Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー未成年('10年2月号)

激動のメンバーチェンジを経て、遂に快進撃が始まった!!

2010.01.21

 初の全国流通、そしてファーストアルバムにして、すでにベストアルバム的傑作盤を作りあげた未成年。常に初期衝動に忠実であり、大人になる自分たちへの戒めの意味...という理由が込められたバンド名からもわかるように、古き良きバンドマンスタイルを貫き通している今時珍しい肉食系男子バンド。パンチ力とメッセージ性を含む日本語歌詞と圧倒的に突き抜けるボーカルを軸に、「唄は主張」をマニュフェストとしながらも、それに食ってかかるような泣きのギタープレイ。他の楽器も一つ一つが戦っているのが良くわかる。それだけバンド内の自己主張が大きい。現在の音楽シーンでは極度の異端児的存在だが、伝えたい事は素直でストレートな分かりやすい益荒男...それが未成年なのだ。今回は、伊津美 昴(vo.&Gt)にお話を伺った。(interview:森 三彩 / text:やまだともこ)

ようやく最強のメンバーを手に入れた

── 『masurawo』はロフトの流通C-LINKを使って、初の全国流通になりますが出来上がって手応えはいかがですか?

伊津美 昴:未成年は何度もメンバーチェンジをしていて、このメンバーになって初のアルバムが完成したので、ようやくスタートラインに立ったなというのが正直なところです。このメンバーでやっていくという確信もあって『masurawo』の制作に取り組んだんですけど、最高の作品ができたと思っています。

── ロフトの流通を使うことに、こだわりはあったんですか?

伊津美:東京に出てきた8年ぐらい前に、新宿ロフトにメンバー募集のチラシや、当時やっていたバンドのチラシを持って行ったんですけど、門前払いに近い状態だったんです。その時は悔しいという思いより、いつか絶対にこのステージに立ってやるという思いの方が強くて、ずっと憧れていた場所なんですよ。その後、未成年を結成して3ヶ月後ぐらいに、麒麟のワンマンのオープニングアクトで出させてもらったのがロフトでの初ライブで。そこから副店長の河西さんに声をかけて頂くようになったんです。昨年1年は、ロフトやシェルターを拠点に活動をしていて、誰がなんと言おうと自分たちは新宿ロフトの歴史になると思っています。それで、ロフトの流通を使わせて頂くことにしたんです。

── ロフトに初めて出演された当時はメンバーに鍵盤の方がいて、5人だったんですよね? 音楽性も全然違ったんですか?

伊津美:違いました。当時の曲はもうやってないです。

── 紆余曲折経て今のメンバーになりますが、このメンバーになってこれまでと変わったと感じるのはどんなところですか?

伊津美:ギターですね。今のギタリスト(頼田 陵介)は十数年の付き合いになるんですけど、頼田はレーベル契約をしていたので未成年の結成当初は一緒にやりたかったけどできなくて。ギターの音色のバリエーションが広いので、これまでの曲をリアレンジしているんですけど、ほとんどが変わっています。3年間待った甲斐がありましたよ。

── では、『masurawo』で新しく挑戦したことってありますか?

伊津美:自分たち的な挑戦というのはなくて、あくまで未成年は王道の歌と唸るギター。これを全部凝縮させています。歌重視のバンドでありますけど、ギターはすごく重要で、ギターバンドとはこういうものだろうというのを提示している部分もあります。だから、頼田には歌を生かすギターを弾いてくれとは言わないんです。歌にケンカを売ってくるようなギターが未成年にはちょうどよいので。

自分達の信念に基づいて突き進んでいく

── 今回のアルバムでは、これまでにリリースされている作品からも何曲か入っていますが、その当時の曲と最近の曲とは歌詞がだいぶ変わったような感じがしたんですが、ご自身ではどう感じてます?

伊津美:年々感情が剥き出しになっている感じはしますね。あとは、なるべくわかりやすい言葉とか、フィクションにはならないようにということは考えて作っています。

── 言葉を伝えることが一番大事?

伊津美:人は生きているだけでドラマを生んでいると思っています。そのドラマを飾らない言葉で伝えられたらと思っています。

── 昔の曲の中から今作に入れるという時に、選んだポイントはどんなところだったんですか?

伊津美:ライブの定番曲であったりとか、歌詞ですかね。歌詞は全て統一感はあると思うんです。毎回いろんなバリエーションがある曲なんですけど、根本的に伝えたいことは同じですから。

── タイトルの『masurawo』ですが、この言葉を聞いた時に裸一貫で人生という荒波に立ち向かう漢というイメージもあったんです。これはどういった意味を持たせて付けているんですか?

伊津美:masurawoは昔の言葉で特攻隊とかのことを言うんですけど、自分たちに自信を持って言えることがあるとしたら、特攻していくということなんです。小難しいことだったり最先端の音楽はできないですが、自分達の信念に基づいて突き進んでいると思っています。

── ひねくれていなくて、まっすぐなんだけどどこか不器用な感じはしますよね。

伊津美:おっしゃる通りです(笑)。

── そんな男臭い歌詞が多い中、8曲目の『ED BOYZ!!』は男っぽいと言えばそうですけど、アルバム1枚を通して最終的に残った曲がこの曲でした(苦笑)。

伊津美:これはライブの定番となっている曲で、盛り上がりポイントでもあります。ギターのフレーズは完全にオジー・オズボーンですからね(笑)。

── その反面、『純真』や『ETERNITY』のような純粋なラブソングもあったり、『向日葵』のような弾き語りから来る感じはドキドキしましたし...。12曲あって同じような曲が1曲もないというのは、未成年の引き出しの多さを感じますね。

伊津美:過去のレパートリーの中から、1st.にして今の未成年を最大限に詰め込んだベスト・アルバムを作るというのがキーワードにあったんです。それを並べていったらこの形になったんですよ。

── ところで、曲中にセリフが多いですが、あれはどういった意図で入れているんですか?

伊津美:ライブを意識しているのかもしれませんね。曲間にMCが入っている感じです。

── 『Southern Cross』は特にセリフも多く、バンドを組んだ若者の青春映画を見ているような感じもありましたが、気付けば10分近い大作になってますからね。

伊津美:長渕剛の『Captain of the Ship』だったり、X(X JAPAN)の『オルガスム』を聴いてすごく衝撃を受けたんです。それで、10分とか15分の曲ってどうやったら書けるんだろうなと思っていたんですけど、気付いたら自分が書いた曲もそうなっていたんです。削りようがないアレンジでしたし、無駄なところは一切ないと確信しています。『Southern Cross』というのは、地元山口にあった楽屋もバーカウンターもないライブハウスの名前で、そのライブハウスは今はなくなってしまったんですけど、当時の店長が新しくライブハウスを作っていて、そこでライブをやらせて頂いたときは、やはり『Southern Cross』ははずせない曲でしたよ。ライブで演奏すると15分ぐらいになってしまうので、時間の関係もあって大事な場面でしかやれないんです。

ガラ空きのゴールは俺達のものだ

── バンド名が未成年だったので、若い気持ちを忘れないというイメージを勝手に持ってましたが、歌詞を聴くと大人になることに向き合ってる感じはしますね。

伊津美:11曲目に『TEENAGE』で凝縮しているんですけど、年をとることはひとつも悪くないぜというメッセージはあります。

── 大人になってだいぶ経ちますけど、どうですか?

伊津美:やっぱりめんどくさくなってきますよね。でも、未成年というバンド名を付けたからには、初期衝動は忘れずにちゃんと大人になる。結果を出さなければやっていけない現実もわかっているので、そこは大人になってやっていかないとですから。

── なるほど。そして、最後の『成-naru-』はストリングスを使われていて、今後バンドがもっと大きくなっていくということを想像させましたけど。

伊津美:人生の"ドラマ"を締めくくるためのドラマチックなエンドロールをと考えたら、こういう形になったんです。

── ということは、アルバムを作っていて一番最後に必要だと思って作った曲になるんですか?

伊津美:いえ、もともとあった曲ではあるんですけど、アップテンポだったので当初のアレンジとは全然違うんですよ。

── それにしても、1曲1曲伝えたい思いと、伝えたい言葉がギッシリ詰まったアルバムになりましたね。ツアーもかなり長いスケジュールが組まれてますが、今のメンバーになって初めてのツアーになるんですよね?

伊津美:そうです。初めての音源、初めてのツアーです。ライブハウスも初めてのところばかりですけど、絶対にCDを買ってもらえるようなライブにしたいと思っています。これから売ろうと思っているCDが全部家にあって、寝るスペースもないぐらいなんです(苦笑)。ようやくこのメンバーに出会って、確信のあるメンバーで『masurawo』を作ることができたので、これからもすごく楽しみですよ。

── 最近のバンドでは珍しい、骨太で男臭溢れるバンドですから。

伊津美:おかげでCD屋に営業に行ったりすると苦戦してますけどね(苦笑)。でもよくメンバーと"ガラ空きのゴールは俺達のものだ"って言ってるんです。奇をてらった音楽ではなくて、まっすぐ歌ったその隣に畳みかけるギターが唸って、そういうバンドって今あまりいないですからね。今は女性のお客さんが多いですけど、男子にも聴いて欲しいなって思います。ギターやバンドを始めたいと思うきっかけが、未成年にはたくさんあると思いますので。


1st ALBUM
『masurawo』

LOCL-014 / 2,100yen(tax in)
2.03 IN STORES

amazonで購入

01: 君に伝えられること
02: masurawo
03: 忘れぬ拳
04: 漂流時代〜looking for the misted-sun〜
05: ETERNITY
06: 向日葵
07: メメントモリ
08: ED BOYZ!!
09: 純真
10: Southern Cross
11: TEENAGE
12: 成-naru-

LIVE INFOライブ情報

▼未成年 TOUR-2010 “masurawo”▼
全国ライブハウスツアーを決行!!
2/03(水)神奈川/登戸STARGIC ROOM
2/12(金)群馬/高崎CLUB FLEEZ
2/19(金)千葉/本八幡ROUTE FOURTEEN
2/20(土)宮城/仙台MACANA
2/22(月)茨城/水戸LIGHT HOUSE
2/23(火)栃木/宇都宮HEAVEN`S ROCK
2/24(水)愛知/名古屋MUSIC FARM
2/26(金)静岡/静岡SUNASH
3/11(木)大阪/難波ROCKETS
3/12(金)兵庫/姫路Beta
3/13(土)広島/広島NAMIKI JUNCTION
3/15(月)福岡/小倉FUSE
3/16(火)福岡/博多DRUM Be-1
3/17(水)長崎/長崎DRUM Be-7
3/18(木)熊本/熊本DRUM Be-9
3/20(土)鹿児島/鹿児島SR HALL
3/21(日)山口/宇部BIG-HIP
4/08(木)東京/高田馬場CLUB PHASE
4/23(金)千葉/本八幡ROUTE FOURTEEN

★TOUR FINAL ONEMAN LIVE “masurawo”★
5/10(月)東京/下北沢SHELTER

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻