実現するか!? 鉄鍛冶のビッグバンド化構想
──哲さんの周りの人とはどういうわけか縁があるんですよ。SAKURAさんは僕の高校の先輩だったり。
高野:そうなんだよね。実は、俺の実の兄貴もSAKURAさんの後輩なんですよ。兄貴が在学中に「凄く有名なドラマーがいる」って言ってたのがSAKURAさんだった。兄貴は阿佐ヶ谷で店をやっていて、時々SAKURAさんがその店に行っては傍若無人の限りを尽くしているみたいなんですけど(笑)。…でもあれだね、考えてみれば俺、最近あまりロフトに出てないよね? 「いつでも呼んでよ」なんて言ってる割に。
──今度のZIGZOの3デイズが久々ですよね。
高野:何度かロフトでジュンジュラのライヴをやらせてもらったけど、「ロフトに一番似合うバンドだよ」って何人かに言われて凄く意外だったんだよね。まぁ、それはカジとハジメがいるからっていうのもあるんだろうけど(笑)。
──そう言えば、カジさんとやっていたARCB(ARBのカヴァー・バンド)にオファーしようと思ってたんですよね(笑)。
高野:何で今頃!? ニューロティカ先輩にお任せします!(笑) それよりも今はちょっとやってみたいことがあるんです。俺が崇拝しているFAITH NO MOREのマイク・パットンがPEEPING TOMっていうソロ・プロジェクトをやっていて、それはコーラス、ラップ、ヴァイオリンを加えたビッグバンド編成なんですよ。彼らがカヴァーしているボビー・ウーマックの『110番街交差点』が凄く格好良くてね。そのPEEPING TOMと同じように、カジとやってた鉄鍛冶を発展させてビッグバンド編成でやるのも面白いんじゃないかと思って。大所帯で日本の往年の歌謡曲だけをやるバンドっていうコンセプトでね。ARCBよりもそっちのほうが可能性はあるかもしれない。
──それはとても面白そうですね!
高野:鉄鍛冶では日本のロックのヒット曲を自分たちのレパートリーだと言い張ってカジと2人で演奏していたんだけど(笑)、そこからロックという枠を外して、たとえば美空ひばりのメドレーをビッグバンド編成でやってみるとかね。
──ビシッとタキシードでキメて、ハンドマイクで唄うような感じで?
高野:そうそう、まさにそのイメージ。せっかくそういうプロジェクトをやるなら身内で固めるのはやめて、これを機会に知り合ったミュージシャンと一緒にやるのも面白いよね、ってカジとは話してる。いつもの面子を集めると身内の宴会芸みたいになっちゃうからね。
──最後に、今後の目標を聞かせて下さい。
高野:nilにしろジュンジュラにしろZIGZOにしろ、最新作が凄くいいって言われながらいい感じの40歳を迎えられたら嬉しいですね。いいライヴをやり続けるのは当たり前なんだけど、最近は作品を作っていいものを残していくことが面白くなってきた。ライヴはあって当たり前のものだし、今はいい作品を残していくことが以前に増して刺激的と言うか。それと、今年1年が過ぎて振り返った時に「いろんなバンドをやって何だか散漫だったな」と自分が感じたら絶対にダメだと思うし、その辺は気を引き締めていきたい。上の空でこなすようになったらおしまいだし、ライヴでも「今日は調子悪かったな」っていうのが絶対に許されないところまで自分を追い込まなくちゃいけないと思ってる。何事も100%の力で向き合うのが当然なんだから、100%のステージをやらなきゃいけないし。だから体調管理もちゃんとしないと。各バンドのペース配分よりもロフト3デイズの打ち上げのペース配分を真剣に考えないとね(笑)。