あらかじめ用意されたものを享受する時代は終わった
寿 あと今年はお芝居の部分が増えそうなんだよね。
村山 劇団さるフェスが2013年から始まったんです。桃太郎の劇をやるために。
寿 テーマが「不老不死」で、桃源郷だから桃だろうと。今考えるとただの連想ゲームだよね。なんでみんなこんな事に納得してたんだろう(笑)。
河井 それも理念の拡大解釈ですよ。その頃から、どうやら好き勝手なことをやっていいとみんなが気づいた(笑)。
寿 さるフェスは長時間のイベントだからやっぱり見てない時間もあるだろうし、知らない間に演劇をやってたというのもおもしろいなと。誰も見てない時に突然舞踏会が始まったりとか。
河井 見てない時にやるのが面白いって、それ根本が間違ってますよ(笑)。
寿 そうか。じゃあみんな見て下さい!
──さるフェスは1つの会場の中のあちこちでいろいろなことをやってるから、全部を見るのは不可能とも言えますが。
寿 そう、誰もが断片しか見てないよね。まるで違う場所にいるかのような。
──舞踏会ともの真似とカレーとツボ押しが同時進行してるという。
河井 去年出演した宮台真司さんが言ってましたが、あらかじめ用意されたものを享受する時代は終わったと。今は現象だけがあるので、あとは各自が勝手に楽しめと。
──さすが宮台さんらしい発言。「混沌こそ、我が墓碑銘」ですね。
寿 そういえばクラシックオーケストラって決まったんだっけ?
──えっ、オーケストラが来るんですか?
村山 音羽の森オーケストラ・ポコアポコという文京区の親子オーケストラなんですが、新聞記事で知ってYouTubeで見てみたら演奏も含めてとても魅力的な方々で。
寿 いま思いついたんだけど、最初オープニングの時はバーホールの方を閉めきっておいて、あのバーのドアがバーンと開いて、中から誰かが出て来るような演出ってどうかな? 例えばだけど。
河井 まあ、例えばね。
寿 そういう「例えば」っていうアイデアがいろいろ出てきては宙に消えてくんだよね(笑)。あとに残ったものを繋いでいく感じ?
村山 まだいろいろ調整中なんですが、ロフトのステージの前がオーケストラ・ピットになって、クラシック演奏でお客さんをお出迎えすることになる予定です。(註:出演決定しました)
寿 それにしても、出演者が毎年どんどん増えていくのはなんでだろうね。
ハヤマ どうやっても楽屋に収まるはずがないのに、いつの間にか謎の秩序ができてる。
村山 出演者はいる場所がないから普通にフロアにいるしかない。でもその混じり合った感じがさるフェスのいいところだと思います。
河井 混沌をテーマにずっとやってきたから、どんどんアナーキーなものにはなっていきますよね。
劇団さるフェス(さるフェス'14より)
宮台真司×しりあがり寿(さるフェス'14より)