一番こだわったのは、この曲をライブでやったらどうなるかなっていうこと

── ヴォーカルの聴こえ方も前作までと比べると変わったような感じがあったのですが。少しエフェクトがかかったような。
寺中：自分に関しては、前回レコーディングした時よりも、かなり歌い方は変えていて。力を抜くように歌ったっていうのもありますし。あとは、5曲目の『僕のなか』って曲で結構やってるんですけど、オートチューンというエフェクトがかかってる声が個人的に好きで、今回は興味半分でやってみようかなと思ってやってみたり、個人的には、歌声は結構変わったかなと思いますね。
── 今回は、ツイン・ヴォーカルにも挑戦されていますが、これは以前からあったアイデアなのでしょうか？
寺中：義勝（Vo./Ba）が作った曲は義勝が歌って、自分が作った曲は自分が歌ってっていう流れが出来てきてて、その中で、武正（Gt）の作った曲っていうのが出来るようになってきて、その曲どうしようってなった時に、アイデアとしてツイン・ヴォーカルにしてみたらどうだろうっていうのが出てきて。じゃあ試しにやってみるかって言ってやったのが『sympathy』。スタジオで練習してる時にぱっと出た意見から始まったんですよ。で、やったらいい感じだねってなって。そこから、武正が作った曲はツイン・ヴォーカルでって今回はなってますね。今後は、武正が作った曲じゃなくても、ツイン・ヴォーカルを増やしていきたいなって話もしてます。
── 先ほど楽曲がそれぞれに持ち寄る形だったとおっしゃっていましたが、それは歌詞も同じですか？ 完全に出来上がった状態で持ち寄ったのですか？
寺中：はい。
── 『トラベリング』が日本語詞だったのでそこを意識したということでしたが、全編日本語詞でいこうと決めていたのですか？
寺中：英語も入れた方がいいんじゃないかっていう意見もあったんですけど。今回は、チャレンジみたいな感じで、全部日本語でやってみたいと。
── ライブ感のある楽曲が多いからこそ、その勢いを出す為に意識的にこだわった部分はありますか？
寺中：個人的に一番こだわったのは、曲を作る時に、この曲をライブでやったらどうなるかなっていうことを想像しながら、ここの展開ではお客さんにこうなって欲しいとか、この曲はここを聴いて欲しいとか。こういうライブを作りたいからこういう曲を作ろうっていう感じで。かなりライヴを意識してやりました。
── 本作において、バンドにとって一番飛躍を遂げたなっていうところは？
寺中：ライブでは結構やっている曲が多いんですが、今のところお客さんからは予想通りの反応がきているので、発売されて、CDを聴いてライブに来てくれたら、もっと自分が思った通りのライブが出来るかなぁと。そういう意味で、狙った通りの曲が作れるようになってきたかなとも思います。それが今回はデカイですね。
── ライブを意識して曲を作るようになったということですが、だからこそ言葉が伝えやすくなるとか、日本語詞になったのは必然だったのかなと思ったんですが、いかがですか？
寺中：英語に比べたら覚えやすいっていうのもあるし。あと、日本語だと言葉の意味がすっと分かるじゃないですか。だから、その中で聴いてる人が自分なりに歌詞のストーリーを組み立ててくれたらすごい嬉しいなというのはあります。
── タイトルについてですが、動画配信している「KEYTALK TV」では、アンチェインの佐藤さんにちなみ、「佐藤→砂糖→SUGAR」という流れでつけたと発言されていたのですが…。
寺中：そのままです（笑）
── なるほど（笑）。でも、前作『TIMES SQUARE』は、「ニューヨークのタイムズスクエアからとった。ダサくて面白いから」と言いつつも、「楽曲中に“夕方”“夜”“深夜”“朝”という4つのキーワードがあって、その4つの時間(TIMES)で囲まれた四角形(SQUARE)の間に昼があって、その真ん中にKEYTALKがいるというイメージ。」と、KEYTALKを具現化したようなニュアンスだと語っていらっしゃいましたが。今回はそういったものはなく？
寺中：ぶっちゃけ、前回のそれも後付けなんですけど（笑）。今回は、まだそういう深い後付けが出来ていないんで。個人的には、SUGAR…砂糖…甘いっていうイメージがあるんで、今回は曲も歌詞もメロディもSUGARっぽい、甘い感じには出来てるかなと。まだそのくらいです。
── 『トラベリング』の時は人の手を借りて、楽曲を作り上げるっていう形だったのが、先ほどの“TGMXさんは今回は見守る形が多かった”っていう話しからも分かる通り、前作を経て確実に成長を遂げていますよね。前作そして今作までの流れって、一作で見せた変化がその一回で終わるのではなく、学んだものが確実にバンドの血となり肉となり、大いなる成長と変化へ繋がったような、学んだものへの答えがありました。きちんと答えを出してきたからこそ、セルフ・プロデュースへの挑戦というのは考えの中にはないのでしょうか？
寺中：やってみたいというのはありますね。最後の曲の『アワーワールド』っていう曲で、その曲は『トラベリング』っぽさはまったくないんですけど、自分たちの好きなスカとか、ツービートを混ぜて、ちょっとこのアルバムの中では異色を放ってるんですけど、自分たち的はすごく好きで、次はもっと別のKEYTALKを見せれるようなものが作りたいんで、もしそれがセルフ・プロデュースで出せるのであればやってみたいです。
── ちょっと気が早いのですが、次作に向けた曲作りは始めているのでしょうか。
寺中：アルバムを見据えてっていうわけではないんですが、すでに曲はいくつか出来ています。また、かなり違った感じになってるんで、まだ全然見えてないんですけれど、また変わるなぁっていうのは、自分たちでも感じてますね。
── 前作のインタビューで、“バンド・KEYTALKとしてやりたい音”については、“特にない”“決めていない”“方向性すら決めていたわけではない”と発言されているのを目にしたのですが、それは今も変わらずですか？
寺中：特に決まっておらず、その時に作りたい曲を作った時にちょっと見えるっていうことはあるんですけど。まだ、曲も数多く作ってないので、自分たちも楽しみだなっていうところがかなりあるんですけど。
── 自分たちの中でKEYTALKはこんなバンドだなっていうイメージは出来つつあるんですか？
寺中：メロディだけ聞いても、“KEYTALKっぽいメロディ・ラインだな”ってすごい思えるメロディを作ったり。あと、ライブに関しては、CD聴いただけじゃあのライブは想像出来ないって、よく言われるんですけど、そういうライブを今後も絶対やっていきたいです。印象的なパフォーマンスとか。
── では、来る11月19日、下北沢シェルターワンマンに向けての意気込みをお願いします。
寺中：4、50分っていうのが、今まで経験してきた中で一番長いライブなんですが、今回ワンマンっていうことで、1時間半とか、2時間弱とかすごい未知の領域なんで、不安もあるんですけど、それ以上に今すごく楽しみで。自分たちだけを観にライブハウスに来てくれるっていう状況が初めてなんで、プレッシャーも感じるんですけど、そのプレッシャーも力に変えられるように。ワンマンは初めてですけど、大成功に収めたいと思います。
── これまでに発表してる曲数って…？
寺中：過去2作合わせて11曲くらいで、今回が7曲です。
── 全曲出来そうですね。
寺中：やれる曲は全部やります。今までデモという形で発表してた曲もあるんで、そういう曲も織りまぜて。今、曲の練習はしてるんですけど、ライブの練習はまだしていなくて。繋げた時に何分なるかも分かっていないんですけど。これからスタジオいっぱい入ります。
── 体力面は大丈夫そうですか（笑）。
寺中：…走ります（笑）。