「楽しい」に勝る感情はない
──今回のレコーディングはどうだったんですか。
TAKAHASHI:いやー、録ってみたら全ての曲がライブよりも速かったんですよね。。
──スタジオで録った方が速かったんですか。
TAKAHASHI:そういうモチベーションで録ってたのかな。全部クリックを聞きながら録ったんですけど、気持ち良く演奏出来るテンポに合わせたら、後で聞いたら全部速かった。でもファーストアルバムってそういう感じなのかなって思いますね。
──ライブよりも先走ってる感じで。
TAKAHASHI:一枚目に良い物を作らないと次に行けないですからね。最初っからハードルは高い方が良いですよ。
SEIJI:でもレコーディングをやって、いかに今バンドが順調なのかわかりましたね。アルバムにはその順調な感じが上手く収められてると思います。
TAKAHASHI:バンドの良い雰囲気も録れてると思いますね。全く後ろ向きなところがないというか。徹底的に楽しいだけのアルバムっていうのもあって良いと思うんで。
SEIJI:全ての出来事とか感情とかの中で、「楽しい」に勝る物ってないと思うんですよね。それを自分たちなりにどうやったら一番表現できるのかっていうのを考えて作りましたね。
──サウンド的にも演奏的にも、ですね。
TAKAHASHI:あとは日常生活の反動っていうのもあるんですよね。普段生活してたらやっぱり楽しい事ばかりじゃないし、どこかで「畜生」って思う事もあるじゃないですか。それを良い意味で転化出来てると思いますよ。「畜生」って思った事をネガティブに出すんじゃなくて、ポジティブに発散するというか。最近はもうニュース見るのもイヤになっちゃうくらい良いニュースってないじゃないですか。スタジオ入ったり、ライブやってまでそういう気持ちを引きずるのはしんどいんで。大げさかもしれないけど、こういうどんよりとした世の中で、「このアルバムがあって良かった」って思えるような存在になれたら良いですね。
──そういう意味ではすごく時代性のあるアルバムとも言えますね。
AKIRA:50年代のロックンロールなんかも、当時戦争があったりして、そういう時にエルヴィス・プレスリーの「LOVE ME TENDER」が出てきたりしてるわけじゃないですか。仕事を終えて「今日、イヤな事があったけどライブに行って発散させたい」って思ってる時に、現実的な歌を歌われるよりも、楽しい曲を聴いて楽しみたいじゃないですか。
SEIJI:政治の事を歌ったり、戦争の事を歌ったりっていうやり方もあるとは思うんですけど、そういう曲ってどうしても血の匂いがして好きになれないんですよね。それよりも馬鹿の方が良いじゃんって思うんですよ。楽しいって事に勝てる事ってないし、楽しいヤツを見てると楽しくなるし。
AKIRA:恥ずかしいくらいストレートなのかもしれないですけどね。
──でも、反戦ソングを聴く事よりも、実際に一人一人の生活を変えるのはむしろこういう曲なんじゃないかとも思いますね。
TAKAHASHI:中東戦争が始まった時に、米軍の出撃の直前に流れた音楽が「ROCK THE CASBAH」だったって聞いて、THE CLASHメチャメチャ好きなんですごいショックだったんですよ。自分の人生を変えてしまったバンドですら、そんな使われ方をしてしまってるんで、自分たちはそういうところからは遠いところにいたいと思いますね。ただ、ニュースから目を背けるんじゃなくて、今起こっている事を感じた上で、それにアンチな音楽をやりたい。でも、「この曲のメッセージは……」とか、そういう聴き方じゃなくて、音楽として楽しんでもらいたいですね。ある意味、ながら聴きでも全然オッケーっていうか。もちろんちゃんと聴いて欲しいけど、サラッと聴けて、でも大事なアルバムなんじゃないかな。
笑いながら聴いて欲しい
──最後にこれから始まるツアーとアルバムについて一言づつお願いします。
AKIRA:とにかく自信作なのでアルバムを是非聴いてもらって、本当に楽しいライブなんでライブにも来てください。多分ライブを観てもらえれば、今のHARISSをわかってもらえると思うんで。
TAKAHASHI:バンドを好きになるきっかけになれるくらいわかりやすいアルバムだと思うし、本当に良いアルバムです。「HARISSがいて良かった」って思ってもらえるような存在になれるんじゃないかと、このアルバムを作って実感しています。ライブではそれを体験しに来て欲しいですね。
SEIJI:何も考えないで聴いて欲しいですね。そして何も考えないでライブにも来て欲しい。笑いながら聴いて欲しいですね。
YUJI:直球を投げますんで、受け止めてください!