4月30日に新宿ロフトで行われたワンマンライブ"Good Dog Happy Men TOUR「4人のゴブリン大いに躍る」"をもってベースの韮沢雄希とドラムの伊藤大地が脱退し、門田匡陽(Vo.G)と内田武瑠(Drum)の2人編成となったGood Dog Happy Menとしては、初の音源となる『陽だまりを越えて』が5月27日にリリースされた。こちらはTOWER RECORDSと通販の限定販売。バンドが4人から2人になり、その苦境を乗り越えたからこそできた曲なのでは? と、タイトルを見て想像してしまうところではあるが、彼らの楽曲においては現在置かれている状況が絶対に"イコール歌詞"になるわけでもなさそうだ。それは、これまでの彼らの楽曲を聴いてもらえればわかるだろう。作り物のストーリーに現実というスパイスを加え、奥深い味わいとなっている作品の数々。フィクションでもなく、まるっきりノンフィクションでもない、絶妙なバランスの楽曲を世の中に放出してきている。
今作の表題曲でもある『陽だまりを越えて』は、先行無料配信が5000ダウンロードを超え、リリース前から話題になっていた楽曲である。門田がヴォーカル、コーラス、ギター、ベース、オルガン、シンセサイザーを、内田はドラム、シェイカー、タンバリン、ティンパニを。2人で全てのパートを担当しているところも聴きどころのひとつだろう。ドラムが2人いた彼らにとって、やはり4人編成の頃のような骨太の音とは確実に違いを感じるが(もちろん同じ音を望んでいるわけではない)、門田のやさしい歌声は変わらずに、シンプルになった分人肌感のある温かな音にぬくもりを感じるのも確かである。"陽だまり"という、ポカポカとした日差しを想像させる言葉を使っているところを見ると、今の彼らも決してマイナス志向に物事を捉えているわけではないことは明らかである。目の前に起こる現実を恨めしく思いながらも、もっと遠くにある景色を描いていると感じさせる歌詞は、どんな状況でも足踏みをしている場合ではないことを気づかせてくれるだろう。
2曲目の『Song for lover's』は、随所に散りばめられたシンセやティンパニのサウンドが聴く者に至福の時間をもたらしてくれる。途中で聴こえるギターの音色、そしてメロディーにも注目して聴いて頂きたい。そして3曲目の『ゴスペル』。ギターのメロディーラインが心地よく、ほのぼのとしたサウンドを聴かせる楽曲。『ゴスペル』というタイトルを持ちながらも、詞の中で登場する主人公が今の状況に対してどこか強がっているともとれる歌詞や、過去を懐かしむような言葉がしばし見受けられるが、これは門田なりのトリックが隠されているのだろうか。
ただ、とにもかくにも、Good Dog Happy Menは新しく一歩を踏み出したのだ。メンバーが2人も脱退してしまうことは、バンドにとって大きなダメージを受けることは当然である。しかし、人数は変われどGood Dog Happy MenはGood Dog Happy Men。変わらずに全力走り続けているだろう。2人だからこそできるものを求めて、これからじわりじわりと反撃を仕掛けてくるに違いない(text:やまだともこ)