DIRTY OLD MENのニューアルバム『Blazing』が5月7日にリリースされる。昨年3月にリリースした『I and I』がメンバーチェンジ後のお披露目の意味も含んだアルバムだとしたら、今作はそこから1年、現メンバーの4人が力を付けてしっかりと歩いて来たことを証明する作品だった。今年2月にシングルでもリリースされた『弱虫な炎』では、これまで以上に気持ちの強さが表れた歌詞に彼らの進化を感じたし、『In room』は何年か前にライブで聴いた時から考えると演奏面でも確実にスキルアップし、丁寧に言葉が紡がれた『夜空のBGM』には心を掴まれた。DIRTY OLD MENの4人が今を一生懸命に生きていることも、収録された全7曲からバンドが成長していることを充分に感じられるのではないだろうか。
この作品をリリースして5月23日からはツアーがスタートする。きっとこの作品を完成させた今の彼らなら、全国各地で多くの人を魅了し、さらにたくさんのものを吸収して7月11日の恵比寿リキッドルームでファイナルを迎えるのだろう。
今回も4人全員にアルバムについて、そしてツアーについてお話を訊かせてもらった。彼らの思いは燃えるように熱く、これからの活躍がもっともっと楽しみになった。(interview:やまだともこ)
音楽を続けられることが奇跡
── 約1年振りとなるアルバムのタイトルが『Blazing』と付けられていますが、まずこのタイトルにはどんな意味を持たせたんですか?
高津戸信幸(Vo&Gt):『Blazing』を訳すと燃えるとか火花が光を放つという意味があるんです。前作のアルバム『I and I』が隣の人を大切にしようという意味を持たせていて、今回はあつい夢に向かっている気持ちを前に向けていこうとか、同じような思いを持った者を集めていくとか、前を向いている意味を込めてますね。
── それは今のバンドの勢いや気持ちが入っている感じですか?
高津戸:そうですね。アニメのタイアップにもなった『弱虫な炎』が今の僕らの気持ちそのままで、それに加えて今回収録している『pain+』とか『起死回生ワンダー 』のような曲を入れて、聴いてくれる人の背中を押すアルバムにしたいなと思ったんです。最近DIRTY OLD MENの曲やMCを聞いて「諦めかけてた夢にチャレンジしようと思います」とか、直接言いに来てくれるお客さんがいたんです。夢を持っている人っていっぱいいて、僕も何度もくじけそうになりながらここまで頑張ってきたので、このアルバムは「必死に戦う者同士仲間になろうぜ」という思いを込めています。
── 2月にシングルでリリースされた、『弱虫な炎』を聞いたときに、言葉がどんどん強くなっているというか、聴く人を引っ張ってくれるような力強さを持った曲だと思ったんです。昔を比べ過ぎるのは良くないかもしれないですけど、こういう強い思いを持った言葉が出てくるとはと当時思えなかったぐらい変わってきている気がしていて。
高津戸:これまでって、ただただガムシャラで負けねえ負けねえと言って来たんですけど、とげとげしいだけではダメだなと最近思っていて、優しさというか、温かさというか、包み込むということも意識し始めました。
── アルバムが出来上がって手応えとしてはどうですか?
渡辺雄司(Ba&Cho):曲はズバ抜けて良いと思いますね。これがちゃんと届けば良いなと思います。
高津戸:これまでって生き急ぎ過ぎていたような気がしていて、今は温かみのある物語だったり人の心に寄り添えるような曲を書きたいなと思って、そういうのが出たのかなというのは思いますね。
── 以前は歌詞がファンタジー色の強い物語になっていましたけど、今は人間の血が通っている感じに変わってきたと思います。歌詞の書き方って変わりました?
高津戸:あんまり意識はしてないです。今書きたいものを書いているというのがずっと続いているだけです。一時違う時期はありましたが。
── 上京して2年が経ちますけど、東京に来てから歌詞が変わったとかはありますか?
高津戸:如実に『弱虫な炎』には出てますよね。音楽を続けられるなんて奇跡ですし、東京は音楽で戦っているということを肌で感じられる場所だということは最近常に思っていて。栃木にいたらわからなかったですよ。それと、ネガティブな意味ではないんですけど、僕らもバンドを続けたくても続けられないかもと思った瞬間があったから作品を出すごとに最後なのかなみたいな気持ちは常に持ってます。
── でも今のメンバーになって2年が経ち、メンバーチェンジ当初に比べると確実にバンドの結束力含め良くなっているように思います。
岡田翔太朗(Dr&Cho):ずっとゴールがない感じというか、手応えはあるんだけど、いつまでも成長していきそうな感じ。4人とも個性がそれぞれあって、音楽的にみんなで広げていけているので、どこかに収まるんだろうなという感じはなく、ずっと引っ張り合って行けそうな感じが今はあります。
── 渡辺さんは?
渡辺:最近になって、まとまってきたというか、お互いがわかってきたかなという感じはしています。
── 今回のアルバムって、このメンバーだと2枚目になるんですよね?
岡田:そうです。『doors』は3曲ぐらいしかやってないので、この4人で作ったというのは前作の『I and I』と今作の2枚です。すごく良いものが出来ました。
高津戸:ここ2年で巻き返してきた感じはあるよね。このメンバーになったタイミングで『doors』を出して、昨年『I and I』を出して新しくなったよとお披露目をして、今回どう動けるか。今はすごく踏ん張り時だと思います。『I and I』を出してたくさんライブをやって、僕らのことを知ってくれる人や、テレビで流れていた『弱虫な炎』を聴いてまだやってたんだって思ってくれる人もいて、それでこのアルバムのリリースになるので、ちゃんと考えてこれからやっていかないとなって思います。そういう意味で悩んだり辛いという感じですかね、今は。
── 今までのDIRTY OLD MENって、私としては繊細でちょっと弱虫という印象があったんですが、徐々にバンドは力強くなっていて、その過程を知っているから聴いていて余計に思いが入っていくんですけど、今回の作品で初めてみなさんに触れるお客さんに対して、どういうところを聴いて欲しいと思っていますか?
高津戸:結局弱虫な人が頑張って戦っているという物語の曲が多いと思っていて、みんな何かしら絶対に頑張ってるじゃないですか。歌詞を読んで自分と重ねることは出来ると思いますし、歌詞だけじゃなくてメロディーに合わせて楽器の音を聴くとより一層感情移入が出来ると思うので聴きやすいと思います。僕たち自身も、いろいろ話し合って、たくさん考えて、作ったので絶対に琴線に触れるアルバムになっていると思うので、いろんな人に聴いてもらいたいですね。