Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューThe JFK('08年7月号)

SENSHO1500再始動!!
The JFKが提示するハードロックの楽しみ方。

2008.07.01

>TYPHOON24が解散し、SENSHO1500が早くも新たなバンドを結成した。その名はThe JFK。今年の2月からライブ活動を開始し、初の音源『HALL bee QUIET e.p.』が5月よりライブ会場限定で販売されている。「思いっきりわかりやすくやらないと伝わらないんじゃないか」とSENSHO1500が言っているように、ハードロックをちゃんと伝えたいがためにマニアックな部分はとことん追求し、ツインギターがギュインギュインと唸るようなハードロックバンドが誕生した。と言っても、今回インタビューに答えていただいたSENSHO1500(G.&Vo.)とキタシンイチ(G.&Vo.)の両氏は"ハード"という言葉が似つかわしくない温厚なお二人。ハードロック初心者にもわかりやすいハードロック講座を開いてもらったような気分だった。これまでの経験を生かし、新しいステージへと進み始めたThe JFKにこれからも期待したい。(interview:やまだともこ)



メンバー
G.&Vo.:SENSHO1500(ex.TYPHOON24)
G.&Vo.:キタシンイチ
B.&Vo.:ヒネ
Dr.:サイトーリュータ(Unlimited Broadcast)

泥臭くてギタリストが楽しがる感じ

──TYPHOON24の解散インタビューの際に「意外と早い段階で誌面を飾れるかもしれない」とおっしゃってましたけど、本当に早かったですね。

SENSHO1500:そうですね。でも、あの時は『THUNDER TRACKS』(AC/DCのトリビュート盤)のことを言っていたんですよ。The JFKをやるのは決まっていたけど続くかどうかわかってなかったんです。2月に下北沢シェルターで100×100に誘われたライブにすごく出たかったから「オープニングアクトで特別枠を空けておいてください」と言っておいて、そこからキタとヒネと飲みながら話をしていた時にノリで何かやろうかって話から結成したんです。オープニングアクトの枠をもらっているからそこに出ようぜって、すぐにドラムのヤツに電話して。

──ドラムのサイトーさんとはどんな繋がりだったんですか?

キタ:ファンキーパンキーの時に対バンしていて一緒にやりたいなって思っていたんです。たまたまイベントで久しぶりに会って、「一緒にやらへん?」って話したら息が合ってSENSHOさんに紹介したんです。

──SENSHOさんはソロプロジェクト"RAINBOW EXPRESS"で活動をするのかなと思っていたんですが。

SENSHO1500:それもやろうかなって思ったんだけど、やっぱりバンドの方が楽しいですからね。

──結成してからは全部オリジナルですか?

SENSHO1500:全曲オリジナルでしたね。

──以前「TYPHOON24でやれなかったと個人的に思っていることができるバンドじゃないとやりたくないかな」と言っていたように、今回リリースされた『HALL bee QUIET e.p.』はTYPHOON24をさらに膨らませたような印象だったんですが、それは意図してないところですか?

SENSHO1500:ツインギターの時点でTYPHOON24とは違いますよ。キタとは真逆のギタリストなんですけど、「ブルースペンタトニック(ギターのスケールのひとつ)をハモらしたり、それをポップで楽しく聴かせるバンドって最近いないよね。そういうバンドをやってみようか。」って言っていたんです。でも、俺が作ってるわけだからジャンルを変えない限りそんなに変わらないですからね。CDに入っている曲は最初の作品だからお披露目的なところでコンパクトに作っているので、そういう印象を受けたのかもしれないですね。今後はコアなところはもうちょっとわかりづらい方向に行こうかなって思ってます。

キタ:メロディアスにギターをハモらすのではなく、泥臭くてギタリストが楽しがる感じにしたかったんです。だからSENSHOさんとブルースのハードロックをしようやってなってから、普通に楽しいギターが弾けるって思ったので、こういう楽曲になるのは自然な流れだったと思いますよ。本当の意味でギターロックをしたいんです。

SENSHO1500:ギタリスト目線でギターが面白くあるようにっていうのはキーワードでしたね。ギターをちゃんと聴いてほしいんです。キタのギターは俺が見ていて面白いので、一緒にスタジオに入っていいギターだなっていう喜びがあるんです。

──ギターが2人になって刺激される部分は増えました?

SENSHO1500:増えましたよ。俺よりも全然演奏が上手いですしね。リフに対してメロを付けたりって今までだったら出来なかったんだけど、俺がギターを弾いているところにメロディーのギターを弾くのは2人ギターがいるところの利点ですね。

──ギターのアレンジはどちらがやられているんですか?

キタ:自然とセッションしている感じです。基本はSENSHOさんがコンパクトな曲を作って来るんですけどあーだこーだは言わないですね。

──それはお二人が根本にハードロックがあるから極端に意見が食い違わないんでしょうね。

キタ:ギターロックが好きなんです。と言っても、世間一般に言われているギターロックはちょっと違う気がしていて、ギターがギャンって鳴ってるロックがギターロック。すなわちハードロックがギターロックなんじゃないかと。

SENSHO1500:ギターは歌う上での道具ってだけではなくて鳴らすもの。ギターありきの感じをギターロックと言ってもいいんじゃないのって感じです。別に世の中に間違ってると言うつもりはないですけど(笑)。

キタ:僕らギターロックじゃないの?ってぐらいの感じですよ。

──The JFKはジャンルで分けると何になるんですか?

SENSHO1500:ブルースハードロック。我々はブルースマンなんです。

キタ:60年代とか70年代のロックの人たちの自伝とかを読んでドキドキする感じを、バンドに出していきたいです。

The JFKを象徴する曲作り

──ギターがメインというところで、キタさんは大きな役割を任せられているんじゃないですか?

キタ:でも、もう一人ギターがおるから苦手なところは託してます。せっかく2人おるんやからいいところを出し合おうって。

SENSHO1500:お互い得意な部分が違うので、自分が思いついたアレンジが弾けなくてもキタなら弾けるからって思うから。

──得意なものというと?

SENSHO1500:キタは演歌調のギターが非常に得意です。泣きまくりのメロディーのギターを弾かせるとすごい。俺は速弾きとかがむしゃらな感じが得意。

──CDを聴いてお二人の音を聴き分けるのも面白いですね。

キタ:だからヘッドフォンで聴いて欲しいです。左がSENSHOさんで右が僕。ハードロックの正しい聴き方です。ツインギターでツインリードやったら、どっちのギターがどっちって聴く楽しさもありますよね。デフ・レパードもアイアン・メイデンもね。

──勉強になりました。ところで、『HALL bee QUIET e.p.』のタイトルにはどんな意味を込めているんですか?

SENSHO1500:もともとは映画のワンシーンを見てなんですが、教室の黒板に「静かにしなさい」ってところにハチが書いてあってかっこいいなって思ったんです。あと、解散したからって静かにしているわけじゃないよっていう逆説的な意味を含みながら、拡大解釈もできるしそのまま捉えることもできるしおもしろいかなって。

キタ:SENSHOさんの中にくすぶってるものを図々しくない程度に表現したわけですよね。何にせよTYPHOON24という大事なバンドがなくなって、再出発する時には何かしらあるわけですからね。

SENSHO1500:そんな気持ちを歌にしてみました(笑)。

──このメンバーで初のレコーディングは順調に行きました?

SENSHO1500:演奏能力があるし、エンジニアさんやみんなとコミュニケーションも取れていたので一発で録りましょうって。それもすんなり出来たし、いい音で録れました。

──曲作りはどうでした?

キタ:最初のほうはポンポンと作っていったかんじですね。それぞれバンドをやって今までに何百曲と書いてきましたけど、The JFKは活動して半年ぐらいだから、その時に頭に出す10曲をどういうパターンで行くか。うちらがブルースとかハードロックとかが好きと言った時に、どんな曲調を揃えたらわかってもらいやすいか。自分らのキーワードを象徴した曲を作りたいというのがあって、10曲は教科書みたいな作り方をしたんです。

SENSHO1500:詞は今回載せてないんですけど、自分の身の周りにあることを歌うのが一番良いのかなと思って、日本人にとってのリアルさを表現してます。それを英語で書いていけば世界に発信できるような感じがするんです。

──アレンジはイメージからぶれない形で4人で詰めていった感じですか?

キタ:ドラムが未だにロックキッズなので、その感覚は大事にしましたね。その感覚にピンと来るものは使って反応がなかったら練り直す。メンバー自身もお客さんというか、ひとつの目盛りかな。

SENSHO1500:自分を見るのは特に難しいですが、お客さんの気持ちになってみるのは大切だし、その気持ちはなくしたくないですね。

──そういえば『LIFT UP』(M-1)のリフはAC/DCっぽいと思ったんですが、そこは意識的にですか?

SENSHO1500:ちょっとはしてますよ。トリビュートも参加してことあるごとに助けられるなって不思議な運命を感じているんです。だから自然とギターに出てきているのかもしれないですね。

──あと『FILL ME』(M-3)のメロディーはレッド・ツェッペリンの『胸いっぱいの愛を』へのオマージュなんじゃないかと。

SENSHO1500:あれはみんなやってるって言えばやってるフレーズなんですよ。でも、レッド・ツェッペリンが一瞬復活していたのでオマージュです。

──聴いている曲が自然に反映されているって多いんですか?

SENSHO1500:TYPHOON24もそうだったけど、ハードロックって言ってたわりに余り世の中に伝わっていなかったような気がしていたんです。ということは、思いっきりわかりやすくやらないと伝わらないんじゃないかと思ったんです。

確信犯でいたい

──先日ライブを見て、お二人が全くタイプの違うギタリストだと言うことが如実に表れていましたね。

SENSHO1500:キタはストイックに弾いたほうがかっこよくて、俺はギャーンって暴れたほうが良くて、立ち位置を含めつつも全体をアッパーな感じにできたらいいかな。

キタ:あと、わかる人にはわかるようにピンポイントのアイテムとか、マニアックな一点を狙っていきたいです。例えばさっきのリフの話もそうだし、今後SENSHOさんがマイケル・シェンカーのようなビニジャンを着てくるかもしれません(笑)。

──マニアックなところを出していきたいとなると、本当にわかる人にしかわからないバンドになってしまいそうな気がしますが...。

キタ:だからそれだけじゃダメだと思うんです。お客さんにもちょっと勉強をしてもらえるようなことを挟みながら、あとで気付いた時に面白いと思ってもらえたら、それってロックの楽しみなんです。過去の音楽のことを勉強していた時に、例えばAC/DCの動きはチャック・ベリーのダック・ウォークみたいだなとか、僕ら2人がなんでカブトムシみたいなギターを持っているんだろうって思ったとしたら、それはザ・フーのピート・タウンゼントとAC/DCのアンガス・ヤングが共演したっていうテーマでまとめたんだとか。

SENSHO1500:知ってる人はニヤリと来ますよね。

キタ:それってパクリやーんって終わるものじゃなくて、おいしいところをJ-POP的においしく使ってヒットさせるのはすばらしいことだと思うんです。確信犯でいたいんです。だからステージ上とかCDで見たり聴いたりしてもらった時に、ピート・タウンゼントとかザ・フーとか好きでしょって会話できたら嬉しいです。それをオリジナルの中にわかりやすく挟みながら作っていきたいというのが、今の時点でのテーマ。

──そういう遊びってバンドを長く続けて来たからこそ出来る感じがしますね。

SENSHO1500:若いバンドって素直にマネしてますとは言わないですよね。

キタ:僕らだったら「あのフレーズあれでしょ」って言われたら「わかる?」って、してやった感がありますからね。

──なんだか面白いバンドになりそうですね。

SENSHO1500:楽しくやってますよ。

──新しい作品の構想もできてきているんですか?

SENSHO1500:アルバムとかシングルを出せたらいいねとは話してます。わりと早めなテンポで転がっていきたいと思ってますので、よろしくお願いします!

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『HALL bee QUIET e.p.』

SHEEP-0007 / 1,000yen(tax in)
HITS-g RECORDS

1. LIFT UP
2. It's so good
3. FILL ME
全3曲収録

●1st CD、ライブ会場限定で発売中!!

LIVE INFOライブ情報

7.04(Fri)名古屋アポロシアター
7.11(Fri)下北沢SHELTER
7.19(Sat)京都MOJO
7.21(Mon)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
7.25(Fri)下北沢SHELTER
8.04(Mon)新宿red cloth
8.08(Fri)下北沢SHELTER

●初の自主企画イベント決定!!
『ELECTRIC REVELATION vol.1』
7.25(Fri))下北沢SHELTER
OPEN 18:30 / START 19:00
ADV 2,300 / DOOR 2,800
w/IDOL(ex.ピンクリボン軍/鉄と鉛) / MARS EURYTHMICS / 片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ

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