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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】AR FRANCE(2008年2月号)- 衝動に充ち満ちたパフォーマンス! 規格外のスケール! メンバー全員が弱冠20歳の新世代パンク・バンド、遂にデビュー!

衝動に充ち満ちたパフォーマンス! 規格外のスケール!メンバー全員が弱冠20歳の新世代パンク・バンド、遂にデビュー!

2008.02.01

ライヴの熱気を封じ込めたデビュー・アルバム

──今回発表されるデビュー・アルバムはシェルターでのライヴから選りすぐりの音源を集めたものですが、スタジオ・アルバムではなく敢えてライヴ・アルバムで行きたい意向が強かったんですか。

畠山:レーベルの方からはスタジオ盤にしようと言われたんですけど、何か面白いことがしたかったんですよね。せっかくシェルターで3ヶ月連続で企画をやれるんだから、いっそのことそれを録ってストレートに出してしまおうと思ったんです。

──『LOVE』というアルバム・タイトルもかなりストレートですよね。

畠山:直感で僕が思い付いた言葉なんです。ストレートな言葉がいいと思ったし、音楽をやる時はいつもストレートでありたいと思ってますから。

──収録曲はFAR FRANCEの代表曲と呼んで差し支えないものばかりですよね。

英:ずっとライヴではやってきた曲ですね。松島君が入ってからの曲もあれば、前のベースがいた頃からの曲もあるので、割とベストな選曲にはなってますね。名刺代わりの1枚になったと思うし、FAR FRANCEはこういうバンドだよっていうのが詰め込まれている。

──選曲の基準はどういうところですか。

畠山:緊張感と勢いがあるかどうか、ノリ切れているかどうかですね。

英:3回の企画だったから3回やった曲もあって、その中で聴いて一番格好いいと感じるテイクを入れることがまず最低限。

畠山:でも、それで必ずしも演奏が上手くいってるかと言えばそうじゃない(笑)。「全身タイツ」はミスってたりもするし、演奏も粗いんですけど、これはこれで面白いからまぁいいかなと。ライヴ盤だからこその、予定調和では行かない面白さを詰め込みたかったんですよ。

──マスタリングに立ち会った時は、実際の出音と比べてどう感じましたか。

畠山:ミックスの作業が難航して、最初は思い通りの音にならなかったんですよ。ウチのバンドはベースが若干歪んでいる音で、そのベースの出す歪みの要素が自分の中でバンドの骨格部分になっているので、初めにラフ・ミックスしてもらったものを聴いた時に汚さが感じられなかったんです。

英:そう、ちょっとクリア過ぎて、空間に広がっちゃう感じだったんですよ。シェルターの中音は聴こえやすくて、凄くやりやすいんです。自然と気持ちも昂ぶるし、それをそのまま聴いてる人の出音に伝わるかと思ったら、聴いてる限りではそうじゃなかったんですよね。なので、最終的に僕らが携わって固めた感じにミックスをして、今回のCDになっているんですよ。

──オーヴァー・ダビングは?

英:ないですね。

畠山:そういうのは初めから“なしでしょ”って感じだったので。

──ライヴの熱気を封じ込めるのは、ある意味ではオリジナル・アルバムを作るよりも難しい気がしますけど…。

英:実際、なかなか難しかったですね。単純にライヴをやってミックスしてもらって完成だと思っていたら、意外と考えていたものと違う部分があったので。

畠山:自分が聴いていて思ったのは、ライヴでもCDでもテンションが上がるのはベースの汚い部分だったんだな、って(笑)。それは改めて気付いたところですね。

──基本的に曲は畠山さんと英さんの2人で書くんですか。

英:デモを持ち寄って、あとはセッションで。Aメロを弾き語りで録ってみんなに聴かせて、それをバンドで発展させるような感じです。

畠山:曲の構成が複雑なところは、スタジオでセッションしながら“こうやったら面白くなるんじゃない?”っていう感じでやってます。その結果、曲が7分くらいになっちゃったりするんですけど(笑)。

英:そう、詰めてるのに長くなっちゃうんですよ。

──FAR FRANCEの曲には、畠山さんが影響を受けたと思しき54-71やfOUL、KIRIHITOにも通じる一筋縄では行かない何とも言えぬ変態性がありますね。構成もまるで通り一遍ではないし。

英:自分としては客観的に見られないから、そこは判らないんですよね。

畠山:僕はヘンだと思いますよ(笑)。相当ヘンだと思う。

英:いや、僕は真っ当なことをやってるつもりですけど(笑)。自分達が面白いと感じることをそのままやれればいいと思ってるんですよ。やってる僕らが楽しいんだったら、聴いてる人も楽しいんじゃないかなって。

──「addict」の構成とか、凄く展開が複雑じゃないですか。

英:「addict」のメイン・リフは、中学生の時に宅録したものが元になっているんですよ。

畠山:英がギターを始めて半年くらいの時に録音していて、それをバンドでアレンジし直したんです。

──そういうケースは他にもあるんですか。

畠山:エンハンスドで入ってる「ピンクグレープフルーツ」は、高2くらいの時に出来た曲です。

英:それ以外は今のメンバーになってからの曲ばかりですね。

時代ごと吸収してバンドを続けていきたい

──「ジャンボリー」は前半が切なさのにじみ出たメロディアスな曲ですけど、後半は案の定、予期せぬ方向に行きますよね(笑)。最後まで予断を許さないと言うか。

畠山:緊張感が欲しかったんですよ。一時期はそれがライヴのテーマになってましたね。激しさや勢い、あるいは静寂だけを伝えたいわけじゃなくて、楽曲の持つ空気感や緊張感を如何に出せるかが大事だと思ってるんです。「ジャンボリー」は特にそういう曲かもしれないですね。

──意識してひねくれたメロディや構成にしているわけではないんですよね。

畠山:決してひねくれさせようとして作っているわけではないんですよ。

英:ただ、根本的にどこかズレてるところがあるみたいで(笑)。自分では思わないんですけど、歌詞のほうはよく「ネガティヴだね」って周りから言われるんですよね。日々の生活の中で感じるやるせないこととか、いつも思ってるわけではないのに自然とマイナスの歌詞になるみたいなんです(笑)。

畠山:それを凄まじいスクリーミングで吐き出す、っていう(笑)。

英:ストレスを発散してるんですかね? 自分ではよく判らないですけど。

──ライヴではその破天荒なステージがすでに各方面で注目を集めていますけど…。

英:シェルターでマイクを2本壊したり、アンプを1台おシャカにしたり、PAの方に凄く怒られてますね(笑)。ギターもブン投げたりしますけど、投げるのはかろうじてステージ内に留めてます(笑)。

──気が付いたらうっかり投げてしまっているんですか。

英:そうですね。テンションが上がりきっちゃうと、自分でも訳が判らなくなるんですよ。

──そのテンションが上がりきったキワキワ感は、このライヴ盤にもよく出ていますよね。

英:そう、それをCDに詰め込みたかったんです。

畠山:一度デモをスタジオで録ったことがあって、ライヴでの勢いをスタジオでそのまま出そうと思ってもなかなか難しかったんですよ。要するにまだ経験が足りてないという話なんですけど、ライヴ特有の激しさやテンションを詰め込むなら、やっぱりライヴ盤を出すしかないと思ったんですよね。

──ライヴでいつも心懸けていることは?

畠山:肩の力を抜いて、赴くままに楽しむことですね。以前はいいライヴがしたいという気持ちから必要以上に力んでしまうところがあったんですけど、今は少しずつバランスが取れてきたと思います。

──今度のシェルターでのレコ発はa flood of circleとnot great menという比較的世代の近いバンドをゲストに迎えて開催されますが、たとえば同世代、もしくはジャンルの近いバンドとタッグを組んでシーンの底上げを図るという発想はありませんか。

英:よく「何系なの?」ってジャンルを訊かれますけど、自分達でも何と言っていいかよく判らないんですよね。

畠山:家で音楽を聴く時は無意識にジャンルで聴くところがありますけど、ライヴは全然関係ないですよね。このバンドのジャンルは…とか考えることは基本的にないですから。一緒になってドカンと面白いことができればそれでいい。自分達がどういうジャンルで括られているのかは判らないですけどね。

英:僕らはまだ若いので、時代ごと吸収してバンドを続けていきたいですね。

──メンバー全員、弱冠20歳ですもんね。成人式、ついこの間でしょ?

英:一昨日です(笑)。

畠山:まぁ、音楽をやる上で年齢は余り関係ないと思ってますけどね。ただ、ずっと音楽を続けている人達は純粋に格好いいし、僕らもずっとバンドをやっていきたいです。それ以外にやりたいことが見つからない。もっともっと面白い音楽をやりたいですね。

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LOVE

*enhanced video:ピンクグレープフルーツ
Wowee Records / PICTUS NEO DLWR-2002
1,890yen (tax in)

01. はじまった絶望
02. 全身タイツ
03. 呼吸
04. ジャンボリー
05. home sweet home
06. addict
07. 難航

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