知らずに「SUSHI☆ZANMAI」を書き上げたそうですね(笑)。
DOMESTICKS:「SUSHI☆ZANMAI」が途中まで出来た頃に「この間、『すしざんまい』に行ってきたよ」って高島に言ったら、「え? そういう名前の店があるの!?」って返されたんですよ(笑)。
高島:名古屋ではあまり見かけないんです。なんで「SUSHI☆ZANMAI」って言葉が出てきたんだろう…語呂が良かったんですかね。せっかくだから「すしざんまい」さんと何か一緒にやれたら面白いんですけど、寿司屋でケンカ別れする歌なので難しいでしょうね(笑)。
──ディスコ・タッチの名曲「T.R.F.」は、やはりこのバンド名なら避けては通れぬテーマということだったんですか。
高島:「TRFが好きだからこのバンド名なんですか?」って訊かれることがよくあるんですけど、世代が全然違うんです。小6か中1の頃にMONGOL800とかが流行ってた世代なので。でもあまりによく訊かれるから、これを機にTRFって曲を作ったら面白いと思ったんですよ。ちなみに、ウチのメンバーはJ-POPの影響をけっこう受けていて、「誰も一人ぼっちにしない音楽」を目指す以上、老若男女問わず受け入れられるJ-POP的な分かりやすさは大事だと思ってるんです。
──この「T.R.F.」というタイトルは、「ツイート」「リツイート」「フォローミー」の頭文字だそうですね。
高島:SNSあるあるですね。ネット上でやり取りをしてすれ違うことに傷つくくらいなら、もっと直接会ってコミュニケーションを取ろうよ、って言うか。まぁ、僕も直接言えないからこうして歌詞にしてるんですけど(笑)。
 

ラップや掛け声を盛り込んだキラー・チューン「おさるのジョニー」

──「インスタント旅」はリフを奏でるシンセの音が耳に残るナンバーですが、「アイスクリームポップスター」」でも「SUSHI☆ZANMAI」でもシンセが重要なフックになっているし、いまのTBMGにとって重要なパートを担っていますよね。
高島:しょっぴーのギターとのバランスもあるから、自分の弾くシンセの押し引きを今回はけっこう考えましたけどね。「インスタント旅」はWEEZERみたいなパワーポップのイメージがあったので、コードのリフで押していきたかったんです。そこにちょっと古めのシンセの音を乗せたら気持ちいいかなと思ったので、ああいうイントロになったんですよ。
──「ハッピーソング」は『ゼクシィ』のCMに使われてもおかしくなさそうな、文字通りハッピーなウェディング・ソングですね。
高島:僕らのライブがきっかけで出会って、結婚したカップルの幸せを願って作った曲なんです。
中野:自分たちの周りの友達でも結婚する人が年々増えてるのもあって。
高島:結婚という人生の転機を唄ったウェディング・ソングを作りたいと思っていた時に、ちょうど知り合いのカップルが結婚するという話を聞いて、いいタイミングだなと思ったんですよ。
──「おさるのジョニー」はTBMGなりの壮大な組曲と言うか、情報量がすさまじく多いですよね。心躍るトロピカルな曲調で、構成が一筋縄ではいかなくて、コーラスや掛け声も随所に挟まれていて、かつくんによるラップまであって。
かつくん:言われてみれば詰め込みすぎですよね(笑)。
高島:最初は漠然とトロピカルな曲を作りたかったんですけど、スタジオで適当にギターを弾いてたら「おさるのジョニー」って言葉が不意に出てきたんですよね。
DOMESTICKS:スタジオにいた時点で言ってたもんね。
高島:メロに呼ばれちゃったのかな。「おさるのジョニー」は前作の「動物ディスコフィーバー」の続編なんですよ。「動物ディスコフィーバー」は好きな女の子がいるけど自分は釣り合いが取れないと思ってる男の子が、今夜は頑張ってアタックしようって曲で、「おさるのジョニー」はその後のお話なんです。頑張った甲斐があって、好きな女の子と海に出かけるデートの約束ができたという。この話はまだ続いてるので、三部作になる可能性もあるんですけどね。
かつくん:ホントはこれで終わりになる予定だったんですけど、三部作を期待する声が多くて(笑)。
──ラップを入れるアイディアはどこから来たんですか。
高島:僕らが聴いてきたJ-POPの曲に、よくラップが入ってたのもあるかもしれませんね。「嵐」的な感じと言うか(笑)。
かつくん:「T.R.F.」にもラップが入ってるんですけど、それはORANGE RANGEを意識したんですよ(笑)。
高島:ラップや掛け声を入れたのは、ポップな仕上がりにしたかったからなんです。掛け声を入れればライブでお客さんとコール&レスポンスができるし、分かりやすい言葉をたくさん盛り込めば子どもたちにも唄ってもらえるんじゃないかと思って。
 

とても心強かった9mm滝のサウンド・ディレクション

──ところで、今回は一発録りでレコーディングに臨んだそうですね。
中野:初めてやってみたんです。ギター・ソロとかメインのリフは後でダビングしましたけど、基本は一発で。最近のライブは大ちゃんがピンボーカルになることが多くて、そういう時はギターもシンプルに弾くようにしてるから割とすんなりやれましたね。
──全体的にどのパートも音の鳴りが図太くてパンチがあって、とても良い音をしていると思ったんですが、何か策を講じたんですか。
DOMESTICKS:今回、サウンド・ディレクションという形で9mm Parabellum Bulletの滝(善充)さんに入っていただいて、いろいろとアドバイスをもらったんですよ。各パート、良い音にするにはどうすればいいのか一緒に考えてくれて、すごく心強かったです。
高島:いままで4人の感覚だけでやってきたところに、自分たちにはない感覚を滝さんが持ち込んでくれたのがありがたかったですね。
DOMESTICKS:前作までは、僕のベースは見た目と相反してナチュラルな音、優しい音だったと思うんですよ。それが今回、滝さんに「BIG MUFF」というかなり歪んだ音になるエフェクターを貸していただいたんです。それをベースに使ってみたら、ギターの歪みよりも遥かにすごい轟音が出て、正直「大丈夫かな?」と思ったんですよ。でも、その音をそのまま「アイスクリームポップスター」と「インスタント旅」に使ってみたんです。滝さんも一体どんな音になるんだろう? っていう遊び心があったと思うんですけど、僕にとっても大きな発見でしたね。実際に他のパートと合わさってみると、歪んではいるけどちゃんと持ち上げてもいたので。
高島:滝さんにサウンド・ディレクションをしてもらうことで9mmのエッセンスが入るわけじゃなく、僕らのやりたいことをより引き出してくれるようなアイディアを出してくれたんです。一押ししてくれる加減が絶妙って言うか。
かつくん:滝さんは柔軟さもすごくあるんですよね。「レイニーレイニー」のスネアの音もキーの高さを最初から決めないで、録ってみての良し悪しで判断してくれたりして。
高島:プリプロを滝さんにレコーディングしてもらって、一度ちゃんとした音源で聴けたんです。それで自分たちの曲を客観視できたことも一発録りする上で大きかったですね。ただ、今回は滝さんとの作業についていくのが必死なところもあって、課題点がけっこうあるんですよ。それは次のレコーディングに活かしたいと思ってます。
 
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3rd Mini Album
「OTONARI BENTO BOX」

Sazanga Records SZNG-002
価格:1,600円+税
2016年7月6日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
① アイスクリームポップスター
② T.R.F.
③ インスタント旅
④ SUSHI☆ZANMAI
⑤ レイニーレイニー
⑥ ハッピーソング
⑦ おさるのジョニー

LIVE INFOライブ情報

3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜大阪2マンシリーズ〜』
2016年9月10日(土)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
Guest Band:後日発表!!
OPEN 17:30/START 18:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:LIVE SQUARE 2nd LINE 06-6453-1985
 
3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜東京2マンシリーズ〜』
2016年9月16日(金)渋谷 TSUTAYA O-nest
Guest Band:後日発表!!
OPEN 18:30/START 19:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:TSUTAYA O-nest 03-3462-4420
 
3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜名古屋2マンシリーズ〜』
2016年9月25日(日)名古屋 CLUB UPSET
Guest Band:後日発表!!
OPEN 17:30/START 18:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:CLUB UPSET 052-763-5439
 
OTHERS
2016年8月6日(日)福岡 UTERO【with:about a ROOM/sukida dramas/踊る!ディスコ室町】
Stephen Smith / odol】
2016年8月12日(金)広島 4.14【with:LINE wanna be Anchors/WOMCADOLE/THE PINBALLS/and more...】
2016年8月23日(火)新宿 LOFT【with:マカロニえんぴつ/サイダーガール】
2016年8月27日(土)仙台 CLUB JUNK BOX【with:アンテナ/ヨルニトケル/ひとりぼっち秀吉BAND/みるきーうぇい/鳴ル銅鑼】
2016年8月30日(火)新潟 RIVERST【with:ウラニーノ/Chic Sick/PSYMUSH/仮初のウマシカ】
2016年9月18日(日)新宿 ACB/club SCIENCE/SAMURAI/HOLIDAY/MARZ/Marble/Motion/RUIDO K4/LOFT/LOFT bar【Eggs presents TOKYO CALLING 2016】
 
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