変わっていく良さは体現したい
── みなさんの曲って、聴く人の心境によっても表情を変えますよね。気分が落ちてる時に聴くとなんか泣けてきたり、楽しい時に聴くともっと楽しい気持ちになれたり、すごく面白いと思うんです。それこそがポップスなのかなとも思いますし。
「日によって好きな曲が変わるっていう意見も頂いて、それもすごく嬉しかったです。聴き流す曲がないというか、『環状線は僕らをのせて』もゴッチさんのおかげで捨て曲じゃなくなったし(笑)」
── 何回聴いてもその度に発見があるんですよ。良い曲がいっぱい入ったアルバムだなって思います。
「いろんな人の力をお借りして、良い曲を良い音で録ってもらって。理想のレコーディングが出来たし、自分が歌ってることもやりたかったことも寸分の狂いもなく、それ以上にしてもらえたアルバムです。今までは、良いけどここは嫌いだなとか納得いかない部分もあったんですけど、今回は曲もテイクもミックスも、マスタリング、ジャケット、歌詞カード、ライブひとつとっても、関わってくれた人とちゃんと共有してぬかりなくやってきて。モノを作るってものすごい時間がかかるし、自分もまわりも心身共に削られるんですけど、全員が同じ気持ちで作ったと初めて言えるものだから、自分もずっと聴いているぐらい良い作品が出来たなと思っています」
── 今回の作品は、じっくり手間をかけて作っただけのものにはなっていますね。
「手間がかかった分、お金もたくさんかかってますけどね(笑)」
── たくさんの人に届いて欲しいですね。リリース記念として9月7日・8日と下北沢ERAで2デイズのライブもありますが、現在メンバーが総勢10人近くいらっしゃってステージには乗り切るんですか?
「乗りますよ。シェルターでも以前やらせて頂いて、その時は9人でしたけど全員乗りました。もちろんこれだけの人数がいるので、思うように動けないとか、モニターがないという不自由な面はあります。でも、現実的に僕らは今そこで存在しているバンドだし、みんなのことを考えると大きなステージのほうが良いのかなと思いますけど、ライブハウスでお客さんとの距離が近い感じとか、メンバーと直接アイコンタクトが取れる感じとか、それこそがライブハウスの醍醐味だと思っています。そういうライブハウスが僕は好きなんですよ」
── では、今後バンドとしてどんなものを目指していますか?
「メンバーが加入脱退を繰り返しているバンドですが、人には絶対ってないと思うんです。絶対死なないってないし、だから絶対に辞めないもないんです。離婚しない夫婦ばかりじゃないし、会社だって辞める人いるじゃないですか。もちろんメンバーの脱退が悲しいのはわかりますけど、変わっていく良さというのは体現したいと思っています。ずっと同じ音楽をやるつもりはないし、ただ変化した時にこの変化が素敵だなとか、変化って良いことだなとか、そういうのはわかってもらえるようにしなければならないし、だから、ゴロゴロとまた変化をし続けていくとは思います。何をやるかはそこまでは決まってないけど、当たり前のように苦労しながら良い曲を作って、練習して、良い音で録って届けるということをやっていくと思います」