KOGA RECORDSを代表するガールズVo.バンド、MIX MARKETとSpecialThanksのスプリット・アルバム『ROCK'N'ROLL』が発売された。『SHELTER QUEST』と銘打たれた福岡・大阪・下北沢の合同ツアーの一部として、2015年2月14日のバレンタインデーには大阪Loft PlusOne Westを舞台に両バンドのフロントマンが初となるトークライブ兼公開インタビューを開催。ご存知の方にはお馴染みの名物金髪社長・KOGA氏も壇上へ上がり、KOGA RECORDS発足から今作の制作秘話、そして話はYUTTy（MIX MARKET）、Misaki（SpecialThanks）の私物にまで及んだ。『SHELTER QUEST』ラスト1となる東京公演は3月7日、SHELTERにて開催！（interview：義村智秋／構成：上里 環［下北沢SHELTER］）
KOGA RECORDS発足まで
──まずは根本的な質問になりますが、KOGA RECORDSはどういった経緯で発足したのでしょうか。
KOGA：もともと僕がVenus Peterっていうバンドをやっていて、現在のインディーズ・レーベルの走りとなったUK Projectに所属していて、僕自身も強くインディーズ・レーベルに憧れを持っていたのですが、ある日、バンドが解散してそこから僕が離れることになったので、「ナニクソファッキュー！」と宣言して自分のレーベルを立ち上げました。初期はデキシード・ザ・エモンズやナンバーガールのファーストをリリースしたり、5年経つ頃にはインディーで目立つ作品をいくつか世に出すことができました。もっとも、個人的に聴いて欲しいものをリリースし続けていたので、ヒットすることは結果論でしかないのですが。女の子好きが高じてガールズ系も多いですし、ジャンルは問いませんがバンドが好きなので今時のアイドルだけは分かりません。大阪だと、4月に「そこに鳴る」というバンドをリリースします。
──なるほど。今日お招きしたMIX MARKET、SpecialThanksとの出会いはいつ頃だったんですか？
KOGA：POTSHOTやKEMURIといったスカパンクのレーベルが全盛だった頃に、知人のレコード屋さんに紹介されたのがMIX MARKETだったんです。RYOJI君（ex.POTSHOT）のレーベルのV.A収録曲が最初の出会いです。気に入ったんでRYOJI君に相談してライブを見に行きました。
YUTTy：KOGAさんがそのV.Aのレコ発に来てくれて、その場でリリースの話をもらったんでその場で快諾しました。
KOGA：演奏も下手くそだったんだけどさ（笑）。
YUTTy：当時は「なんでこのバンドをリリースするの？」って周りに言われてましたよね（笑）。
KOGA：特にインディーズという畑では「下手」も立派な特徴のひとつになり得ると思うんですね。それが個性だと思ってその後もリリースし続けたんですが、毎回きちんと5,000枚ずつ売れたという結果は自分でも驚きました。「俺そんなつもりなかったんだけど」みたいな（笑）。
──想定外の反響だったんですね。SpecialThanksとはどうだったんですか？
Misaki：私の地元の愛知県にMIX MARKETがレコ発ツアーで来る時に、名古屋HUCK FINNの店長さんが「出ない？」って声をかけてくれたんです。私は当時、高校2年生だったんですけど、今回のアルバムでもカバーさせてもらったMIX MARKETの「our ideas」が大好きでよく学校の帰りに聴いていたので、二つ返事で「出る！」と伝えました。SpecialThanksも凄く演奏が下手で…（笑）。
KOGA：MIX MARKETよりも遥かに下手くそだったね（笑）。凄いガキンチョがバンドをやっているなーという印象で、特に気にせずDJで流す曲を選んでいたのですが、演奏が始まって3秒後には全身に鳥肌が立って。演奏は確かにひどいんだけど、歌に惹き付ける魅力があったんです。メロコアの匂いもありつつもどこかしらメジャーがついているのでは？ と思いましたが、周りに聞いてもフリーの状態だったので、そこの店長に頼んで紹介してもらったんです。そこでまず紹介されたのが、なんとMisakiのお母ちゃんだった（笑）。
Misaki：高校生だったんで。
KOGA：僕はライブを見たその場でリリースを決めるタイプなんですよ。だからお母さんにすぐにその話をして。社長である僕がライブを見たその場でリリースを決定できるのが個人インディーズ・レーベルの強みだと思う。
Misaki：実はその日、メジャーの方にも声をかけられたのですが、やっぱりMIX MARKETが好きだったのでKOGA RECORDSを選ぶことにしたんです。
YUTTy：KOGA RECORDS内の女の子は結構つながることが多いんです。
遂に叶ったコラボレーション
──そんな出会いから随分時を経てスプリット・アルバム『ROCK'N'ROLL』がリリースされたわけですが、なぜこのタイミングなのでしょうか。
YUTTy：タイミングとかはあんまり関係ないですよね。SpecialThanksのワンマンが東京であった時にMIX MARKETのメンバーで遊びに行って、その打ち上げの場で「一緒になんかロックンロールなことやりたいよね」って盛り上がったんで、すぐそばで酔っぱらっていたKOGAさんに「出していいですか？」って頼みに行ったら「いいよー！」って即決でした（笑）。
──KOGAさんはそのことを覚えているんですか？（笑）
KOGA：覚えてないよ。俺が酔っぱらっている時にリリースの話を持ってくれば、だいたい決まります。
Misaki：それからはトントン拍子に話が進んで、思ったより早くリリースすることができました。
YUTTy：今まで他の女の子と何か一緒にやるということはなかったんですけど、SpecialThanksとはやっぱり気が合うんだと思います。さっき楽屋で発覚したんですが、Misakiちゃんとはケータイの色やメイクの道具や歯ブラシなど、私物も同じだったんです。
──それは凄い！（笑） それでは作品をご自身で振り返ってみてどうですか？
Misaki：「最高」の一言に尽きます。
YUTTy：やっぱり今ツアーが始まってみて感じるのは、何よりライブで「ロックンロールダンス」をやった時のお客さんの一体感の凄さですね。Misakiちゃんが作った原曲をMIX MARKETで練って、Misakiちゃんに戻して、という作業を繰り返して出来た曲なので、お互いの好きなものが詰まっています。
KOGA：レコーディングも苦労したんだよね。
YUTTy：やっぱりMisakiちゃんの歌の力が凄いので、ぐいぐい引っ張られちゃってMisakiちゃんの唄い方に寄ってしまって、「YUTTy節が効いてない！」と注意されました（笑）。
Misaki：あと、歌詞の意味的に私が唄うとどうしてもしっくりこない箇所があったのですが、そこを先輩のYUTTyさんにボーカルを頼めたのはスプリットならではですね。
KOGA：そして何と、『ROCK'N'ROLL』のアナログ盤が出ます！
Misaki：KEYTALKが売れてKOGA RECORDSが潤ったので、社長がわがままを聞いてくれました（笑）。
KOGA：昔はアナログも結構出していたんだけど、最近出してなかったし。でもさ、なんでアナログ出したかったの？
Misaki：憧れてたんですよね。家にレコードはあったけど、自分の作品をレコードにしてみたかったんです。
YUTTy：今はレコードプレイヤーも安くなっているし。
Misaki：グッズとしても楽しんで欲しいですね。
YUTTy：レコードにしか出せない音もありますよね。
KOGA：あるね。しかもカッティングを微妙に深めにしてあるから骨太なロックの音になってます！
スペサン次回作も発売決定!?
──それでは、そんな2組の今後の展望を最後に聞ければと思います。
Misaki：今年はまず今レコーディング中で、2ndフル・アルバムを作っています。
KOGA：実は僕も1曲ベースを弾いています。
Misaki：そうなんですよ。10周年記念のプレゼントとしてお願いしました。アルバムが出来たらツアーも回ります！ 今、バンドをやっていて過去一番楽しいと思っているので、この興奮をみんなと共有できると嬉しいです。
──楽しみですね。YUTTyさんは如何ですか？
YUTTy：夢はSEKAI NO OWARIのようにショッキングだけどみんなが唄える名曲を作ることです！ 名曲を作るのは本当に大変なので。
