
【第二部】リカヤ・スプナー × ラブ・セクシー・ローズ × 田実健太郎 × 華雪ルイ
『デストロイ・ヴィシャス』の彼方に在るもの
リカヤ お次は、監督抜きでこの映画を語りましょう。ってことで、新たに出演者の一人でもあるラブ・セクシー・ローズさん登場!
華雪 ローズさんは、この映画をさっき試写で観終えたばっかりですよね。感想は?
ラブ・セクシー・ローズ いやー、素晴らしくデタラメだったね!! 脚本も撮影もデタラメだったけど、仕上がりはもっとデタラメだった(笑)。非常に悪意に満ちてるし。なんというか、笑える悪意ね。ホント、デタラメってのも、悪意ってのも、イイ意味でだからね。説明が難しいけど、イメージ、イメージ(笑)。この監督は、映画で遊んでるよ。楽しみ過ぎでしょ。「この人にこういうこと言わせたら面白いだろうな〜」とか、「こういうシチュエーションでこういう行動とらせたら面白いだろうな〜」とか、思いつくかぎりの面白そうなことを躊躇なく全部やっちゃってる。詰め込んでるねー!
田実 常に「真っ直ぐは行かせませんよ」的な何かがあるよね。
ローズ そうね、妙なS心を感じるよ。そういうとこも笑えたな。多分試写観てた人達の中で、俺が一番笑ってたと思う。リカヤさんのシーンだって、何アレ?ネタバレしちゃうから具体的にはツッコめないけど、俺びっくりしちゃったよ(笑)
リカヤ ローズさんの芝居だって、皆やられたって言ってましたよ(笑)。
ローズ 映画の中では、割とまともな部分を使ってくれてたね。ホントはもっと色々やったんだけど、監督に「ローズさん、ヤリ過ぎ」って止められた(笑)。
華雪 島田監督に止められるって凄い。ヤリ過ぎパンク監督にヤリ過ぎって言われるなんて(笑)。
リカヤ 皆さんは、どんな人にこの映画を観てもらいたい?
ローズ とりあえず、平穏な毎日を送り、出来るだけ波風立てずにこのまま平和に人生を送っていきたいと心底願っている人は、絶対に観ないほうがいい(笑)。それだけは断言出来る!
田実 ルーフトップの読者には、もちろん観て欲しい。出演者の豪華さに惹かれる人も多いんじゃないかな。「こっち側」の人ならわかる豪華さ!!
リカヤ フライヤー見て、どの出演者に反応するかは分かれるとこだよね。皆カリスマ的人物ばかりだけど、なかなか映画やテレビじゃ観られない人も多い。
華雪 フライヤーを人に見せると、だいたいの人が「あっ、○○さん出てるんだ〜!」って言うでしょ。その最初の「○○さん」が、皆それぞれ違ってるとこが興味深い。ちなみに私のイトコはこのフライヤー見た瞬間「あっ!ラブ・セクシー・ローズが出てる!」って叫んでた(笑)。
ローズ 最初に俺かよ!もっと他にあるでしょ(笑)。
リカヤ バラバラな役者選びに見えて、実は監督の中では一つに繋がってるんだろうね。
華雪 役に合わせて役者を選んだというより、監督の「好きな人」とか「憧れの人」という基準でオファーしたらこうなったんでしょう。
ローズ このラインナップのアクの強さを、散らかし放題散らかして遊んでるんだもん。ムダなボケがいっぱい(笑)。贅沢過ぎる。
田実 この人にこの役を? という意外性も満載。
☆
リカヤ ルイ(華雪)ちゃんは、映画が完成したのを観た時、どう思った?
華雪 自分は共同脚本という形でホンにたずさわっているので、手放しで「面白い!」って楽しむのは正直難しかったですよ。「今のセリフでよかったのか?」みたいな細かいことを今更のように考えたりして。ただ、想像だけだったシーンが思ってた以上に素晴らしい映像に仕上がってたりもしたので、けっこう感動しましたね。かなりビックリするのもあったけど。
ローズ 確かにビックリする(笑)。ビックリしてばかりいると、ストーリーなんかだんだん気にならなくなっちゃうよね。もはや全体性の問題じゃない。ムダなシーンのほとばしりこそ、この映画の醍醐味かもしれない。
華雪 この映画って、面白いか否かより、驚きが先にきちゃうんじゃないかな。何なのこれ?って思ってから、ようやく笑いがこみあげる……みたいな。
リカヤ おそらく人によって、心に残るシーンも全然違うだろうね。
田実 短時間で、ぐいぐいテンション上げられる映画だと思う。超アッパー系!レイトショー向きだよね。この映画を観た後に、お天道様は拝みたくないな。出来ればそのまま朝まで酒を飲みたい感じ(笑)。
リカヤ 理不尽なこと山積みな映画なんだけど、それをネガティブなままで終わらせてないから、観た直後は、私生活の理不尽さも「まーいっか」と思えそうだよね。
ローズ 一つ言えることは、この映画をレイトショーで観て、「さあ、明日から頑張ろう!」って思える人はいないだろうってこと(笑)。
リカヤ いないね。
田実 いないよね。
華雪 いないだろうね(笑)。
リカヤ 「会社行くのやめようかな」って思う人はいるかもね。
華雪 「なんとかなるんじゃない?」って思っちゃうかも。この清々しい馬鹿馬鹿しさに。
ローズ 20人に1人くらいは、泣くかもね。
田実 えっ、僕泣きそうになったけど(笑)。
ローズ もし泣いても、俺は絶対人に言いたくない(笑)。
田実 1人で観たら、泣くな僕……。
☆
リカヤ さて今後皆さんは、どんな形で島田映画に関わっていきたいですか?ちなみに僕は、島田映画にはどんな形でもずっと携わっていきたいと思ってる。あの人は、日本の映画界には絶対にいなきゃいけない存在だからね。
ローズ 俺は、できるだけ関わらない方向で……なーんてことはないですよ(笑)。また出たいです。撮影楽しかったし。あとは、島田さんが監督してくれるなら脚本とか書いてみたいよね。
田実 今僕は色んなことやってて、自分が何者かどんどんわからなくなってきてるんだけど、その中でも映画のプロデューサーなんて一番わけわからない(笑)。
華雪 完全に巻き込こまれてしまいましたね(笑)。島田監督は、健太郎(田実)さんをものすごく頼りにしてるみたいだし。
田実 とりあえず今回は、映画に合うエンディング曲を選べて良かったなと思ってます。今後も島田監督と一緒に、ますますわけわかんなくなっていきたいですね(笑)。あと、3月2日にロフトプラスワンで開催される「『デストロイ・ヴィシャス』ナイト」というイベントを成功させなきゃですね。出演予定は、松本さゆき、大塚明夫、内田春菊、鳥肌実、流血ブリザード、月花、他、豪華出演者多数! もちろん、監督の島田角栄も出演します。あと、MCのリカヤにも期待してますよ!
リカヤ おお、頑張りますよ! では、ルイ(華雪)ちゃんは?
華雪 私はですね、実は脚本を一本書きました。それを島田角栄に監督してもらうつもりです。『デストロイ・ヴィシャス』とは全然違うテイストの、けっこうジメッとした暗い感じのやつ。笑いもそんなにないかも。
ローズ 島田監督のジメッとした、あんまり笑えない映画も観てみたいね。
リカヤ なんだか今後も色々楽しみですね。皆で、どんどん映画界を面白くしていきましょう!奇跡のパンク映画『デストロイ・ヴィシャス』は、3月5日〜三週間、渋谷ユーロスペースにて21時からレイトショーです。皆様、お見逃しなく!!