カルト、アクション、SF、ホラー、カンフー、コメディ、啓蒙、How to モノ、etc. ......普段、日の目を見ないお宝秘蔵ビデオを見ながら貴重な体験を掘り起こす『V-ZONE〜廃盤、絶版ビデオ祭り〜』。大好評につき、10月4日(土)に初の深夜開催も決定しているこのイベント。そんな『V-ZONE』から、UE神(ハイスピードプロパガンダ/The SWAG)、ロビ前田(赤犬/マントルゴッド/男の墓場プロ etc.)、尾崎テロル(テロファクトリー/ざ×こ×ば)、小林タクオ(Loft PlusOne West)というお馴染みのメンバーを直撃! 大阪Loft PlusOne Westの名物イベントを大解剖......!?(interview:松本尚紀/Loft PlusOne West)
舞台上は楽屋の延長!?
──まず、このイベントが始まったきっかけを教えて下さい。
UE神:ここ(Loft PlusOne West)で男の墓場プロのイベントがあって、それに遊びに来てて。いつものようにみんなでバカ映画の話をしてたんです。
尾崎:その時に小林さんが「イベントやりましょうよ!」って言ってくれて。「やりましょ!」ってすぐに決まりました。
UE神:ちょうどVHSのイベントをしたいなと思ってたんで、サクッと決まったね。
尾崎:東京でイベントやってるって噂は聞いてたし、大阪でも! って思ってました。
──小林さんは、東京でイベントをしてましたよね。
小林:Asagaya Loft AとNaked Loftで『タクオのビデオナイト』をやってました。その時は安田理央(監督、作家)さんとか多田遠志(ライター)さんが出てくれてましたね。あとは人が入れ替わりゲスト出演してくれて。
──東京と大阪で、イベントをやるにあたって違いはありますか?
小林:大阪のほうがお客さんの熱が凄いです。
尾崎:リアクションが凄くいいですよね。
前田:みんなよく分かってるなって思いますよ。
──『V-ZONE』というイベント名はどう決まったのですか?
尾崎:最初みんなで話して、『カウチポテトは振り向かない』にしようってなって(笑)。でもいろいろ考えて、世代的にもちょうどいいのが『V-ZONE』やったんです。
UE神:『V-ZONE』の話はよくしてたからね。
前田:『V-ZONE』って昔あった映画の雑誌の名前で、趣旨も僕らのイベントにぴったりで。よく話題に出てくるんです。
尾崎:そうそう。ちなみに僕らみんなバンドやってるんですけど、楽屋で音楽の話とかしたことなくて。
UE神:ないない(笑)。
前田:ひたすら映画の話して、はい出番って感じやな。
尾崎:その延長が『V-ZONE』の舞台上ですね。
UE神:もともとバンドのつながりで仲良くなったのにね(笑)。
──『V-ZONE』というイベント自体は、回数を重ねてきて変化してきた点などありますか?
UE神:毎回ノリでいろいろ変化したり、決まったりしてますね。前回のカナザワ映画祭の前夜祭もそうですけど。
前田:大人になったら意外とフットワークが軽くなるんですよ。
尾崎:ムダな経験値が、これでもか! と発揮されてます。
──9月1日の『V-ZONE』番外編(道頓堀ファンタスティック映像祭「怖いですねアワ〜」)に関してはどうですか?
前田:あれは僕がいるバンド・赤犬の隠し玉を用意しましたから、凄いですよ。
小林:隠し玉って(笑)。
尾崎:コレクションの数なら僕らのなかでも群を抜いてるんです。
UE神:凄い方がいるみたいやね。
──コレクションの話って普段からされてるんですか?
UE神:そんな話ばっかりですよ!
小林:今日も顔合わせた瞬間に、尾崎さんが戦利品を見せてくれましたよね。
尾崎:(VHSをカバンから取り出しながら)これこれ、185円とかなんですよ。
UE神:いいのばっかりやん!
前田:なんでみんな買わんのやろ。めちゃくちゃいい映画ばっかり。
小林:何時間でも語れる作品ばっかりじゃないですか。
前田:こういう話を延々としてるんです。
平成世代も夢中! VHS世代のコレクション
──いつ頃からVHSを集め始めたんですか?
UE神:レンタルビデオ世代なんで、気づいたら集めてましたね。
尾崎:大学の頃に、ワゴンセールで980円とかで売り出されてたのを買ってました。
UE神:たぶん僕らは、所有する楽しみが強いんですよ。
尾崎:そうそう。ジャケットがかっこいいとかで、買いますし。
前田:棚に並べてるのを見て、うっとりするよね(笑)。
小林:分かります! 分かります!
──それぞれ皆さんの得意な分野や、好きなジャンルは何ですか?
尾崎:ホラーですかね。
前田:なんやろう。ジャケットが面白いものが好きかな。
UE神:僕は単純に映画自体が好きって感じですね。
小林:僕は日本映画とドキュメントが好きです。そう言えば最近、VHSを題材にした映画が撮られたりしてますよね。
尾崎:ブームかは分からないですけど、VHSドキュメントの映画もインディーズで何作か出来てきてるみたいですよ。
小林:昔のAVの再発とかも多くて、名作が見られるようになってきてますね。
尾崎:海外でもコレクターが非常に多いんですよ。ブログを立ち上げて、VHSのジャケットを上げまくってる外国人がいたり。カタカナ表記や漢字表記がウケてるんですかね。
UE神:日本のジャケットはかなり評価が高いんです。タイトルもめちゃくちゃやから面白いんやろね。
前田:一本の映画で各国のパッケージを集めてる人もいますね。
小林:やっぱりVHSはジャケットがいいですよ。最近のフォトショップで加工されたものより、おどろおどろしさがあって。
前田:そう。VHSのこの手仕事感がたまらんよね。ヒット作の二番煎じ、三番煎じの作品はだいたいジャケットがイラストで、凄くかっこよくて。でも、ジャケットのそのかっこいい人物は本編には一切出てこないとかね(笑)。
──最近では、イベントに高校生のお客さんが来てくれてますよね。
UE神:あれはめっちゃ嬉しいです。
小林:本当に嬉しいですね。この前も、「『時計じかけのオレンジ』のパンフレットを買ったんです!」って話しかけてくれて。
尾崎:そうそう。「1,500円でした!」って言ってて。高い高いって(笑)。
前田:高校生が出す金額ちゃうし、なにより1,500円って(笑)。僕らその辺の中古屋で、100円とかで見つけられるのに。まぁ、このイベントに来てくれる若い世代には、素晴らしい情操教育ですけど(笑)。彼らと違って僕らにはルールがあって、なんぼ貴重なビデオでも980円以上は出して買わないとか。
UE神:そうそう! なんか違うってなるよね。
──VHSを掘り出すというところに魅力があるんですね。
UE神:掘り出すこともそうやし、中古屋に行くのが面白いですね。
前田:まぁでも、大金持ちになったら買いますけどね(笑)。
尾崎:言ってることめちゃくちゃですよ! まぁそうですけど(笑)。
小林:4、5年前に、個人経営のビデオ店がたくさん閉店して。僕はその閉店セールで、500円くらいで凄い掘り出し物をたくさん買いました。
前田:個人経営も、高架下のビデオ店とかも減りましたね。昔は宝の山でしたけど。