Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューターボ向後 ーAVメーカー「性格良し子ちゃん」代表ー(Rooftop2015年1月号)

今や時代は「性格推し」!?
日本一謎多きAVメーカー「性格良し子ちゃん」の全貌に迫る!!

2015.01.05

 「性格がいい子とのSEXが一番エロい」というコンセプトで独自の路線を突き進むAVメーカー、「性格良し子ちゃん」。その活動はアダルトのみならず、手がけた有名アーティストのMVは数多い。昨年は新進気鋭のクリエイターが名を連ねる『映像作家100人 2014』(ビー・エヌ・エヌ新社・刊)にAVメーカー史上初めて掲載されるなど、恐らく日本一得体の知れないAVメーカーといっても過言ではない「性格良し子ちゃん」の代表、監督のターボ向後に直撃インタビュー!![interview:マツマル(LOFT/PLUS ONE)]

AVに「性格」ジャンルを!

──「性格良し子ちゃん」と聞いて、ピンとこない方もいらっしゃると思いますので、どういったメーカーなのか、というところから伺ってもよろしいでしょうか?
向後:3・11の時、実はちょうど秋葉原で撮影をしていたんですけど(『性格良し子ちゃん003』に収録)、日本が終わるかもしれないような非常事態にエロいものを撮ってる自分は「女の子を撮るのが使命なのかもしれない」って思ったんですね。で、自分は女の子のどこが好きなんだろうか? と、一度考え直してみた時に、自分に「フェチ」っていう概念があまりないことに気づいたんです。「おっぱい」にも「脚」にも魅力を感じない……となって、辿り着いた先が「性格」だったんです。僕はAD時代が割と長かったんですけど、どの現場でも共通して盛り上がるのが、「女優さんが性格のいい子だった時」なんですね。男優さんもスタッフも「おっぱいが〜」とか「元芸能人の〜」なんて話は興味なくて、「あの子いい子だったよねぇ〜」っていう話で盛り上がるんです。自分自身、やっぱり性格のいい子が一番好きだし、SEXしていて興奮するので、これからは「性格のいい子」を推したAVを撮っていこう、と決めました。
──他に類を見ないジャンルですよね。
向後:それまでもメーカーさんに「性格推し」の企画書を出してきたりもしたんです。「親孝行」とか(笑)。どのメーカーさんも「……え? それってヌケますか?」みたいな反応だったんですけど。僕のレーベルの購買層って女性が約3割もいらっしゃるんですが、「性格推し」っていうジャンルが今までなかっただけで、やっぱり需要はあるじゃないか! って思いましたね。
──風俗でも「綺麗でもないし、特徴もあまりないのに指名が多い子」はいますよね。
向後:そういう子のほうがリピート率は高いでしょうね。今って昔に比べて女優さんの寿命が長くなってるんですね。今回出て下さる、つぼみちゃんももう長いこと続けてるじゃないですか。監督もスタッフもファンの皆さんも共通して、「つぼみちゃんの人柄が良い」と言うんですが、変な話、「あまり特徴がない」のにここまで長く続けられてる理由はそこなんじゃないかと。何万人といる女優さんの中で「美人」とか「巨乳」とかで差別化されるのは難しくて、そこでも「性格のいい子」が出てくるんですよね。AVとはちょっと違いますけど、今年話題になった『テレクラキャノンボール』でもモロに「性格」は出てますよね。「性格がいい」とかではないけど、劇中のヤバいオバさんであったり、それを相手にした監督さんたちの「地」が出ているから面白いわけだし、人の内面まで晒け出している部分が、AV村の外にいた消費者の皆様にも評価されているんじゃないでしょうか。
 

アダルト的方法論は一般層にも通用する?

──『性格良し子ちゃん』の映像を見て、「AVっぽくない」綺麗な映像が印象に残りました。
向後:僕、昔から「日本一ヌケないAV監督」と2ちゃんねるで酷評されてるぐらいなんですが(笑)、僕自身は「これがヌケる!」と思ってやってるんですよね。
──それまでの経歴はどんな感じだったんでしょうか。
向後:もともとは安達かおるさんの「V&Rプランニング」の作品に感銘を受けてアダルト業界に入ったんですが、当時は2回も筆記試験があったりして、300人も応募が来てたほどの難関だったんです。で、カンパニー松尾さんが面接官だったんですけど、僕の前職がレコード会社だったので「向後君はどんな音楽聴くの?」と訊ねられて、「『New Order』とか『Jesus & Mary Chain』です」と答えたら「はい、合格」と即採用されて、「今までの筆記とかは何だったんだよ!」と、拍子抜けしましたね(笑)。
──松尾さんもそうですけど、「V&R」出の人は本当に個性派揃いですよね。
向後:『テレクラキャノンボール』は実は10年以上も前からのネタで、僕らからするとお馴染みではあるんですが、当時のビデオをあまり見てない人からすると新鮮かもしれないですね。セルビデオが出てくる前のAVコンテンツは「作中に10分間カラミがあれば他は何をやってもいい」という時代だったので、それ以外の時間はみんな好き放題やっていたんですが、それが今、時代を超えて評価されているんだろうなという実感はあります。
──「XVIDEOS」などの無料サイトで10分ほどの作品でヌいてしまう人が多いような現状をどうお考えでしょうか。
向後:それはそれでいいと思います。ファストフード的な感覚だと思うんですけど、僕としてはそれで満足している人に対しても「それもいいけど、こっちもヌケるし、面白いよ!」っていう情報を届けていかなきゃいけないな、と。アダルトビデオの方法論って凄く面白いと思うので、もっと幅広い層の人たちに提示していきたいですね。単純に「SEX」って、見てて面白いじゃないですか(笑)。人間の行為の中で、一番あらゆる要素が詰まってるものですよね。映画監督の松江哲明さんが、松尾さんに「なんでこんな面白いコンテンツを今まで外に出さなかったんですか!」と仰ってましたけど、今までは撮っている僕たち自身が「(企画が)通らないだろうな」と思って躊躇していた部分があったんじゃないかなと。
──実際、『テレクラキャノンボール』は監督さんの人物紹介にもなってますよね。
向後:AVって「男のキャラクターは必要ない!」っていう不文律が長らくあったんですけど、やっぱり男のキャラも出さないとSEXという行為自体が面白くならないんですよ。アダルトに対して拒否反応のある層はもちろんいるんですけど、そんな人の中でも「『テレクラキャノンボール』は楽しめた」という人はいるはずですし、ひと昔前のアダルト的な方法論も躊躇せず外に出していく必要があるんじゃないかと思いますね。
 

全員が「性格良し子ちゃん」!?

──僕自身、「性格」という前代未聞のジャンルでAVを作っている人がいると知って、興味本位でイベントのお誘いをさせて頂きました。
向後:今回のイベントに関して言えば、ゲストの皆さんも僕の考えに近いものを持っているんじゃないかと思える方々なんですよね。劒さんからはMVのお仕事を依頼されましたし、屑山さんは『ニンフォマニアック』ばりにカルトなエロ映画についてお話をさせて頂いてますし、ポルノとは一線を画した自分の見せ方を研究しているのが北見さんと赤根さんですし、PUNPEEさんに至ってはもともとつぼみちゃんの大ファンだったみたいで、「性格がいい子がやっぱり一番だよね」というところで繋がりましたから。
──意外ですね(笑)。DJってもっと華やかな感じの子が好きそうなイメージがあります。
向後:いや、基本的にみんな性格のいい子とのSEXが好きなんだと思いますよ(笑)。つぼみちゃんも作品によっては素の部分が出せないものもあると思うんですが、イベントでは普段通りのヘンに着飾らない彼女を見せてくれるんじゃないでしょうか。松尾さんは「ブス専」とか「乳があればなんでもいい」なんて酷いことを言われたりもしますが、本当は生でハメさせてくれる性格のいい子が一番好きなはずですし、実は参加する全員が「性格良し子ちゃん」的な活動をしている人たち、っていうのがテーマだったりしますね。
──このラインナップだけ見るとバラけているようにも見えますけど、実は全員が共通して「性格良し子ちゃん」だったということですね。
向後:そうですね。イベントをご覧頂ければ「性格良し子ちゃん」がどういうものなのか、というのは分かって頂けると思いますし、単純にゲストの皆様のトークが聞きたい、という方々にも是非お勧めしたいですね。僕自身が「性格良し子ちゃん」なんていうメーカーを立ち上げたぐらいですので、他人に対してもの凄く興味がありまして。今までゲストの皆様が話してこなかったであろうことも根掘り葉掘り訊いていきますので、ファンの方々ですら知らなかったようなことを聞き出せるんじゃないかと。
──なるほど、ハメ撮り的な感じになるんでしょうか(笑)。
向後:そうですね、『ハメトーーク!』みたいな感じです(笑)。客観の引いた画で撮るアダルトというよりは、もっと個人に踏み込んだところまで突っ込めるような、「性格良し子ちゃん」だからこそできるようなトークライブにしたいですね。
 

LIVE INFOライブ情報

日本初!性格推しAVメーカー「性格良し子ちゃん」プレゼンツ
『NUDITY001』
【出演】カンパニー松尾(AV監督)、劔樹人(神聖かまってちゃんマネージャー兼ハロヲタ)、屑山屑男(トラッシュ・カルチャー・マガジン『TRASH UP!!』編集長)、北見えり(撮影ジャンキーMODEL)、赤根京(特殊系着エロMODEL)、つぼみ(終身名誉処女AV女優)
【GUEST DJ】PUNPEE
2015年1月21日(水)新宿歌舞伎町 LOFT/PLUS ONE
OPEN 18:30/START 19:30
前売 1,800円/当日 2,300円(要500円以上オーダー)
*前売りチケットはe+にて発売中!
お問い合わせ:LOFT/PLUS ONE 03-3205-6864
 
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