歌を基調としたギターロックを鳴らす4人組Goodbye holidayが、今年2枚目となるミニアルバム『はじまりの唄』をリリースする。1月に『ソラリス』をリリース以降、活動が活発になり、ライブの動員を着実に増やしてきている彼ら。今回リリースされる『はじまりの唄』は、児玉一真の芯のある歌声を始め、4人のアンサンブルがより自信を持って絡み合っている様を感じさせ、前作から飛躍的な成長を遂げている彼らが見て取れた。初めてライブを見たのはちょうど1年前。その時から比べても、彼らが少しずつ自信をつけながらバンド人生を歩んでいるようにも見える。
インタビューとなると、まだまだ初々しさを感じさせる4人だが、作品についてなどお話をしてもらった。(interview:やまだともこ/Rooftop編集部)
ライブの経験がレコーディングに活きた作品
── 今年の1月に『ソラリス』をリリースしているのでペースが速いですが、前作に比べて演奏もスキルアップしているし、歌声も芯が強くなったという印象を受けましたし、目まぐるしいほどに進化を続けてますね。
児玉一真(Vo.Gt.):『ソラリス』の曲は広島から上京した時に作った音源を歌い直したり、アレンジを変えて録り直した曲もありましたけど、それ以外はマスタリングしただけなので実際2年半ぐらい前のものになるので、変わったと思われるかもしれません。でも、上京してライブの本数も増えたし、『ソラリス』をリリースして以降はいろいろな土地でもライブをやらせてもらえるようになって、今回はライブの経験が録音に活かされていると思います。
── かなりライブで鍛えられてますね。本数も増えたし、来てくれるお客さんの数もどんどん増えているような気がします。それは、みなさんが着実にライブで見せることに意識的になってきているからだと思いますが、いかがですか?
福山 匠(Ba.):ライブに関してはまだまだだと思いますが、以前インタビューをして頂いた時に比べると、ライブに来てくれるお客さんは倍以上になってます。それと、Twitterで話題にしてくれる人が増えたり、YouTubeで知ってくれたりしてるみたいです。
山崎晃平(Dr.):お客さんが3人という日もあったので、その時に比べたら増えましたね。
── では、今作『はじまりの唄』ですが、作品を作るにあたり、コンセプトとかはありました?
児玉:はじめはコンセプトなしで、自分たちが一番良いと思う曲を妥協なしで選んだらこの7曲になったんです。それで、もともとライブでやっていた曲のアレンジをレコーディングで変えたり、歌詞も全曲書き直した結果、狙ってはなかったですけど、どの曲も“はじまり”がテーマになって統一感が出たので、アルバムタイトルを『はじまりの唄』にしました。
── 『ソラリス』は初めて自分たち以外の方々も関わって制作したものでしたが、その時の経験を踏まえて取り組まれた今作では新しく挑戦したところはありますか?
山崎:前作は時間がなくて急いで作ったところもあったんですが、今回は時間がたっぷりあったので、レコーディング前に納得いくまで話し合いをして最後の歌入れまで出来たんです。でも、7曲目の『遠い街まで』は歌入れの段階でやっぱり違うと感じて、もう一度オケを録り直したこともありましたね。それで歌を入れたんですけど、今度は児玉くんがその歌を気に入らないって何度も何度も歌い直してようやく形になったんですが、これ以上無理だってなったら、もしかしたら6曲にしてたかもって言ってたぐらいで。どの曲も妥協せずに録れたと思います。
── 歌は特に重視したかったということですか?
児玉:毎回歌は重視していますが、今までのレコーディングは山ぽん(山崎)と2人でスタジオに入って自分たちで録るという作業でしたけど、今回はプロデューサーの方に聴いてもらい、歌い回しや符割とかを話しながらやらせてもらって、かなりこだわって録ることが出来ました。
── 特に気に入っている歌はどの曲になります?
児玉:バラードの『似たものどうし』ですね。速い曲を歌うのも好きですけど、『似たものどうし』のようなゆったりとした曲を歌うのが好きで、自分の持ち味が出せてるんじゃないかなと思ってます。
山崎:こういう曲は声が一番出しやすいみたいですね。
児玉:でも、歌入れに苦労したのも『似たものどうし』なんです。『遠い街まで』も歌い直しを何度もしていますが、この曲もかなり録り直しました。おかげで良い感じのニュアンスも出せたと思います。
出来上がったのを聴いて泣きました
── 良いテイクかどうかのジャッジはメンバーのみなさんも交えてですか?
児玉:歌入れの時はメンバーは来てないんです。
山崎:いたやん! 「なんで来たの?」って言われましたけど(笑)。
大森 皓(Gt.):プロデューサーの方にお任せしていたので、児玉くんとプロデューサーさんとでジャッジをしています。今回自分のパートを録る時以外はほとんどスタジオに行ってないんです。
山崎:なので、僕たちは歌入れまで終わって初めて全体を聴くという感じだったんですけど、出来上がったものを聴きながら「これはいいわ!」って家で泣きましたよ。『似たものどうし』と『feel』が特に好きです。
福山:最初聴いた時は『少年シンドローム』も良いと思ったし、『モノクロ』はテンポが速くてかっこいいと思っていたんですけど、何度も聴いていると『似たものどうし』が一番良いなと思いますね。
── 全部シングルでもいけそうな感じがありますけど、『似たものどうし』は私も初めて聴いた時に、歌声と演奏でじっくりと聴かせ、アレンジには雄大さもありましたし、みなさんの良さが余すことなく出ていて一番心を掴まれましたよ。
大森:この曲はアレンジャーさんと一緒に作っているんです。
山崎:児玉くんが作ったギターと歌だけのものを渡してアレンジしてもらって。
児玉:作った時は今のような形をイメージしていたんですが、ライブでやっていた曲だったので、バラードなんだけどロックっぽい雰囲気があったんです。でも、アレンジャーさんからアドバイスを頂きながら、最初のイメージに近い曲になりました。
── 歌詞は何気ない日常の中で感じる幸せが歌われていますが、曲の雰囲気とも合ってて良いんですよ。
児玉:もともと先輩の結婚式で歌う用に作ったんです。そういうイメージがあって作ったので、この歌詞になりました。
── 他の歌詞はどうですか? こういうのを書きたいというイメージを最初にして繋げていく感じなんですか?
児玉:今回はほとんどそうですね。東京に出てきて環境も変わり、広島にいた頃では書けなかった歌詞もたくさんあると思います。
── 『遠い街まで』みたいな歌詞は上京したから書けたのかもしれないですね。出てくる言葉が変わってきたという感じですか?
児玉:そうだと思います。歌詞に関してはプロデューサーさんにすごくダメ出しをされて、考えて考えて作りました。
── 歌詞を書く時はメンバーに相談したりはするんですか?
児玉:福山には、どう思う? という感じで話はしました。
── 福山さんは前作で『deco』の作詞を手掛けていますし。
児玉:今回も『e.a.e』の歌詞は福山が書いてます。僕が全然書けなくなってしまった時があったので。
── 『e.a.e』は「孤独」という言葉が出てきたり、藻掻いている感じのある歌詞で、児玉さんが書く歌詞とは少しだけ毛並みが違う印象でした。
福山:最初に「暗い感じで」って言われたので、こういう歌詞になりました。本当はもっと暗かったんですけど、児玉くんの声で歌うとちょっとアングラ感が出てしまうので書き直したんです。かなり時間が迫っていたので、スタジオと電話でのやりとりでしたね。
── 『e.a.e』ってどういう意味なんですか?
児玉:“each and every”(訳:それぞれの)の略なんです。歌詞は書き直したんですけど、もともとの曲名が『e.a.e』で、曲のテーマがそこまでガラッとは変わっていなかったので、曲名は変えずに。