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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】突然段ボール(2007年10月号)-結成30年目の回答──故・蔦木栄一の遺した歌詞を基に作られた新曲と初期の楽曲から成る、 初期衝動に溢れた会心作『純粋で率直な思い出』

結成30年目の回答──故・蔦木栄一の遺した歌詞を基に作られた新曲と初期の楽曲から成る、 初期衝動に溢れた会心作『純粋で率直な思い出』

2007.10.01

'77年からの時間の流れを感じてほしい

──アルバムの話に戻りますけど、今回のジャケットが1stアルバム『成り立つかな?』を連想させる電車の写真ですよね。

吉田:僕が撮ってきたんですけど、1stアルバムがやっぱり印象的で、どこの電車か知らなかったんですけど、後で訊いたら高崎線であると。それで、なんとなく今の高崎線を撮ってみようと思ったんです。それで30年前と今では高崎線って、こんなにも違うんだって面白さがあって。その他にも色んなジャケットの候補があったんですけど、結局、俊二さんがそれを選んで。

──6と9の数字が写っているのが、なにか象徴的ですよね。

吉田:あれは偶然ですね。

蔦木:思わせぶりでしかないよね(笑)。

──詞に関してですけど、今は俊二さんが詞を書く立場になってますけど、その視点から見て栄一さんの詞って、どういうところが突出してたと思いますか?

蔦木:けっこう突拍子もないところから来るから、すごいと思うけど。たいてい泥酔してる時に出来てるんだよね。そんなに深くは考えてないけど、ひらめきみたいなのが大きいかもしれない。

──泥酔という話を聞くと、寿命と引き替えにこんな歌詞を書いていたのかな、とも思いますね。

蔦木:それもあるかもしれない。

──今回のアルバムって、元々突段が内包してたものだと思うんですが、メランコリックなムードが漂ってるような気もしますね。やはり栄一さんへの追悼というムードもあったんでしょうか。

蔦木:そんなに意識してないけど、やっぱり'77年からの経緯みたいな時間の流れを感じてくれたらいいかなって。それで俺達は今、ここにあるみたいなのを、ちょっとでも感じてもらえたらいいかなって、敢えて昔の曲を入れたってのもあるんだよね。

──アルバムの表題曲や「ジャッジ」って、センチメンタルなイメージの曲ですよね。これは俊二さんが元々持っていたものなんですよね。

蔦木:これはもう、自分の中でも名曲だし、代表曲だと思う。単純でいて、頭にこびりつくような曲だし。だから、ちゃんとやってないから、敢えてやらない手はないかなって。多分、次はほんとキチガイみたいなのが出来るかもしれない(笑)。

松浦:でも意外とちゃんとしちゃうんだよ、このバンドって。コンセプトよりも音の気持ち良さが前に出てきてるかなみたいなのがあって、コンセプトは大事だけど、それにこだわって音出しを抑制するのは、もういいじゃん!? みたいな開き直りは、俺はあっていいと思うし。変に縛るよりね。

──確かに開放的な音のムードはありますよね。

松浦:ロックを最初に聴いた時の気持ち良さってのは、ギターの歪みの音だとかバスドラの重さだったりとか、そういうのからロックに入っていくじゃないですか。それがちょっと蘇ってきたみたいなところで。突段はほんとに色んなことをやってきてるけど、今はそういう音出しが自然に出てくるかなって気がしますけどね。でも、いくらちゃんとしようとしても、原曲が変だから(笑)。

蔦木:“この曲はどういうことなの!?”って皆に突っ込まれてもいいような気がするんだけどね。その辺の疎通がなくて一方的だから。

松浦:皆、納得してくれてると思うよ。

蔦木:納得してても、作ってて判んない部分もいっぱいあるからさ。

──外側から見てると、あるがままを受け取るのが正解なのかなという感じもありますが。いくらでも深読みは出来そうですけど。

蔦木:歌詞とかも、自分で作っておいて、人から言われて“あ、そういうことだったんだ”ってのもあるし(笑)。

──突段って30年の長いキャリアの中で、その時々の折々のシーンに不思議と自然に溶け込んでるような印象もありますね。吉田さんにしてもそうですけど、若い世代と自然に一緒にやっている感じですよね。

蔦木:けっこう若い人のファンとか多いよね。なんなんだろうなぁ。

──突段が活動を始めた後くらいに生まれた世代の人がライヴに来たりというのもありますよね。

蔦木:ほとんどそうだもんね(笑)。

吉田:確かに'80年代生まれの子達が観に来てたりしますよね。

松浦:ただ単に突段のオリジナリティの強さだと思うよ、俺は。

──あとはものすごく色んな要素を元々内包してるというのもありますもんね。あの当時に「イパネマの娘」をカヴァーしてた発想は、日本では他になかったと思いますよ。

蔦木:パンク、ニュー・ウェイヴだけじゃあねぇ(笑)。

──俊二さんが昔からリアルタイムで聴いてきた音楽の積み重ねが突段として今も表出され続けてるという感じなんでしょうか。

蔦木:そうかもしれないよね。

──俊二さんが小学校の頃、半ズボンを履いてフランク・ザッパのレコードを買いに行っていたという話も聞いたことがありますが(笑)。

蔦木:うん(笑)。

──ロックのいい時代を生きてきた積み重ねということもあるでしょうね。

蔦木:そういう意味では小学校くらいから、ずっと見てきてるからね。半ズボンで色々とアルバム買いに行ったり(笑)。

──それが埼玉の深谷で行われてたというのも、また驚異ですよね(笑)。

蔦木:変っちゃあ変だけどね。他にその当時、誰か似たようなのがいたかっつうと、いないもんね(笑)。

──11月にシェルターでレコ発ライヴがありますが、どういう内容になりそうですか?

蔦木:アルバムの曲を全部やる。全部やって、新しい曲もやる。ぶっちゃけ、販促(笑)。

吉田:販促って言わないで下さいよ(笑)。純粋に楽しみましょうよ(笑)。

蔦木:それでいいんだけどね、販促になるんだったらね(笑)。

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