Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー小向美奈子('10年8月号)

映画『花と蛇3』公開記念インタビュー

2010.07.20

団鬼六による官能小説の金字塔『花と蛇』。これまでに幾度となく映画化されてきた本作の最新作『花と蛇3』が、8月28日より全国公開される。主演は、昨年6月のストリップデビューなど、常にスキャンダラスな存在であり続ける小向美奈子! 清楚なチェリストでありながら、夫の死を境に官能調教の冥府魔道へ堕ちてゆく主人公・静子を、ムチ打ちあり監視放尿あり全裸ハードレズあり、そして話題の「スライム乳」も曝して文字通り体当たりで演じきる! 更に著名緊縛師・有末剛による芸術的緊縛が百花繚乱咲き乱れ、名バイプレイヤー・火野正平の凄まじい存在感も注ぎ込まれ、どっかの続編映画が腰を抜かす、台風のごとき破壊力を誇るに至った本作。今回、我々取材班はその台風の目とも言える小向美奈子へのインタビューを取ることに成功した。インタビュアーは、ロフトプラスワン随一の危険度を誇るシリーズトークライブ「プチ鹿島・居島一平の思わず聞いてしまいました!!」でお馴染み、プチ鹿島。意外とも言える共通点・プロレスをテーマにした対談を、是非ともご覧あれ!(インタビュー:プチ鹿島 文・構成:前川誠)

緊縛されていると
身体が「お任せ」になってくる

──ツイッターで知ったんですけど、小向さんはプロレスファンということで......(差し入れの『週刊プロレス』と猪木フィギュアを渡す)。

 わー! 嬉しい!! ありがとうございます。

──女性がプロレス好きになるのって、珍しいですよね。

 いや〜だってかっこいいじゃないですか。エンターテインメントとしてのスポーツの中で、一番かっこいいですよ。

──『花と蛇3』を拝見したんですけど、すごくプロレスと通じるものを感じたんですよ。まさに事件と言うべきこの映画そのものが、事件をエンターテインメントとして見せるプロレスと同じ方法論のうえに成り立っているんじゃないかと。そもそも、このお話を受けたときにはどんな気持ちでしたか? 相当準備されたんでしょうか?

 精神的には特に準備もせず、まっさらな状態で臨みました。もちろん今までも劇場に出るためにトレーニングはしていたんですけど、元々すごく筋肉がつきやすい体質なので、今回は(トレーニングは)止めて。一時期は何も重いものを持たないで、ほぼ動かないで生活していました。特にチェリストは腕にあまり筋肉がない方が多いので、そこにはすごく気をつかいました。

──小向さんがチェロを弾かれるシーンはすごく印象的です。最終的に静子の肉体が緊縛されて、ひとつの美しい楽器となって奏でられる訳じゃないですか。それってオープニングで静子がチェロを奏でているシーンの裏返しなんじゃないかと。

 そういう見方もできるって、今はじめて知りました(笑)。

──そういう点も含めて、ひとつのドキュメントを見ているようだったんですよ。映画が進むにつれ、静子が小向さんに乗り移っていく様がすごく生々しくて......。

 撮影中は静子と一体となってましたね。吊られるとはいえ、自分の身体な訳ですから......。

──カットがかかってもそのままだったんですか?

 いや、カットがかかったらギャーギャー騒いでましたけど(笑)。そこは切り替えてました。

──これまでに緊縛の経験はなかったんですよね?

 ありません。だから最初は物珍しかったり痛かったりしたんですけど、だんだん身体が「お任せ」な状態になってくるんですよ。最後は監督さんの声しか耳に入りませんでした。



女囚菊門さらし

──共演の火野正平さんについて伺いたいんですが、凄まじい存在感を放っていましたね。

 さすが昭和のプレイボーイですよね。最初は怖かったし貫禄もあったけど、知っていくにつれてすごく優しいし、少年みたいな笑顔を浮かべるんですよ。それがすごくかわいくて!

──初対面はいかがでしたか?

 初めてお会いしたのが(静子の)放尿シーンだったんですけど、「あ、チューしちゃった!」って独りで照れてましたから、わたし。その後ちょっとずつお話するようになったんですけど、すごく気さくな方で。ある収録のときに「俺、チョコレート好きなんだよ」って手元からチョコレートを出したのを見たときに、なんだかすごく距離が近付いた気がして、そこからすごく仲良くさせて頂きました。

──そういう、意外な一面って女性は弱いですよね。

 全然かっこつけないし、自分を曝け出してくるし、それでいて少年みたいに笑うし......。本当に素敵な方です。

──いや〜火野さんが羨ましい! さて、本作にはかなり濃厚なレズシーンもありますが、あれも小向さんにとっては初めての体験ですよね。

 そうですね。

──もし現実であの映画のような状況になったら、小向さんはどうしますか?

 逃げます(笑)。

──ただ、映画だとあのシーンをきっかけに静子が変貌を遂げます。今回は前作までの『花と蛇』とは違い「内面」の調教にフォーカスしていると思うのですが、それが特に強調されるのがこの場面です。

 そう、この映画って、女性の方はいろんなことに置き換えて観ることができると思います。あと、緊縛のシーンは芸術的でキレイですし、ぜひ女性に観てもらいたいですね。

──緊縛と言えば今回「芋虫ころがし」や「生け捕り揚羽締め」、さらに「地獄吊り」なんてまさにプロレスの技のような縛りが登場します。これは緊縛師の有末剛さんが即興でやられたモノで、ほぼ再現不可能だそうですね。

 すごいですよね。わたしが一番好きなのは、白無垢で吊られているやつです。「女囚菊門さらし」っていう名前らしいんですけど、すごくキレイですよね。調教の部分と縛りの部分は観る角度が変わって来ると思うから、かなり面白いと思いますよ。

──他にも「いけにえ観音」なんて縛りもあるそうですが、まさにその通り神々しいまでのオーラを感じました。

 (緊縛の写真を見ながら)これとか、本当に緊縛師さんとの信頼関係がないと無理なんですよ。



静子と一緒に成長した

──ストリップの公演も今後続けていかれると思うんですが、待ち時間はいつも何をされてますか?

 近場に買い物に行ったり、ダンサーの子とご飯食べに行ったりとか、結構自由にしてますよ。

──食事制限はなさらないんですよね?

 そうなんです。制限なんてしたら逆に太っちゃうから、一日5食以上食べてます。

──確かにストリップの舞台って、相当ハードですもんね。

 身体自体は動いてないけど、インナーマッスルがすごく鍛えられますからね。

──正直、ストレスがたまったりしません? どうやって発散しているんだろうって思うんですが。

 もう、踊ること自体が発散ですね。あと地方とかだと、いきなりモノマネして登場したりとか(笑)。

──サービス精神が旺盛なんですね。

 よく言われます(笑)。結局どんな場所でも、自分がいかに満足できるか、面白がれるかっていうことは大事にしています。それでもしお客さんが応えてくれたら、やっぱり嬉しいじゃないですか。

──すごいなあ。どんな地方でも絶対に手を抜かない、まさに天龍みたいな人ですね。

 あはは。

──でもね、本当に誤摩化しが効かない、身ひとつで挑むっていう意味ではストリップもそうですし、今回の映画もそうですよね。どうですか、本作で女優として一皮剥けた感覚ってありませんか?

 いや、女優としてというより、女としてですね。静子と一緒に成長した感覚はすごく強いです。

──なるほど。ではこの経験を経て、次は何をやっていきたいと思っていますか? 「生け捕り揚羽締め」というくらいですから、もう脱皮された訳で......。

 いや、わたしはまだ蛹ですよ。次はどうするか......分からないですけど、たぶん来たものは何でもやっていくと思います。

──おお、そこは猪木イズムなんですね!

 そうかな(笑)。

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LIVE INFOライブ情報

『花と蛇3』
8月28日(土)より、全国ロードショー
配給:東映ビデオ
(C) 2010東映ビデオ

 

9月7日(火)@LOFT/PLUS ONE
「プチ鹿島・居島一平の思わず聞いてしまいました!!3」

大物文化人をお迎えし、「耳年増」プチ鹿島と「天才歴史オタク」居島一平がとことん聞いてしまうザ・トークショー。「大槻ケンヂ&河野太郎」来襲の第2弾も超満員&大反響、思わず東スポにも報道されてしまいました。パート3もスゴいです。ゲストに「勝谷誠彦」氏決定。あの超人気コラムニストがプラスワンに降臨します。そして、北朝鮮のエキスパート「重村教授」も奇跡の参戦決定。これを見ずして、聞かずして、どうしますかお客さん!!

【出演】プチ鹿島、居島一平
【Guest】勝谷誠彦(コラムニスト)、重村智計(早稲田大学国際教養学部教授)

OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥2000 / 当日¥2300(共に飲食代別)
※前売券は8/7よりローソンチケットにて発売!!(Lコード:39862)

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