昨年、テレビ放送30周年を迎えた今もなお、世代を超えて支持されているアニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』。言わずと知れた名作中の名作で、魔法少女アニメの金字塔的存在として愛され続けている。
その主人公、森沢優(変身後クリィミーマミ)の声を務め、主題歌である「デリケートに好きして」でデビューを果たした声優・歌手である太田貴子。そのチャーミングでまっすぐ、かつ艶っぽさも備えたキャラクターは主人公とも重なり、圧倒的な魅力を放っていた。10月24日にネイキッドロフトにて開店となる、"izakaya-TAKAKO"ではそんな魅力がたっぷり堪能できるに違いない。出店前の気持ちと、昨年30周年を迎えた『クリィミーマミ』のお話を、太田貴子一日店長に伺った。(interview:鈴木 恵/Naked Loft店長)
学校と仕事を両立させていた高校生時代
──昨年『クリィミーマミ』が30周年で、さまざまな動きもあったかと思いますが、太田さんはどのようなお気持ちでしたか?
太田:マミちゃんの30周年イベントは、渋谷の大きい会場でやらせて頂いて、おかげさまで超満員でした。始まる前から凄く緊張して、どうしよう!? と思ってましたけれど。最近は女性の、しかも10代のファンの方が凄い多くて、何で知ってくれたの? って訊いたら、口コミと、最近は原宿や渋谷のお店とかにマミちゃんのグッズがけっこう置いてあって、それがきっかけで好きになってくれた方が凄い多いみたいで。若い世代の方にウケてるっていうのは嬉しいなって思います。私も街でグッズがあると、「あ、マミちゃんグッズがたくさんある!」って驚いたりしています(笑)。
──ご本人がそういうふうに反応するのがまた素敵ですね。声優を始められた当時のお話も聞きたいのですが、どういうお気持ちでしたか?
太田:いやー、とにかくもう緊張していて。監督さんには「ド下手!」と言われてました(笑)。
──えぇ? 本当ですか!?
太田:声優をやるのは初めてなのに、周りの声優さんたちは超有名な方ばかりで、もうドキドキでしたよ。マミちゃんのプロダクションの社長の役をされた井上和彦さんは、私が大好きだった『キャンディ・キャンディ』でアンソニーの声をされていたということもあって、凄く舞い上がっちゃって。こんな凄い方ばかりで、どうしたらいいんだろう!? ってなってました(笑)。
──当時高校生だったということは、学校と仕事を両立されてたんですか?
太田:そうですね。
──じゃあ芸能活動と学校の生活がある、優ちゃんと重なる部分とかありましたか?
太田:ありました。「お仕事行ってくるね!」って友達に言ったりして。
──実際に演じるマミちゃんと優ちゃんみたいに自分も学校と仕事を両立している感じはどうでした?
太田:その当時は若かったんであんまり難しく考えてなかったです。お仕事の時は凄く楽しんでやれていました。周りの方が凄く優しい方ばっかりだったので、それで救われたのかなぁと思ってます。俊夫役(優の幼馴染で恋心を抱いている相手)の水島裕さんも凄く優しい方でした。
──当時の印象に残ってるエピソードとかありますか?
太田:一応台本はあるんですけど、台本通りに皆さんが演じられないので、アドリブばかりやっていたのが印象的です。もう好きにやっちゃえ! って感じでやってましたね(笑)。周りの皆さんと凄い歳も離れていたので、私はいじられキャラみたいな感じで凄く可愛がってもらってました。良い方ばかりだったので恵まれてたと思います。
──周りが大人ばかりという感じだったと思うんですけど、怖い印象もなかったですか?
太田:怖い大人もいたのかもしれないけど、あんまり気にしてなかったかな。そういえば○○さん(某有名声優さん)に失礼なことを言っちゃったりしてたんですよ。会うたび毎回ツッコまれてましたね。今となってはいい思い出ですけど(笑)。
イベント制作プロデューサー:太田は、アニメのマミちゃんそのまんまで天然なんですよ。水島裕さんや共演された方は、そういう似たようなキャラクターというのもあって、「マミちゃんの役は太田にしかできなかった。他の人が演じたら全然イメージが違っちゃうだろうね」っていう話はされてますね。
作品を見て感動する気持ちは皆さんと同じです
──確かに、当時今までにないタイプの声だって思ってました。大人っぽく艶っぽい声だなと思って、それで凄く惹かれた部分がありました。
太田:本当ですか? 芸能界でも、中川翔子さんが凄い『クリィミーマミ』のファンでいてくれて。何度もお仕事をご一緒して、そのたびにご自身の熱狂ぶりを話してくれるんですけど、ずいぶん好きなんだなぁっていうのが伝わってきますね。
──私も夢中でした。太田さんの声とマミの魅力は特別でした。
太田:ありがとうございます! でもそういう熱狂的な気持ちも分かりますよ。私一回、『ハクション大魔王』の大平透さんとお仕事をご一緒した時に、あんな怖い顔してるのにハクション大魔王の声を実際に出しているのを見た時には、「そんなふうにあの声が出るんだ!」と感激したりしたので(笑)。
──『クリィミーマミ』で、印象に残っているシーンやセリフはありますか?
太田:最初と最後の回かな。いろいろあるんですけど、やっぱり印象的なのはその2つですね。「優は優だもん!」(最終回での優の、悶絶必至の名ゼリフ)って聞くと自分でもジーンときますもん。昨年『クリィミーマミ』のイベントで、立川の映画館で上映会っていうのがあったんです。思い出のシーンを何話か上映したんですけど、女性のファンの方が凄く多くて。その時も、そのシーンを見たファンの方がウルウルしてるのを見て、その様子にも感動してました。
──心から分かります。
太田:本当、自分で聞いていても感動するって感じです。私、『風の谷のナウシカ』でペジテの少女っていう、飛行機の中でナウシカの身代わりになる少女の役をやったんです。
──あのキャラクターも素敵ですよね。まっすぐで正義感が溢れていて。
太田:いいですよね。私、映画館へ見に行って、自分の名前がテロップで出た時は感動しましたよ。「あー、自分の名前が出てる!」って。作品を見て感動する気持ちは、皆さんと同じだと思います。
──先ほど『キャンディ・キャンディ』の話がありましたけど、太田さん自身はアニメとか何か熱心にご覧になってたものってありましたか?
太田:『キャンディ・キャンディ』では、アンソニーが死んだ時、それはもう、泣きました。魔法モノも好きで、『魔法使いサリー』とか『魔女っ子メグちゃん』とかも見ていました。変身してみたいなって願望、ありましたよ。
──ネイキッドロフトで“izakaya-TAKAKO”を開店していただけるということになりましたが、そのきっかけは何だったんですか?
太田:先月、お酒を呑みながらライブをやったんです。そしたら少し呑みすぎちゃったせいか、話の勢いで「今度トークライブやろうね!」って言ったらファンの方が「いつ? いつ?」ってなって。もうトントン拍子で決まっちゃったの。だから酔っ払った勢いですね(笑)。
──お酒に感謝です(笑)。当日は、こんな雰囲気にしたいなとかありますか?
太田:そうですね、堅苦しくなく、ざっくばらんにワイワイ皆さんと楽しくできたらいいなと思ってます。
──ゲストに大森玲子さんがいらしてくれるということですが、『クリィミーマミ』と『ファンシーララ』、夢の共演に興奮してしまいますね。
太田:どんな話になるやら…。私もどうしようかしら、という感じですけど。とにかくあんまり呑み過ぎないようにしよう(笑)。