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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】serial TV drama(2007年4月号)- 自分たちの限界は決めたくない

自分たちの限界は決めたくない

2007.04.01

ひとつの“作品”として聴けるアルバム

──『ginger』のアルバムとしてのコンセプトは?

新井:“作品”であることを一番考えました。最初から最後までちゃんと通して聴けるものを作りたくて。前からあった曲が形を変えて入ってるんですけど、もともとあった曲はもっと1曲に凝縮されてるというか、もっと違う要素がたくさん入ってる。それをそのまま7曲並べらたらちょっと重たいし、詰まり過ぎててお腹いっぱいかなって。わりと早い段階で入れる曲も曲順も決まってたんですけど、曲がだんだん仕上がってきて聴くじゃないですか? 1曲で聴いたら「アリ」なんですけど、全曲通して聴くと「この曲のこういう部分はいらないかな」とかそういう話になって。曲単位というよりは、7曲全部を1曲と考えて作った感じなので。“作品”であることを意識したっていうことで。

──もともとライブでやってたような曲が収録されてる?

新井:はい。長いことやってた曲を出し惜しみしたくなくって、もう全部入れちゃえって。きっと普段ライブで聴いてたバージョンと違ってて「あれ?」ってこともあると思うんでですけど、それはそれで。今回はこの形で楽しんでくださいと。

──ライブでも曲の繋がりって考えると思うんですが、アルバムとして通して聴くことを考えると、こだわる部分は違いますか?

新井:そうっすね。あんまり勢い良く出しすぎても疲れちゃうというか。どれだけ自然にすんなりと入っていけるかというのが。いい意味で邪魔にならないことを狙ったので。もしかしたら曲単位で聴く人は「この曲つまんない」と思うかもしれないけど、そこまで範囲にすると、全部聴いたときの感想とまたずれてきちゃうので。今回は全曲聴いて感じてくださいということで。

──i-Podとかでシャッフル機能を使って聴く時代に、あえてそれを!

新井:そうっすねー(笑)。

伊藤:シャッフルで聴くと「物足んねえな」ってなるように作りました。

──『ginger』に収録されてる曲をライブで聴くと、またちょっと違う感じになるんですね?

新井:今後考えることなので、はっきりとは言えないですけど、『ginger』のバージョンでやることもあったらおもしろいのかなって。ライブと全く別物ってことはないんで、ライブでできないことはやってないし。曲にライブでやるためにある形と、音源に入れるためにある形と2つあるだけで。

──1曲で2度おいしいってことですよね。

新井:そうっすね(笑)。うまくいえばそういうことです!

──『B-101』ってインストの曲がありますが、こういうのも入れておきたかった?

新井:歯磨きソングですね(笑)。やっぱり休憩時間を与えたかった。そこに曲を入れちゃうと、全部が曲で、それこそお腹いっぱいだし。

──この歯磨きとか日常の音を録るのに苦労したらしいですね。

新井:苦労しました!! イメージ通りの部屋から探して、自分で機材を持ち込んで。音源だと削られてるかもしれないんですけど、冷蔵庫を開け閉めする音も録ってて。「今のデカすぎないか?」って何テイクも録りました。ラインを自分で決めるしかなかったんで、時間もなくて大変でしたけど、すごく納得いくトラックになりました(笑)。

──他にアルバム製作で大変だった曲は?

新井:全部大変でした。もともと正解だった前の形が頭にあるので、それをいかにふりきって、今の形にするのかが大変でしたね。

伊藤:だんだんわかんなくなってきちゃうんですよ。

新井:プリプロとかも全曲4回くらいやったんですよ。一度全部録って聴いてみて、違うってなって直してやってると、「このままやって正解見つかるのか」ってなったことも。テンポとか毎回そうだったよね? 前のテンポも微妙だし、今回のテンポも微妙って。

伊藤:1下げてみたりしてもね。

新井:1下げたらもう遅いし、1上げたら速いとか。テンポについては今後の課題でもありますね。今回は今回で納得してるんですけど、まだ「間違いない」という自分の中での定説みたいなものができてないんですよね。

──今後の展望は?

新井:そうっすね。ないっていうのはウソだけど、あるっていうのも違う。こういう曲ができたからこっちの道に行くっていうのを繰り返して、だんだん今の自分たちの形になってきたので。だから今後の曲作りで、だんだんとどうなりたいっていうのが決まってくると思うんです。

伊藤:今まで自然に変わってきたように変わっていくだろうし。それにつれて曲も変わってくるだろうし。可能性を狭めるようなことはしたくないです。なんでもありって感じで。

新井:例えば、ライブで伊藤がキーボードを弾くんですけど、キーボード担当が伊藤である必要はないと思ってるんですよ。稲増が弾いてもいいし。まぁ弾けないんですけど(笑)。そういうものに固執する必要はない。一番気にするのは「今何が必要か」ってこと。限界を感じることでも、うちらが今やらなきゃいけないことならやるしかない。そうやって進んでいく集大成を作品と捕らえてもらえたらうれしいですね。

──現段階の集大成が『ginger』?

新井:そうですね。それは間違いないです。

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