Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューECD インタビュー(Rooftop 2016年1月号)

「なんだ、あいつ」って思われてもそれを跳ね返す力だと思うんですよ、ストリートで生きるってことは

2015.12.25

今のSEALDsの戦い方って、ある意味ピストルズが出てきた時と近い

 
――SEALDsも最前線な存在ですしね。
ECD 何しろ見逃したくないんですよね。結局そこに行きつくんですけど。とにかく新しいものを見たい、行きたい。カウンターに行ったのもそういう気持ちはあったし。
――私もそれはありました。楽しんでるのか?って怒られそうだけど。いや全然楽しくないですし。
ECD もともと楽しいとこに行ってたつもりはないもんね。昔のライブハウスにしても。
――わざわざ怖いとこに行ってるっていう感じでしたもんね。
ECD うん。わざわざ怖いとこに行ってるって思いしかない(笑)。クラブって享楽的にワーキャー言ってるだけって思ってる人には、この感覚はわかんないんだろうな。最初にライブハウスに行き始めた時もそうだし、クラブに行き始めた時もそうだし。カウンターについては……、レイシストの側じゃなくてカウンターの人たちが怖い(笑)。たぶん今、最も怖い人が集まってるのがカウンターなんじゃない?(笑)今は怖い人がライブハウスやクラブにはいなくなったからね。
――ECDさんも怖いと思われてそう(笑)。失礼なこと言ってるけど、そういう歌詞も今作にはあるし。
ECD そういうことですよね。あの歌詞のような緊張感がカウンターに行くと常にある。そうだ、今、思ったんだけど、常に「なんだ、あいつ」って思われてもそれを跳ね返す力だと思うんですよ、ストリートで生きるってことは。日本ってなんだかんだ言って平和で。昔、L.A.でハードコアが出始めた頃、パンクのファッションをしてるだけでボコボコにされた。日本はそこまでの世界はないじゃないですか。でも、だんだんそういう方向に近づいてきてる気はする。左翼ってだけで叩かれたり。
――音楽シーンじゃなくて世の中が。
ECD うん。だって今のSEALDsの戦い方って、ある意味ピストルズが出てきた時と近い戦い方というか。バンドじゃなくてもそういう存在になっちゃって。
――確かに。逆にライブハウスのほうが安全っていう。もっと言っちゃえば、パンクやってても安全っていう。
ECD そうそう。ストリートの生き方っていうのは、今はSEALDsのほうでしょ。
――あぁ、だからこそ今作、音楽の側に立ち奮起しようと…?
ECD いや、そういう意識はないけど。でもね、山崎春美とか香山リカさんとか、80年代にアングラにいた人って、今、国会前やカウンターにも来てたりしてますよね。
 

ラッパーの基本って、どんだけデカいこと言えるかっていうこと

 
――あの、先日、カウンターにも行っているハードコアバンド(UNARM/LOW VISION/COSMIC NEUROSE)のユウスケさんに取材して(TRASH UP!!誌vol.23)、反射神経を持っていたいと。例えばカウンターでも、例えば電車の中で在日の人に絡んでる奴に対してでも。そういう時に怒れる反射神経を持ちたいし、音楽もそうありたいと。音楽も今の時代を捉えたいってことで。ECDさんはずっとそれをやってるんだなって。
ECD そういうのはライブとかやっていて感じることでもあるしね。なんか言われたらどう返すか。
――改めて今作、ヒップホップが好きな人だけじゃなく多くの人がグっとくるアルバムだと思うし、同時にラップの神髄に迫っている。言ってることはストレートで、同時に大きく広がっていく音像で。
ECD エンターテインしていると思います。だから今まではどんどん作って発表していってたけど、今作は評判もいいし自分でも手応えがちょっと今までと違うので、演歌の人みたいに引っ張っていこうかなって欲が出てきてます(笑)。
――あと決意や覚悟を感じるんですよ。強い言葉で。
ECD ラッパーなんでそのぐらいのことは言っておかないと。「最低あと30年はやる予定」とかね、できもしないことを(笑)。
――あぁ、ラッパーってそういうとこありますもんね。強気でガーッと。
ECD 基本はそこですしね。どんだけデカいこと言えるかっていう。あ、それもあるかな。そういう意味の昔ながらのラップ、セルフポースティング、今作にそれが戻ってきてるのは、そういうことを言えなくさせられてる世の中だからかもしれない。現実がハード過ぎてデカいこと言えなくなってきてる。ここはデカいこと言おう、言える場で言わないとマズイんじゃないのって。それもSEALDsの影響があるかな。だって「ホントに止める」「絶対止める」ってコール、今まではなかったよね。あのビッグマウスっていうかポースティングっていうか。確か(SEALDsの)奥田君本人もラップの影響って言ってたと思う。
――だったらラップがやらなきゃですよね。だから原点回帰じゃなくて、やっぱり最前線で最先端なんですよね。
ECD ラップが始まった頃、ラッパーがデカいこと言ってたのは、凄いプレッシャーがあったからだろうなって思う。差別とかね、社会から迫害されて。そういうとこからラッパーたちは出てきたわけで。それに対して政治的な言葉で返すんじゃなくて、「俺が一番だ」ってデカい顔する。そういうアティテュードって、押し潰されそうな圧力を跳ね返したいからで。そういうことを今、僕は感じていたし、欲していたのかもしれないですね。
 
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