ghostnoteが約3年ぶりとなるミニアルバム『きもちはつたわる』をリリースする。昨年1年間は、150本にも及ぶ大規模な全国ツアー"きもちはつたわるツアー2011"を行ない、バンドとして強靱になったことが窺える。今作はそのツアーでも披露してきた曲を、ミニアルバムとして収録したもの。『きもちはつたわる』という確固たる自信を持っているタイトルからも、バンドが覚悟を決めて進もうとする様を感じることが出来るだろう。また、今作はレコーディングエンジニアをベースの佐藤慎治が担当。一度原点に立ち返り、自然体になったghostnoteの音と、今の彼らの決意も込められたこの作品を聴いて欲しい。より強くなった言葉が、音が、あなたの心を揺さぶるはずだ。
Rooftopでは2006年11月にリリースされた『素晴らしき世界』以来のインタビューということもあり、インタビューをしていなかった時期の話も含めてお話を訊いた。
(interview:やまだともこ)
一度原点に戻って地に足つけてやりましょう
── 昨年1年間は音源を出さず、ライブづくしの1年でしたが振り返っていかがですか?
大平伸正(Gt.&Vo.):原点に戻りつつも、ghostnoteにとっては転機となった2011年でした。デビューしてからの3年間が新しいトライをするという期間だったので、必然的にライブの本数が減ってしまっていたんです。それで、改めて2011年どうしようかと話した時に、一度原点に戻りバンドとして地に足つけてやりましょうというところでツアーに回り始めたんです。
── もともとライブバンドですからね。
佐藤慎治(Ba.):ライブバンドと言ってるけれどライブが出来ない時期があって、2011年は満場一致でライブがやりたいという意見でまとまったんです。
中村勇介(Dr.):ライブをやると決めたのが1月中旬で、1月末にいろんなライブハウスに連絡し始めて2月からツアーを始めました。
── そこから1年間で150本のライブをやられたそうですが。
佐藤:最初は200本ぐらやろうと言っていたので、もっと出来たんじゃないかとは思っていますけど。
大平:単純にライブが好きなんです。昨年に関してはリリースもなく、自分たちで考えて行動出来る1年だったので、バンドってリリースしてツアーというのが一般的になってますけど、深く考えずに誘われたライブは全部出るし、間が空いてるんだったらライブ入れちゃおうよって。
── その間にも曲は作っていたんですか?
大平:はい。ライブの間にもずっと書いてました。でも、一昨年まで制作が多くて曲も溜まってましたから、本来のバンドの姿でもある、新曲を披露して温めていくツアーにしようとなったんです。
── 何曲ぐらい出来ていたんですか?
大平:断片的なものも含めると50曲以上はあったと思います。
── そこで演奏されて選ばれた曲が、今回のミニアルバム『きもちはつたわる』に収録されているんですか?
大平:タイトル曲の『きもちはつたわる』はツアー後に書いてますが、それ以外はツアーで演奏してきたものです。
── 50曲の中から選んだ基準は?
大平:ミニアルバムという5曲の中で、いろんなバンドの表情を見せるというのはサイズ的に難しいんですよね。だったら、昨年1年間ライブに来てくれた人、新しく出会ってくれた人、そして僕らが思うghostnoteの代表的な表情を見せようと思ったんです。簡単に言うと、前向きで背中を押せる曲。新しいアプローチをしている曲もあるんですけど、5曲というサイズなら振り切って、そういう曲を入れようっていうところでこの形になりました。
── 通して聴くと、“歩き出す”とか“一歩ずつ 歩いてゆこう”という前を向いていることを想像させる歌詞が多いですしね。
大平:聴き返してみると、今のghostnote自身を象徴している5曲なんだなって。みんなに歌いつつも結局は自分自身にも歌ってるし、そういう曲だなと思います。
── バンドの意思表明にも取れますよね。
大平:本当にそうなんです。昨年1年間ツアーに回って、出会いも再会もたくさんあったし、ツアーファイナル(12/16)は岡山で怒髪天とやらせてもらって、人間としての姿勢も学べたし。ghostnoteは今年10年目に入りますけど、まだまだこれからだと思っていて、この3人で10年でも20年でも続けていきたいというきもちが強いので、ある種の決意表明という部分も多分に含まれていると思います。
── そういった決意表明もありながら、2曲目の『まあいっか』のラフさも良いですよね。「頑張り過ぎなくても良いんじゃない?」というメッセージが込められている気がしましたが。
大平:家の向かいにあるバーによく行くんですけど、曲が書けなくてスランプになった時に、そこのマスターに「精一杯やってるんだから、まあいっかって思えるぐらいのほうがいいぞ」って言われてピンと来たんです。それで、ギターを借りてその場で書いた曲。それぞれ一生懸命生きていると思うので、そういう人にこそ聴いてほしい。怒髪天の増子さんからは、「お前らのネクストはこれにある!」と、ありがたい言葉をいただきました。
── 1曲目の『a walk in the life』には「まあ、焦ることはないさ」という歌詞があり、今でもガムシャラさは伝わってますが、良い意味でラフさが加わったんじゃないかと思いましたが。
大平:昨年ツアーを回ったからというのもあるんですけど、より曲を書くことやライブをすることが生活と直結するようになったんです。だから言葉も自然と出てきたものをそのまま書いちゃうぐらいのラフさは持ってるかもしれないですね。自分をそのまま表せば良いんだと思えたんです。
── 曲の『きもちはつたわる』は、どんなきっかけで書いたんですか?
大平:2011年の1年間は昨年あったいろいろな出来事を含めて、バンドマンとしても一人の人間としても、いろんなことを考え直したり向き合う時間が圧倒的に多かったんです。それでツアーが終わった時に、曲を書く人間として、歌うたいとして、次に繋げるための曲を書かなければ次に進めないと自己暗示的に思っていて。それが形に出来たので、自分の中でまたスタート出来るという感じです。歌詞に“きもちはつたわる”という言葉は出て来ないですけど、言ってる内容が“きもちはつたわる”だと思ったので、タイトルは後から付けました。
── 具体的な出来事があったというわけではないんですか?
大平:僕にとっては、その言葉に願いを込めているんです。“きもちはつたわる”って念じながら、もっと前にって。そういう意味も込めているから現状に満足したことは一度もないし、まだまだこれからってたぶんずっと思い続けると思います。
── 『きもちはつたわる』という言葉もすごく良いですよね。昨年のツアータイトルでもありますが、この言葉もghostnoteを象徴しているんじゃないかと思っていました。
大平:これは、岡山で結成したばかりの頃に、初めて岡山で自主企画をやった時の企画タイトルなんです。
佐藤:このワードが3人とも好きで、その後県外に出るようになった時のツアーも“きもちはつたわるツアー”と付けていたんです。
大平:だから昨年の原点に戻っての全国ツアーというのは、いろんな意味で原点に戻ってタイトルも“きもちはつたわるツアー2011”というタイトルにしたんです。