最新作が最高傑作
── 先ほどから話にあがっている『Xmas Present For My Sweetheart』は、まさかWHITE ASHが日本語でこんなにもロマンチックなクリスマスの歌を歌うとは思ってもいませんでしたけど。
のび太:それこそ3年前のインディーズデビューした時だったら絶対に出来なかった曲ですね。当時、日本語の歌詞に対して抵抗があったんです。その後、セカンドミニアルバム『WALTZ WITH VALKYRIE』に収録している『I'm Fine Too Thank You』で日本語詞の可能性にトライして弾き語りで歌ったんですけど、その時に僕たちにとっては言葉が日本語でも英語でもかっこいいものになるという自信を持てた部分があって、そこからアップテンポの曲でもサビで日本語を入れることも出来るようになったし、今年の2月にバレンタインをコンセプトにしたCD『Would You Be My Valentine?』をリリースしましたけど、甘い雰囲気のある曲が作れるということを証明したし、そうやって一個一個新しいものにチャレンジして、それでもちゃんとWHITE ASHの曲になるというところを確認出来たからこそ、今回日本語詞のラブソングだとしても、胸を張ってこれはWHITE ASHの曲ですと言えるものになったというか。今まで自分たちが成長してきた過程があったから、この曲をアルバムの最後に入れてもちゃんとアルバムを支えてくれる曲になりましたね。
── なるほど。
のび太:それに、WHITE ASHってこういうバンドだよねというのを特定されたくないというか、次は何をしてくれるの、次の一手はどういうものを持ってくるんだろうというワクワク感を常に持ってもらいたくて、だから1曲目の『Casablanca』は、「ザ・WHITE ASH」というものをちゃんと見せた上で、他の曲では今までになかった顔を見せてこんな一面もあったんだって思ってもらいたいんです。
── 今までにない顔で言ったら、10曲目の『(Y)our Song』の話もはずせないですよね。こういう曲も作れるんだっていう驚きがありました。
のび太:やるものに対して、ちゃんと意志を持って自分たちで選択したことをわかってもらうためには、やれるうえでやらないを選択しているんです。
── ほんとは英語で曲を作ることが出来るぞ、と。
のび太:出来るけど、僕らは今のスタイルが好きなんですっていうほうが、説得力があると思っています。それと、今回のアルバムに関して言うと、一番意識的にやったのはテンポ感なんです。今のロックシーンって、4つ打ちでテンポが早い乗れるダンスロックが流行っていると思っていて、『Number Ninety Nine』はまさにそれを意識して作りましたけど、お客さんみんなが同じノリ方じゃなくて、もっとそれぞれが自由に体を動かしても良いのにというのは思っていて、それを崩せないかなと思った時に、テンポを落としてどれだけ乗れる曲を作ることが出来るかというのを自分の中のテーマとして設けたんです。流行りとは違うところで自分たちの道を見つけたほうが僕らの存在意味があるというか、他のバンドでも聴けるような曲なら僕らがわざわざやる必要がないと思っていて、そういうのを意識してテンポを下げて。3曲目の『Zodiac Syndrome』はテンポはゆっくりだけど、聴かせる曲じゃなくて攻めてる曲。こういう曲をみんなが聴いた時にどういう反応をするのかは楽しみですね。
── 3拍子って呼んで良いのかはわからないですけど、そういうテンポの曲が多い印象でした。
のび太:『Casablanca』は厳密に言うと12なんですけど…12の曲がリードなんです(笑)。キャッチーじゃない曲をどれだけキャッチーにするかはやっぱりメロディーだと思うから、そういう意味ではどの曲もメロディーはキャッチーだと思っています。
── キャッチーと言えば、わかりやすいのは『(Y)our Song』の気がします。
のび太:『(Y)our Song』は大きいステージで、みんなでワーってなれる曲ですね。みんなで歌える曲が欲しくて作りました。
── あと7曲目の『Delayed』とか8曲目の『Extreme』のようなダンスチューンは、今までの踊れるWHITE ASHの曲がよりバージョンアップした感じの曲ですね。
のび太:毎回そうなんですけど、今までのWHITE ASHが好きな人やこれから出会う人に対しても、WHITE ASHがどういうバンドなのかがわかる1枚にしたいんです。シングルもそうですけど、4曲聴いてWHITE ASHがどういうバンドかわかる。そういう意味では、今回のアルバムでWHITE ASHってこういうバンドなんだという、いろんな顔を見せられたなという感じがしますね。それと、2枚目って1枚目のほうがいいって言われるポジションのアルバムでもあると思うんですが、そこに対して気負わずに出来たなというか、自分たちがかっこいいと思うものを毎回更新しているから、最新作が最高傑作になってる感じはあります。僕がまずWHITE ASHの大ファンだからこそOKラインのハードルはとても高いんですが、全曲僕が自信を持ってゴーサインを出した曲ばかりです。
── 最終的なジャッジをするのは、のび太くんが多いんですか?
のび太:僕が曲を作っていますからそうなりますね。WHITE ASHに今こういう曲をやってほしいって思いながら毎回曲を作っているから、不思議なんですけど、自分だし、客観的だし、第三者的でもあるしっていう見方をしています。
WHITE ASHが存在する意味
のび太:2ヶ月ぐらい。今年の夏フェスが終わってすぐにプリプロをやって、そこからレコーディング。9月15日にバンド始動5周年イベントを渋谷サイクロンでやったんですけど、そこで「アルバムリリースします!」って発表した時は、まだ1曲もレコーディングしてなかったんです(笑)。
── 2ヶ月間みっちりだったんですね。今はちょっと落ち着いてるんですか?
のび太:でも、呼んで頂いたライブもあるし、年が明けたらワンマンツアーの準備をするので、そういう意味では慌ただしいですよ。ありがたいことですけどね。
── 今年1年はメジャー移籍したり、フェスにも多数出演したり、バンドとして変化がたくさんあったと思います。
のび太:一番大きな変化はメジャー移籍ですよね。関わってくれる人たちも増えましたし、いろんな人に支えてもらってるということをすごく実感して感謝してます。もっと頑張ってチームを引っぱっていかないといけないという意識が強くなって、バンド内でも話し合いをする機会も増えたし、バンドっぽくなった1年だったなっていうのは思います。
── バンドとして今年1年を振り返ってみてどうですか?
のび太:シングル3枚と、今回アルバムをリリースさせてもらいますけど、いっぱい作品が出せて良かったなと思います。リリースのスパンが短い分、どの曲も鮮度はすごくあると思うし、振り返った時に1曲1曲大事に作ったからこそ、ずっと聴けるものになってると思いますし、「シンプルかつカッコいい」ということにこだわって続けていくところがWHITE ASHが存在する意味だと思っているので、今後の活動もブレずに行きたいですよね。
── 今年1年の活動が、良い形で来年に繋がりそうな感じですか?
のび太:そうですね。僕ら自身が、次にどんなことをしようかというのを自分たちでワクワクする。そんな1年にしたいです。
── 来年2月からはツアーが始まりますけど、このツアーをやることによってバンドとしてどう成長していたいですか?
のび太:この作品をどうやってライブで表現しようかというところが、今までとは違うアプローチになってくるので、この曲をこの4人で表現するとどうなんだろうというドキドキ感もあるし、今までのワンマンツアーとはだいぶ違った感じにはなるんじゃないかと思っています。来年は2月のツアーがライブスタートになるんです。だから、ひさびさにみんなの前に出て行くというところで、見に来てくれるみんなが待ってて良かったという気持ちになれるようなツアーにしたいですね。
── WHITE ASHどうなっていくんだろうって、このCDを出して来年の活動がまた楽しみになりますよ。
のび太:楽しみにしていてください。来年はロックシーンの王様になっていたいですね。