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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】NUM42(2007年9月号)- バンドになってもテーマは"ENJOY PUNK ROCK"!DJ-namijin率いる前代未聞のカヴァー・パンク・バンドが驚異の"MASH UP"アルバム第2弾をドロップ!!

バンドになってもテーマは“ENJOY PUNK ROCK”!DJ-namijin率いる前代未聞のカヴァー・パンク・バンドが驚異の“MASH UP”アルバム第2弾をドロップ!!

2007.09.01

今や一角のブランドとして認知されているヘッドロックのオーガナイザーであり、パンクロックDJとしても八面六臂の活躍を続けるnamijinがヴォーカル&ベーシストとして参加するカヴァー・パンク・バンド、NUM42。創設メンバーのSHIMO42が正式メンバー脱退~終身名誉メンバーとして就任、TORNADOのTAKESHIがTAKE42としてサポート参加した形で制作されたセカンド・アルバム『PUNK MASH UP 2』は、一粒で二度美味しいアーモンドグリコの如きパンク版"MASH UP"サウンド。表向きの口当たりの良さの一方で、ロック好きであればあるほど掛け合わせの妙が楽しめるスルメ度の高い作品だ。イベントの顔役だろうとDJだろうとはたまたバンドだろうと、貫かれる通底音は"ENJOY PUNK ROCK"という不変のアティテュード。幾つになっても愛してやまないパンクロックを追い続け、人生を楽しむことにどこまでも貪欲なnamijinに"自分にできること、自分にしかできないこと"を存分に語ってもらった。(interview:椎名宗之)

NUM42はイヴェントとDJの延長線上にあるバンド

──“MASH UP”と呼ばれる、2つないし複数の曲をひとつの曲に合成する音楽制作手法がNUM42のコンセプトなんですよね。

namijin:そうですね。単なるカヴァー・バンドではつまらないので、DJならではの発想をバンドに持ち込んでみたんですよ。海外だと、ME FIRST AND THE GIMME GIMMIES(NOFXのファット・マイクがやっているカヴァー・バンド)がたまに“MASH UP”をやってるんです。イントロにパンクの有名なフレーズを持ってきたり、OFFSPRINGのフレーズをいきなり入れてみたりとかね。でも、それを専門でやってるバンドは世界を見渡しても存在しないなと思って。そこで、カヴァー・バンドでありながらもオリジナリティのあるNUM42というバンドをやってみようと思い立ったんです。

──“MASH UP”という手法を含めて、namijinさんがライフワークとしているパンクロックDJがなければ成立し得なかったバンドだと思ったんですが。

namijin:その通りですね。どんな人が集まるイヴェントでも、有名曲のパンク・カヴァーは誰しもが溶け込めやすいんですよ。“こんなカヴァー曲があったらいいな”っていう発想で、DJが自分でバンドを作ってしまったのは音楽史上初めてのことなんじゃないですかね。僕はその昔、THE PRIVATESのメンバーと一緒にバンドをやっていたことがあって、そういう側面から見ると元バンドマンが20年振りにバンドを再開させたっていうので話が終わっちゃうんですけど、僕としては当時からの流れでバンドをやってるわけじゃないんです。ヘッドロックナイトを始めるようになって、自分でDJをやるようになって、その延長線上で派生したバンドっていう捉え方なんですよ。自分の中ではバンドマンっていう意識が余りないんです。どちらかと言えばパフォーマーっていうか、エンターテイナーだと思っているので。

──その中でも、namijinさんはプロデューサー的な側面が一番大きいような気がしますけどね。

namijin:そうかもしれない。ファーストの時はシモジ君(SHIMO42/現在は終身名誉メンバーとしてレコーディングとライヴにイレギュラー参戦中)というヴォーカルがいたから、僕はメンバーではあるけどプロデューサー的な立場だったんですよ。まぁ、今回は自分でヴォーカルを取る比率が高くなったから、バンドマンとしてさらに前に出ることになったんですけどね。

──今回の『PUNK MASH UP 2』の収録曲は、パンクロックDJ的視点がなければ到底考えもつかない“MASH UP”っぷりが存分に堪能できますね。「ラストダンスは私に」にMXPXの「THE BROKEN BONES」のイントロ・フレーズがうまい形でハマるだなんて、まず思い付かないですよ。

namijin:あと、OFFSPRINGの「PRETTY FLY」がまさかあんなふうに「ドゥ・ユー・ウォナ・ダンス」と組み合わさるなんてね(笑)。簡単そうに見えるかもしれないけど、色々と試行錯誤はしているんですよ。何度も何度もお蔵入りになってようやく日の目を見たフレーズもあるんです。RAMONESの「DO YOU REMEMBER R&R RADIO?」なんてそうですよ。実はNUM42の構想段階であのフレーズをまずやりたいと考えていたんです。今と全然違う形で、三線パンクロック・カヴァー・バンドにしたかったんですよね。“ダダダダダダダダ…”っていう「~R&R RADIO」のあのフレーズを三線で弾いたらどうだろうと考えていて、それがNUM42結成時の1曲目の構想だった。でも、シモジ君とミーティングした時に「まずは最低限3ピースのバンドから始めて、肉付けは後からにしよう」っていう堅実な意見に落ち着いたんです。

──その三線を導入する発想も、沖縄好きなnamijinさんならではのものですね。

namijin:普通は考えつかないですよね(笑)。でも、「~R&R RADIO」は一度寝かせたお陰で、今回曲のテーマまで含めて見事に「ラジオ・スターの悲劇」と“MASH UP”できたと思ってるんです。

──THE BUGGLESの「ラジオ・スターの悲劇」は“ヴィデオがラジオ・スターの居場所を奪った”というMTV時代の到来を告げるような曲で、“ゴキゲンなロックンロールが流れるあのラジオを覚えているかい?”と唄うRAMONESの「~R&R RADIO」との対比が絶妙だと思うんですよ。ジャンルも時空も超えた掛け合わせの面白さがありますよね。

namijin:それはきっと、僕の年齢と感覚ならではでしょうね。昔の音楽だけをノスタルジックに追い求めていたらこんなことはできないと思うし、自分が青春時代に感化された曲から最新の音楽までを全部詰め込んでいるからこそ楽しいものができるんだと思います。さすがにFALL OUT BOYやSUM41とかのフレーズを使おうとは思わないけど、'90年代のパンクまでは採り入れようって気になるんですよね。GREEN DAYやOFFSPRINGの世代のバンドは僕と同じような音楽を聴いて育った気がして親近感があるし、何よりパンクをポップなものとして広めた一番の立役者じゃないですか。その当時下火だったパンクを、現代風にパーティー・ミュージックっぽくアレンジして世界的に広めた彼らの功績は凄く大きいと僕は思うので。

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