価値があるかないかは自分で決めればいい
── AFOCほどバンドが同じ形で続くことに喜びを感じているバンドってあまりいないんじゃないかと思っていて、続いていくことを喜びと感じると同時に、すごく緊張感を持っている感じもするんです。
「今日が最後かもしれないという感覚は『ロックンロールバンド』の歌詞で書いていて、メンバーを疑っているとかはもちろんないんだけど、ギリギリの緊張感は何かをアップデートしていくっていうことだと思うし、だから2年半同じメンバーで続いているということに対して、その時間は人からしたら短い期間かもしれないけれど、続いている喜びを俺はすごく感じているし、続けることはすごくしんどいけど、その先に待っている喜びも知っちゃっているんですよね。だから石井(前Bass)が辞めた時もバンドを辞めようと思わなかったし、そういう意味では続いていることを大袈裟に喜んでいるように見えているかもしれないけれど、俺にとっては全く大袈裟じゃなくて。ネガティブなことをきっかけにポジティブなことを考え出そうとか動き出してみようって思ってる人がいたら、バンドマンでもバンドマンじゃなくても、続けてみたら良いんじゃないかなっていうことはちょっと偉そうに言えるかもしれない。俺は続けたことで感じられる喜びを一個知ってるよ。何か一瞬でも喜びが待ってるからやってみようよって。『オーロラソング』は最後“さあ いこうぜ”で終わるんですけど、そういう感じが今ありますね。『I'M FREE』もしゃべりかけているんだけど、最後“君はどう思う?”で終わっていたりとか、最後投げかけているイメージは強くなっていると思います」
── 『I'M FREE』は“気高さに値段なんかつかない”というメッセージを込めているそうですが。
「『I'M FREE』は新千歳から羽田に着くまでの飛行機の中で書いたんです。その前の晩にメンバーとスタッフとすごく熱い話をしながら呑んでいて、それがあったから“失踪した友達”というが歌詞に出てきたと思うんです。空港の係員とのやりとりもあり、今まで自分がやってきたことが正しいか正しくないかはわからないけど、そこに価値があるかないかは自分で決めればいいというメッセージが自然と出てきていて、俺こんなこと思ってたんだって自分でわかったところもありました」
── そして、この作品を持って秋から47都道府県に行く全県ツアーがあります。
「最初に言ったように、今日本に必要だと思う言葉を日本中に届けるために作ったのだとしたら、本当に日本中行くから、それぞれの街でどういう科学反応が起こるのか。試されてるというよりは自信があるアルバムが出来ているから証明するだけ。各地に行くことで出会いがいっぱいあるし、その街でしか出来ない曲とか思いつかない言葉が転がっているというのも知っているので、それを探しに行こうと思っています。47ヶ所も廻ればバンドはいろんな試練にぶち当たるはずで、それが楽しみではあります」
── タイトル通り、“行けばわかるさ”と。
「俺もわかりに行こうと思っている部分もあります。ツアーって、同じフレーズと同じ言葉を毎日歌うだけなのに毎日違うことが起こるというのが楽しいんです。良いライブが出来る日もあれば悪い時もあって、良い時のスパークの仕方と、悪い時から持ち上げる時のスパークの仕方は種類が違うじゃないですか。曲は一緒なのに転がっている感じが良いなと思ってます。自分が喜びを感じるポイントですね」
── 全県ツアーをやってファイナルを迎える頃には、またバンドが大きな変化をして帰って来そうですね。以前AXでのツアーファイナルを見た時に、“ツアー中どれだけ進化したんだ”と目を見張ったんですよ。
「毎回そういうバンドなので、目撃しに来て欲しいですね。ライブは踊っても良いし、酒飲んでも良いし、デートで来ても良いし、1人でも勇気を振り絞って来てくれたら一緒に楽しんで帰ろうって。絶対に楽しんで帰ってもらうので」