Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー片山ブレイカーズ& ザ☆ロケンローパーティ(Rooftop2014年11月号)

京都から「獣(けだもの)」「物怪(もののけ)」を引っさげて真のパーティ・バンドが踊り狂う!

2014.11.01

 バンドに歴史あり。結成14周年を迎え、これまでに骨折による活動休止、メンバー・チェンジなど幾度かの苦難を乗り越えてきた片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ。今年の7月に『KEDA-MONO』、『MONO-NOKE』というそれぞれ異なるコンセプト・アルバムを同時リリースした。キーボードの加入によりますます楽曲は鮮やかさを増し、貪欲にアレンジされた。ツアー・ファイナルとなるSHELTERでのワンマンに向けて、今まさにツアー真っ只中のメンバーにメール・インタビューを実施。彼らの言葉から絶えずバンドを楽しむ姿勢、大いなる自信を受け取った。(interviewith:上里 環/下北沢SHELTER

新メンバーの加入で手垢の付いた方法論を打破できた

──前回のRooftopのインタビュー(2010年5月号)から4年半が経ちました。その間にメンバーの脱退、加入と大きな出来事がありました。現在、バンドのテンションをどのように位置づけされていますでしょうか。
片山尚志(vo):メンバーの脱退は、それほど大きなことではなかったかもしれません。もちろん精神的なマイナス要素はありましたが、バンドが長く続けば続くほど、そういったリスクは増大すると思います。それは、バンドだけが特別なことではないでしょうし。何度も繰り返したツアーにより作ってきたサウンド、グルーヴというものが確実に存在するバンドでしたので、それを一度リセットしなければいけないのは残念でした。ただ、楽曲制作においてマンネリを感じていたのも事実でしたし、それを打破するバンド力が低下している時期でもありました。凄くポジティブな言い方をすれば、手垢の付いた方法論やルーティンの中で曲をアレンジすることがなくなったんです。そこからの曲作りはすべてが新鮮。付き合いたての男女のようです。バンドの状態は是非ともライブで確認願いたいです。
大橋吐夢(b):テンションは最高潮だと感じています。
安藤 亘(g):新体制で1年、レコーディングも終えて一体感も生まれてきました。
──今のメンバーだからできたこと、楽しい場面を教えて下さい。
片山:唄うこと。キーボードのSATOがもともと唄い手だったので、コーラス・ワークを充実させようと決めてました。新曲はどれもコーラス・パートを意識しながら書いてます。単純に、唄うって恥ずかしいじゃないですか? 裸の付き合いではないですが、スタジオでもsing-alongを共有することで生まれる一体感がありますね。
大橋:あとは、表現のバリエーションが格段に広がってますね。
──大変なことや、悩みなどあれば教えて下さい。
片山:作曲は苦悩の塊です。ただ、生んだ時の喜びは世界を制した気分なので、結局悩みはあってないようなものです。
──SATOさんの加入により、彩り豊かでパーティ感が増したような印象を受けました。アレンジなど特に大変だった点や工夫した点はどこでしょうか。
SATO(key):加入当時はギタリストの後釜ということで、同じフレーズをどう演奏するか悩みましたが、今回の作品を創る頃には、それぞれの曲に必要な音をただ探して奏でるというシンプルな頭になっていました。サウンドを聴いて、プラスワンを入れるイメージで考えていき、スタイルを見つけ出せた時には、他のメンバーも必要なフォローをしてくれていました。
──作詞・作曲・編曲・レコーディングなどの制作面で意識されているのはどんなことでしょうか。
片山:レコーディング現場での対応力です。ドラムの音作りが決まった段階で、アレンジを変える必要があれば変える。アレンジが変われば、当然メロディを修正することもあるだろうし、歌詞を大幅に変更することもある。衝突事故のような録音が予想もしないマジックを引き起こすんだと思います。
 

『KEDA-MONO』、『MONO-NOKE』2枚同時リリース!

──今回、コンセプトの異なる2枚のアルバムが同時にリリースされました。それぞれのアルバムの紹介を詳しくお願いします。
片山:『KEDA-MONO』はメンバー加入後に作った新曲をメインにしたアルバムです。コンセプトは【再生】。一番最初に「エレキと獣」を書きました。これは、片山ブレイカーズ再始動へ向けた決意表明の歌なんです。鍵盤をフィーチャーし、sing-alongする。新しいサウンド感や未来志向の歌詞、すべてが“これからの片山ブレイカーズ”を感じさせるアルバムです。そして、ライブでは10年近くやり続けてきた「エネミー」も収録しました。作品にするタイミングを逸してきた曲ですが、このアルバムにこそ相応しいと感じてます。『MONO-NOKE』は、これまでリリースされてなかった曲を新メンバーでリアレンジし、現在のライブに最も近い形で封じ込めた一枚です。コンセプトは【ライブ感】。アナログ機材での一発録りで、ライブでのバンドの勢いをそのまま録りたかった。ヴィンテージ機材によるモノラル録音。音像にこだわったアルバムです。
──アルバム・タイトルもユニークだと思ったのですが、どのような想いが込められているのでしょうか。
片山:『KEDA-MONO』のリード曲が「エレキと獣」、『MONO-NOKE』のリード曲が「けのけもののけ」です。メンバー脱退の最後の曲が「けのけもののけ」で、メンバー加入後最初の曲が「エレキと獣」。つまり、この2枚のアルバムは陰陽の関係なんです。タイトルが共鳴し合うものにしたかったこともあり、リードの一単語を「獣(KEDA-MONO)」「物の怪(MONO-NOKE)」と、左右対称にしました。
大橋:片山ブレイカーズがそういった存在になればいいなという思いもあります。京都っぽいですし。
──皆さんそれぞれが思う「ここを聴いて欲しい!」というところを、2枚ともに教えて下さい。
片山:まず楽曲。いい曲を揃えることができましたね。
安藤:『KEDA-MONO』の「エレキと獣」では、自分らしいソリッドなギターを最大限に出せました。
大橋:「BRAVE」でのイントロの絡みや「トギスマス」のベース・ラインとミックスですね。「猫パニック」のブリブリと歪んだベースも。
斉藤慶司(ds):「KEDA-MONOのシーン」。片山がデモの状態で持ってきた時から、「これはいい!」と思っていた。曲中の台詞は、レコーディング時にノリで僕が入れたものが採用になりました。
大橋:『MONO-NOKE』は全体的に…ナチュラルにかかった歪み。Silvertoneのベース・アンプが気持ち良かった。
SATO:一発録りの集中力ある演奏と、そのアツさを体感して欲しいです。
斉藤:「Sunset & Sunrise」かな。これはボーカルも含め、完全なる一発録り。セッションの空気感ごと閉じ込めたようなテイクになったと思います。
片山:音像とかよく分からんって人でも、ヘッドフォンで聴けばこの2枚の違いは歴然です。
──全体を聴かせていただいて、打ち込みを取り入れるバンドも多い中、“血の通ったロックンロール・ダンスチューン”の印象を強く受けました。
大橋:とても嬉しい感想です!
──制作やレコーディングで特に力を入れた点、苦労や楽しかった点などを詳しくお願いします。
片山:ドラマーの体調によって、その日のBPMが決まり、ベースの精神状態によってその日のグルーヴが決まる。ギターとキーボードの気分によって和音の変化が見られ、唄い手の集中力により曲に命が吹き込まれる。それがその日のライブであり、その日の録音だと思います。今回はそんな活きた録音でした。
斉藤:『MONO-NOKE』では、60'sな手法での録音に初めは正直戸惑いました。それから、当日自分のドラムセットを持ち込んでいたんですが、スタジオに置いてあったセットを試し叩きさせてもらった瞬間に、自分のセットを使うのをやめました。それくらい、いい音がするセットだった。ライブ感のあるいいテイクが録れたと思っています。
SATO:全員が真横に並んで演奏している感じが大切だと思っています。歌を聴いて弾くというよりは、バンドそのものが歌になる感覚です。打ち込みは片山ブレイカーズに今必要ないかと。難しくなりそうです!(笑)
 

迷う必要はないと思います。ライブハウスでお会いしましょう

──9月から始まった全国ツアーの真っ只中ですが、ここまでのツアーで特に印象に残っていることは何ですか?
片山:地元・京都の磔磔で開催した結成14周年記念ライブ「片山ブレイカーズ vs キングブラザーズ」での一戦。ひりひりする戦いでした。
斉藤:僕は函館での空きっ腹に酒、SUNDAYS、月光グリーンとの打ち上げ。やっぱり、一緒に酒を呑むと一気に距離が近づきますね。それを経ての札幌。前日に人となりも分かって、何だかこれまでよりも各バンドの演奏がアツいライブに見えて。この日は、バンドそれぞれが最高の演奏をしていたと思います。気持ちのいい空間でした。その後のツアーでの片山ブレイカーズのライブにも、少なからず影響しているような気がします。
──これからのツアー、そしてツアーファイナル・ワンマン、行こうか迷っている全国のファンの方々に押しのメッセージをお願いします!
片山:迷う必要はないと思います。片山ブレイカーズのライブにはロックンロールのマジックのすべてがあります。ライブハウスでお会いしましょう。
 

『KEDA-MONO』

DQC-1308
価格:2,300円(税込)

【収録曲】
1. KEDA-MONO のシーン
2. エレキと獣
3. BRAVE
4. トギスマス
5. ドーナツ・ムーン
6. スタンダードな朝のリズム
7. 猫、パニック
8. にげろ
9. エネミー

『MONO-NOKE』

DQC-1307
価格:2,300円(税込)

【収録曲】
1. けのけもののけ
2. ぶらぶらのらぶ
3. 終末のクレイジー
4. PORNO/ACTION
5. スノーバード
6. いらいらのいー
7. Sunset & Sunrise

LIVE INFOライブ情報

「KEDA-MONO/MONO-NOKE」ツアー
★11月1日(土)長崎 DRUM Be-7

【with:黒猫チェルシー/ザ・キャプテンズ/and more...】
★11月2日(日)熊本 B.9 V2

【with:黒猫チェルシー/ザ・キャプテンズ/ne-co.../and more...】

★11月6日(木)岡山 CRAZYMAMA 2nd ROOM

【with:ザ・キャプテンズ/空きっ腹に酒/The Time Travelers】
★11月7日(金)高松 DIME

【with:オレスカバンド/ザ・キャプテンズ/ウラニーノ/and more...】
★11月8日(土)高知 X-pt.

【with:オレスカバンド/ザ・キャプテンズ/ウラニーノ/ニホンハツ】
★11月9日(日)神戸 太陽と虎

【with:レトロ本舗/ザ・ゴールデンローファーズ/THE PSYCRONS/DOROTHY】
★11月14日(金)名古屋 CLUB UPSET

【with:Theキャンプ/空きっ腹に酒】

★11月16日(日)下北沢 SHELTER

【ツアーファイナル・ワンマン】

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