炎上を狙ってるわけでもないし、全部にケンカを売ってるわけでもないんです
── そのあとの『FABYOOOOO!!!!!』では、ずっと怒ってる感じがありましたが。
ヨコタ:怒りのみですよ。
── この曲も書くきっかけがあったということですよね。
ヤマサキ:そうですね。でも、「FABYOOOOO!!!!!」っていうのはマネージャーのはいからさんの口癖だったんです。この言葉を使って曲にするというイメージはあって、それと自分が怒ってることだったりとかを書いていったんです。
── 「FABYOOOOO!!!!!」はネット用語ですよね。みなさんの曲ってネット社会の今だから出来たという感じってありませんか?
ヨコタ:俺たちみたいな音楽を聴く世代のほとんどの人がネットやってますからね。まとめサイトを見たり、Twitter見たりFaceBookやってたり。
── だから、スマホのマリンバのメロディーを曲に取り入れた『ファントムバイブレーション』みたいな曲は、アイディアとしてすごくおもしろいと思うんです。
ヨコタ:アイディアはベースのタクロウなんです。
カワクボ:曲を作る時に、なんでもいいからアイディアを出してくれって言ってくれたので、そのアイディアを持っていったら、たまたまセイヤの思ってるテーマと合致したという感じで。
ヨコタ:やってみてどうなるかということと、みんなでアイディアを出し合ったら今後やれる幅が広がっていくじゃないですか。この曲は他の曲に比べて曲調が明るいんですよ。もともとマイナーのパワーコードが好きなのでマイナーの曲が多いんですけど、メジャーコードで始まるフレーズを持ってきてくれたおかげでやっとメジャーの曲が作れたんです。『サブカル女子』の時に初めて凝ったコード進行をやったら意外とメロディアスだってウケが良かったので、こういうのも出来るんだって思えたんです。毎回いろんなタイプの曲が出来たら次のステップに行けるじゃないですか。実験的だったけど王道になったよね。
ヤマサキ:この曲最初はインストだったですよ。
ヨコタ:最初はあんまり歌詞がない感じでやってたんですけど、“スマホはもはや俺の臓器”って言葉をどうしても入れたいってセイヤが言い始めて。「えぇっ? それどういう意味?」ってその時は思っていたんですけど、今やライブでやるとみんな“スマホはもはや俺の臓器”って手上げながら歌ってますからね。
ソゴウ:“スマホはもはや俺の臓器”って(笑)。
カワクボ:あの歌詞は発想出来ひんよな。
ヤマサキ:歌詞にする時に、その言葉をネットで検索したら言ってるの俺だけやった。
ヨコタ:何かのインタビューでスピッツの草野マサムネさんが、「曲のタイトル付ける時に絶対に検索する」って言ってたんです。それで使ってない言葉があったら使うんやって。バンドマンはそういうのやってると思いますけど、スピッツと一緒やで!
ソゴウ:草野さんと一緒やん!
ヤマサキ:違う違う(笑)。
ヨコタ:ちょっと今のは俺たちが言ったってことは言わずに、「草野さんと一緒ですよ」って言ってもらえませんか? 俺ら「知らなかったです」って答えるんで(笑)。
── あー。はい…。でも“スマホはもはや俺の臓器”とか“空芯菜”とか、意味がなさそうでありそうな言葉を客席と一体となって叫んでる光景はみなさんのライブならではですね。欲を言えば、今後ラブソングとかも聴いてみたいですよ。
ヨコタ:聴いてみたいですか。
ヤマサキ:無理やな…。たぶん書けるとは思うねんけど、当事者が病むと思うねん。これ私のことやって。
ヨコタ:騒ぎ出してもな。
ヤマサキ:俺いろいろ思ってんねん。言うたらけなしてるってことだから。私が必死だったやつをネタにして歌いやがったって。
── 言いたい放題言ってるように見えて、誰かがこう思うかも知れないということは考えてるんですね。
ヨコタ:めっちゃ考えてますよ。炎上を狙ってるわけでもないし、全部にケンカを売ってるわけでもなくて、だからそこのバランスを見失うととげとげしたバンドになっちゃうんです。ギリギリのところでちゃんとブレーキを踏んでます。これを言うと言葉が強くなり過ぎちゃうとか。
オカザワ:バランス感覚はすごくあると思います。
ヨコタ:そうそう。言い過ぎたらおもしろくないんです。ラブソングをやったらおもしろくなるだろうにとはよく言われるんですけど、たぶんおもしろくないよね。でも『空芯菜』だって空芯菜へのラブだし、『たまにいるタラシくん』だってちょっとエモですし、ラブソングと言えばラブソングなんですよ。
── な…なるほど。そして、いろんなことをディスったりしてるけど、『ウィーアーインディーズバンド!!』(M-1)で、「誰にも負けられない」という歌詞から始まり、「バンドマンは全然食えない」というバンドマンの本音というか叫びがふんだんに込められた曲がありましたが。
ヨコタ:レコーディングの時に、仲が良いバンドがメジャーデビューしたりというのがあって、この曲はインディーズバンドとしての宣言なんかと言われたら宣言だし、宣言じゃないと言われたら宣言じゃないですけど、今「ウィーアーインディーズバンドです」という感じでやっているだけで………宣言?
ヤマサキ:思いなんもないっす(笑)。
ヨコタ:事実は言ってるけどな。
ヤマサキ:みんなをゾワゾワさせれたらいいなという感じの曲ですね。
ヨコタ:でも、まわりのバンドのことが気になってしょうがないというのは事実ですね。