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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】TRIPLANE(2008年1月号)- 改めて自分と向き合って気づけたこと大きな翼を広げたTRIPLANEが再び飛び立つ

改めて自分と向き合って気づけたこと大きな翼を広げたTRIPLANEが再び飛び立つ

2008.01.01

札幌出身の4人組"TRIPLANE"。メロディーの心地よさ、ボーカルとサウンドの聴きやすさなど、ココロに響く色褪せない唄を集めたセカンドアルバム『ココロ晴れたら』が完成した! 曲が書けない時期があって、音楽を辞めてしまおうかという時期を乗り越えてできた『モノローグ』を含めた11曲。セカンドでありながら初心に戻った気持ちで制作したと言われていたように、メンバーそれぞれが改めてバンドと向き合い、リスタートを切った今作は、これまでに比べるとより人肌を感じる作品になったと言える。TRIPLANEが大きく羽ばたき始めた!(interview:やまだともこ)

TRIPLANE、リスタート!

──昨年はシングル『モノローグ』をリリースし、TRIPLANEとしてはどんな年でした?

江畑 兵衛(Vocal&Guitar):次のステップに上がるための熟成期間というか、壁にぶち当たったりバンド内が変革しなきゃみたいな意識がそれぞれに行き渡った1年だったんじゃないかと思います。僕も生まれて初めて曲ができない時期があったりとか、メンバーもいろんな壁に当たった1年だったと思います。

──曲ができなかったのは2月にリリースされる『ココロ晴れたら』を制作する前の段階ですか?

江畑:『モノローグ』(2007年11月リリースのシングル)ができる前にそういう時期になってしまったんです。

──曲ができない時期はどうやって乗り越えたんですか?

江畑:曲ができなかったのは、今までに感じたことがないぐらいのプレッシャーを感じていたんです。自分の想像以上に大きくなっていた周りの期待だったり、自分たちのポジションっていうもののギャップだったり、期待過多な状態を感じすぎてしまったんですよ。曲も自分からわき出てくるというよりは、作らされているっていう意識になっちゃったんです。それで、自分には才能がないとか、ここまでの人間だったんじゃないかって思ったら気持ちが崖っぷちに来ていて、締め切りもどんどん延ばしてもらっている状態だったので、あと3日待ってもらってできなかったら音楽を辞めようってところまで考えていたんです。それからふっきれたというか、改めて自分と向き合ってみて『モノローグ』ができたんです。精神的なものだったんですよ。

──ということは、『モノローグ』は作り方がだいぶ変わりましたか?

江畑:原点に返った感じですね。アマチュア時代に本当に音楽が好きで、自分が良いと思うメロディーを書いていたっていうのに近い感じです。

──『ココロ晴れたら』は、そういったものがふっきれてから制作に取りかかった感じですか?

江畑:『モノローグ』ができてバンドの方向性が決まったので、『ココロ晴れたら』はファーストアルバムぐらいの気持ちで作ったんです。昔からの曲も含めて、今ある楽曲の中で自信があるものを11曲抜粋してアルバムにしようという考え方で。今回は、何もかも変革したのでリスタートみたいな感じに近いんですよ。レコーディングの仕方とか準備段階とかファーストとはだいぶ変わってますね。

──アレンジには笹路正徳さんを迎えたことでの変化ってあります?

江畑:笹路さんは『モノローグ』のシングルから関わってもらって、音楽的な幅の広さと奥行きの深さ、目指している良質な音楽にするという意志の強い人なんです。僕らはかっこよければいいとかキャッチーであればとか気持ちよければいいとしか考えてなかったところに、良質な音楽とはどういうものかや、その意味を教わりました。その意識でリハーサルをやって、アレンジを含めて気持ちは全然違いましたね。だから、これが1枚目っていう感じの取り組み方でした。こっちがこうしたいというのを整理整頓してくれるんです。「おじさんは何もやらないよ、自分たちでやりなさい。だけどこれはいらないよ」って。まあ、こんな穏やかじゃないですけど(笑)。

──ということは、けっこうしごかれました?

江畑:はい(笑)。でもこういうことを考えて演奏すればいいとか、意識が変わって成長したのはデカイと思いますよ。

武田 和也(Bass):僕は1から教えてもらいました。僕、元々自衛隊なんですけど、教え方が自衛隊の教官に似てると思ったんですよ。メロディーに対してとか曲の作り方とか音とか弾き方や強さ、バンドとしてのベースの立ち位置…先生みたいでしたよ。

江畑:音楽の先生という感じでしたね。

広田 周(Drums):僕は力を抜いて叩くとか、笹路さんに言ってもらった一言で自分のドラムが変化していくことがよくわかったんですよ。それからはライブとかアルバムのレコーディングとか、かなり変わりましたよ。今までの曲も改めて演奏すると全然違う。

川村 健司(Guitar):僕は音楽に対する考え方ですね。僕たちの音楽に対しても否定はせずに、良い言い回し方で教えてくれるとか、音楽に対するひたむきさとか…。プレイに関してはそんなに言われなかったですけど、音楽に対して前進していかなきゃダメだって教えられましたね。

──4人の気持ちをバンドに向かせたっていう感じなんですかね。

江畑:そう思います。

バンドであることの意味

──『ココロ晴れたら』は、全曲とも聴き心地の良い曲でしたけど、江畑さんはこれまでにどんな曲に影響を受けてきました?

江畑:ヒットチャートに入っているポップチューンですね。最初はサザンオールスターズしか聴いてなくて、ミスチルとか槇原敬之さんを聴いて影響受けました。

──ポップチューンを聴いてきたからこそ、TRIPLANEの曲は耳障りが良く、メッセージ性の強い曲になったのかなって思いますけど。

江畑:それが一番のこだわりかもしれませんね。自分が聴いて気持ちよくなれないと嫌だっていう。

──歌詞のひとつひとつにはメッセージを含めた言葉を伝えたいというのはあります?

江畑:昔はなかったんですよ。リズムが気持ちよく聴こえればいい、詞に意味がないほうがかっこいい、メロディーを生かす言葉が乗っていればそれでいいって思っていたんです。でも逆に両方を引き立て合えたら素晴らしいんじゃないかって思うようになって、このメロディーだからこの言葉がビシッとくるし、この言葉だからこのメロディーがよく聴こえるみたいな、折り合いのいいところがあったら良いんじゃないかと。

──『愛の唄』(M-2)と『I am』(M-3)は社会への不満が歌われてる感じでしたけど。

江畑:本当はもっと言いたいことがたくさんあるんですけど、今の自分が歌にしちゃうのは等身大じゃない感じがして、恥ずかしさがあるんです。なので、それをやわらかく言ったという感じです。

──本当は真正面から行きたいというのはあります?

江畑:そうですねー。誰かが誰かを殺すということに対する怒りというよりは、どうしたら止められるんだろうって思いますね。

──全体的には、物事がうまくいかなくて苦しんでる感じの詞が多いですね。

江畑:曲ができない時期に書いた歌詞なので、モヤモヤした感じは出てるんじゃないかなー。だから『ココロ晴れたら』なんですけど。

──ところで、このアルバム用に作った曲ってどれになるんですか?

江畑:『愛の唄』、『yesterday』(M-8)、『明日晴れたら』(M-11)で、『扉を開くよ』(M-4)、『メトロ』(M-5)はモヤモヤしてる時に書いた曲です。でも、全体的にモヤモヤしてますよね(苦笑)。アルバムに入れるってなってから歌詞を書き直したりもしていて、自分の精神状態が反映されてるのかもしれないですね。そういう時期って何度書いても同じ内容になっちゃうんですよ。

──そういう時期にメンバーには相談しないんですか?

江畑:一切しないです。

川村:気付いてはいたんですけどね。

江畑:相談とかできないんです。生まれてこの方、親にも誰にも相談をしたことがないんです。恋愛相談もしたことがない。解決は自分にしかできないですからね。愚痴はすぐ出ますけど(苦笑)。

川村:酒飲んだらハンパないですよ(笑)。

──そういう愚痴を全部詞で出していくとか?

江畑:愚痴で出し切っちゃうんです(苦笑)。でもその方がいいですね。愚痴らずに溜めておいて曲で…そうします(笑)。

──ということは、普段のモードと曲を作るモードは別にしているという感じですね。

江畑:歌詞は絞り出さないと出てこないですから。自分のモチベーションを上げないと書けないんですよ。曲が先に出来て、フレーズが浮かんできてっていうときはすんなり行くんですけどね。

──これが大変だったっていうのは?

江畑:『扉を開くよ』(M-4)、『jump ー線の向こうへー』(M-6)あたりは…。思い出したくないですね(苦笑)。自分が何を言いたいのかもわからなくなっていたんですよね。だから、2007年は大変な1年でした。今までが綺麗にクリアしすぎていたというか、勢いで乗り切ってきた感じがするんです。曲にしてもライブにしても、そのツケが回ってきたんじゃないですかね。でも、もしかしたらそこで終わっていたかもしれないけど、チャンスをもらえたような状態かなと思います。

──2007年は改めてバンドを見つめ直せる1年間だったと。

江畑:そうですね。バンドがしっかりとバンドになったなという感じです。

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