the ARROWSの4枚目のシングル『ロックンロールファンファーレ』が6月6日にリリースされる。今作は、WACK WACK RHYTHM BANDのホーンセクションをフィーチャーした2007年夏、最強のパーティーチューン。ライブで魅せるあのパフォーマンスは初めて見た者を虜にし、華やかなパーティー会場へと誘なってくれる。
今回の作品でバンドとして新しいチャレンジをし、新境地を切り開いたthe ARROWSのボーカル・坂井竜二さんにお話を伺うことになりました。(text:やまだともこ)
自分自身のロックンロールの幕開け
──前回the ARROWSさんがRooftopに登場したのが2005年8月なので実に2年ぶりとなりますが、この間にメジャーデビューをしたり目まぐるく日々移り変わる中で、竜二さんが劇的に変化したと感じることってありますか?
竜二:ライブパフォーマンスが格段に上昇したと思いますよ。
──なるほど。確かにステージで魅せるあのパフォーマンスは、俗に言う“ロックバンド”とは訳が違うように思います。スタイリッシュにスーツを着込みながらも、竜二さんがパワフルに、そして軽やかにステージを右へ左へと動き回り、初めて見たときに感動すら思いましたよ。あの軽やかなステップは、参考にしたどなたかがいらっしゃったりするんですか?
竜二:参考にしたという人はいないんですが、マイケル・ジャクソンの真似を中学生の時によくやっていたんですよ。音楽を体で表現するのが好きなんです。
──マイケル・ジャクソンの真似をしていたって何となく納得できます。今回リリースされる『ロックンロールファンファー レ』で、the ARROWSは“ロックバンド”という枠では語りきれないと思うんですけど、タイトルに敢えて“ロックンロール”という直接的な言葉を使っているのがとても気になるんです。
竜二:“ロックンロール”をつけた曲は、昨年7月にリリースしたアルバム『ARROW HELLO WONDERFUL WORLD』に『ロックンロールダンシングガール』という曲があるんです。その『ロックンロールダンシングガール』から1年が経過して、バンドのスキルも楽曲の力も俺自身の精神力も上がりました。そこで、今回は改めて自分自身のロックンロールが幕を開けるという意味で、ロックンロールにファンファーレを鳴らしたんです。
──そのファンファーレとなる音のイメージとしてホーンが取り入れられ、今までのthe ARROWSにはない新しいロックの境地を切り開いたかのように見えますね。
竜二:the ARROWSの幕開けですね。でも、今はツアー中なんですが、ほとんどの曲をホーンなしでやってます。ホーンをフィーチャーしたけど、ホーンに頼っていないんですよ。それをやってしまったら、ロックバンドではなくポップスになってしまうじゃないですか。ホーンを入れたのは、CDを聴きながら想像するときの音をわかりやすく形にしただけなんです。 それがこのホーンアレンジなんです。
──そういった新しいアレンジを取り入れた楽曲を作るにあたり、一番苦労したところはどんなところだったんですか?
竜二:今回、苦労という苦労はなかったんですよ。
──では、どんなところにこだわって楽曲を作り上げました?
竜二:こだわったところと言えば、じわじわとあがっていく感じではなく、突然始まるロックンロールというのを意識しましたね。
──楽曲に勢いがありましたよね。詞で言えば、竜二さんが作られる詞は言葉のテンポが良いものが多いですよね。詞を書くときに一番気をつけているところはどんなところですか?
竜二:『五・七・五・七・七』的な日本語のリズムに気をつけてます。
ロックンロールとは最後の砦である
──では、今回の『ロックンロールファンファーレ』にかけてですが、竜二さんにとって“ロックンロール”で想像するものってどんなものですか?
竜二:自分にとっては、“最後の砦”ですね。
──自分にとって守るべきところという意味なんですね。それと、今回の詞の中には“HERO”(ヒーロー)というフレーズが多く使われているんですが、竜二さんにとってヒーローとはいらっしゃいますか? それはどなたですか?
竜二:未来の自分自身ですね。
──まだまだ、自分自身が想像する未来の自分への成長過程ということなんですね。ところで、以前ライブを見させて頂いた時、踊れるサウンドのものが多いと感じたんです。でも、シングルに入っている『お影さmy shadow』(M-2)ではしっとりとした楽曲を聴かせてますよね。竜二さんがおセンチな気持ちになる時ってどんな時ですか?
竜二:パーティーの終わりですね。名古屋で僕らがやってる『N2B』ってオールナイトクラブイベントがあるんですが、このイベントはもちろん朝までやるんだけど、朝方かかるボブ・マーレーの『NO WOMAN NO CRY』を聴くと、パーティーも終わりだなぁと切なくなりますね。ワンマンライブのアンコールをやるときに似てる感覚です。
──『お影さmy shadow』は情景が浮かぶ詞で、クレヨンの様なあたたかいタッチで描かれた童話の世界をイメージしたんですけど、曲を作るにあたって参考にする本やイラストってあったりしたんですか?
竜二:特に参考にしたものはないんですが、もともと本は大好きなので、今まで自分が読んだ本からのイメージが出ているかもしれないですね。日常と切ることができるから女の人の作家の方が好きです。この曲も働き過ぎで疲れて帰ってきた人の日常をちょっと覗き見するつもりで書いたんです。だから、柔らかい女性的な感じになったのかもしれない。
──詞の中で、一番寂しい曜日を火曜日とされてましたが、これはどういう意味があるんですか?
竜二:火曜日が寂しいのは、この曲自体が、昨年やっていたスペシャのネット番組が毎週火曜日で、当初そのジングルとして作ったからですね。
──そういうことだったんですね! でも、この曲はキラキラした楽曲を歌われることが多いthe ARROWSからはあまり想像できない詞ですが、この詞が作られたのはいつぐらいですか?
竜二:出来たのはレコーディング直前なんです。でも、僕らの場合、シングルのカップリングはこういう曲にすることが多くいんですよ。僕の光と影という感じですね。
──この詞からは、“ひとりぼっち”という感じがひしと伝わって来たんです。『ロックンロールファンファーレ』で表現されていた最高の盛り上がりを想像させる楽曲とは相反していると感じたのですが、この2曲を同じCDに入れようと思ったのはどういう意図があったんですか?
竜二:自分では同じ心境を2つの角度からとらえただけなんですよ。“仲間がいる”→“一人じゃない”→“寂しくない”と考えていたんだけど、それを“寂しい”→“一人が嫌だ” →“仲間がほしい”ととらえたんです。孤独だってこと、独りだってことを認めたときに湧いてきた力が『ロックンロールファンファーレ』、それ自体を認めた時のため息が『お影さmy shadow』です。
──ということは、『ロックンロールファンファーレ』の方が、実は寂しさ故の気持ちが入っているとことだったんですね。ところで、現在、ロックンロールファンファーレツアーまっただ中ですが、『ロックンロールファンファーレ』のリリース前からツアーを始めるとなると、ツアーでこの曲を初めて聴くというお客さんも多いかと思うんです。お客さんの反応としてはどんな感じなんですか?
竜二:いいですよ。やっぱりわかりやすい曲ですからお客さんも楽しんで聴いてくれてます。
──わかりやすいというのは、万人が楽しめる共通のものですからね。このツアーファイナルでは初めてLIQUIDROOM ebisuでのワンマンが控えていますが、意気込みをお願いできますか。
竜二:この日はホーン隊のみんなも呼んで、所帯の大きいバンドで挑みます。楽しみにしててください!!!
──では、最後にRooftop読者に一言お願いします。
竜二:どっかで飲んでる俺を見つけたら、よろしく(笑)。まずはライブで会おうぜい!!