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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】PLEGLICO(2007年1月号)- ポストポップバンド"PLEGLICO"。彗星のごとく登場!

ポストポップバンド“PLEGLICO”。彗星のごとく登場!

2007.01.01

ポストポップを名に掲げ未来を切り開く"PLEGLICO"のアルバム『guten burger』が11月にリリースされた。4人のメンバーが持つ濃すぎる程の個性と、楽曲はサラッと聴くだけではもったいないぐらいの奥深さがあり、そこら中に隠されたトリックの数々が仕掛けられており、さらにPLEGLICOのことを知りたくなる。
今回は初インタビューということで、メンバー全員お揃いでのドキドキインタビュー。何度も脱線しましたが、だからこそPLEGLICOのことがわかったような気がします。(interview:やまだともこ)

もっともっと上に行ける気がします

──結成してまだ半年だそうですが、どんな出会いだったんですか?

um(Vo&Gu):僕が前にやっていたバンドのメンバーの中にススム君(SuSu/Gu&Syn)のアニキがいて、解散して一人でやってるときにサポートギター的な感じでススム君にお願いしたのがきっかけです。

SuSu:始めは一緒にやるつもりがなかったんですけど、サポートでやっていくうちに一緒にやりたいなって…。おーちゃん(um)が言う、“ポストポップ”っていう言葉に感銘を受けたんです。ただのポップじゃない、ただのロックじゃないって、何か新しいことに挑戦しているような感じだったんです。

um:PLEGLICOを始める前に作曲家のオーディションを受けて、ある程度評価されたんだけど「ホントにそういう音楽がやりたいの?」って見抜いたディレクターさんがいらっしゃったんです。だからバンド時代に戻って、好きなように曲を書いたらそれが絶賛してもらって自信がついたんですよ。

──前はどんな感じの楽曲を?

um:オルタナファンクですね。

──ガラッと変わりましたね。

um:歌い方も変わりました。でも今までいろんなバンドやって来たけど、今が一番やりたい曲ですよ。

SuSu:そこから怒濤のメンバー探しして…。 ケイニッヒ(Dr&Syn) 僕はメンバー募集見て応募したんですけど、大澤さん(um)が作った『イコール』(M-2)っていう曲がすごく好きだったんです。

um:ケイニッヒは初めてスタジオに来たときに、いきなり「あの曲やりましょうよ!」って(笑)。その曲のドラムはすごく難しいんですけど完璧に叩き始めたんです。

um:でも、候補がもう一人ぐらいいて悩んでたんです。

ケイニッヒ:SuSuは最初俺のこと嫌いだったんだよね(笑)。

um:「あいつ音楽やってなかったら友達じゃない」って言ってた(笑)。

SuSu:初対面でいきなり土足で入られた感じだったんだよ(苦笑)。それで京都とか長野でツアーやって、ベースはネットでも探したらミキちゃん(Ba)が反応してくれたんです。

ミキ:私はジャンルとかではなくて楽しいバンドがやりたいっていうのがあった。スタジオに入って楽しいのができれば音楽性も関係ないから。でもススム君と同じ感じで音楽じゃなかったらケイニッヒと一緒にいない(笑)。

──嫌われ放題ですね(苦笑)。みなさん年齢はバラバラそうに見えますが…

um:バラバラですね。

SuSu:前やってたバンドが年も近かったのでバックグラウンドとかやりたいことが一致してたんですが、今はバラバラで面白い。

──聴いてきたものも見てきたものも全然違いますからね。ところで、11月にリリースされたアルバム『guten burger』ですが、お話を聞いていていい意味でバラバラ感があったので、みなさんの聴いてきた音楽がそれぞれ入ってるのかなと思ったんですが…。

um:それが全く違うんです(笑)。1曲目が新曲で他の曲はススム君とユニットの時に作ってた曲で、そこに彼(ケイニッヒ)のシンセを入れるとかナイスアイディアを詰めたんです。

──信頼できるメンバーに囲まれて、軌道に乗り始めていると。

um:周りにうまいこと支えてもらっています。状況がいいんですよ。

──『guten burger』は、カフェオレーベルの原さんをエンジニアに迎えられてますが、やはりCDを制作する時に意見等取り入れて進めていったんですか?

SuSu:ミックスの時にアイディアもらいましたね。

um:いい関係で同じ目線でできましたよ。僕たちの音楽も理解してくれてイイカンジに。

──レコーディングはどれぐらいかかりました?

um:時間がなかったんです(苦笑)。だからいろいろ反省はありますよ。マスタリングは原さんにお願いしたんですが、時間ないのわかっているのに俺達も要望いっぱいいっちゃって。

SuSu:自分で聴けば気になるところはいっぱいありますけど、集中はしてやったのでちゃんと盤に出てるかな。

um:今の俺達の赤裸々な感じ。

──なぜそんなに強行スケジュールで?

um:目標として2006年中に認知されなかったらダメだって思ったんです。バンドって時間かけたからいいもんじゃないのかなって。鉄は熱いうちに打てじゃないけど、自分でレーベル作って状況も揃っていてノウハウを知って、このバンドで生かしたいって思ったんです。それが昨年は自分が思ってたより広がって、いい人に巡り会ったりとか。自分で言うのもなんだけどいろんなことをやったし、もっともっと上に行ける気がします。

何回聴いても飽きない音楽をやりたい

──歌詞の方なんですが、一度読んだだけでは理解できない深さがありますよね。

um:全部メッセージソングなんですよ。それしか書きたくないんです。1回聴いてハッとする音楽もあると思うんですけど、僕は一人の人に50回でも100回でも聴いてもらっても飽きない音楽をやりたい。でも彼(ケイニッヒ)は『イコール』をそれ以上聴いているんです。

──どこに惹かれたんですか?

ケイニッヒ:長い話になっちゃいますよ。

──確かに、好きな曲に対して改めてどこが好きか聞かれても説明できないですよね。

SuSu:理由なんていらないですよね。

um:メロディーがいい曲。もっとわかりやすい歌詞にしたほうがリスナーに受けるっていうのもわかるんですけど、僕にしか言えないことって絶対あると思うのでそこを追求したいんです。だから複雑に聞こえるかもしれないんですけど、根本的なものは1つだったりするんで何回も読んだり聴いたりしてわかってほしい。

──『ウォーリーを捜せ』(M-3)にしても、サラッと聴いただけでは意味なさそうですもん。

um:悲しいこともあるだろうし、その裏には楽しいこともあるし、それが一人の人間じゃないですか。歌詞も1曲の中に悲しいものといろいろなものが詰まっていると思うんです。

ケイニッヒ:『3ポイントシュート』(M-1)は?

um:これは完璧にマイノリティーリゾート。今やってることって少数派かもしれないけど、『3ポイントシュート』は大逆転できるってこと。そのシュートを自分達で決められるかどうかはこれからだっていうことを歌ってます。

──言葉遊び系も多いですね。

um:わざとお茶を濁しているんじゃないかな。自分の心理をガツンと言う人もいるけど、僕はこの言葉の裏にはこういうのがあるんだよって読みとってもらいたい。それが日本人の昔からの美学だと思うし。『リバプール日記』(M-6)は、ジョン・レノンが好きなので愛情を込めて作ったというか恩返しみたいな曲ですね。でも本当は聴いた人それぞれが勝手に解釈して欲しいんですよ。これだって決めつけたくないから。映画みたいなことをやりたかったんです。

──BGMでもサラッと聴ける曲なんですが、1度詞を読んじゃうと奥深くまで追求したくなる曲ばかりですね。

SuSu:どこまで人に伝わるかわからないですけど、おーちゃんの歌詞は嘘はないと思ますよ。歌詞も音もトリックがある。探れる部分がたくさんある。そういうところで人を引き込みたい。

um:あとは認知されるかどうかだね(苦笑)。

──ストレートな曲が好きな人が聴いたら楽曲もメロディーもひねくれだと思いますけど、曲とかメロディーだけで聴けばひねくれてない。気持ちよく聴ける曲。

SuSu:自分達のトリックに気付かない人はサラッとしたポップソング。それは狙い通りですね。でも、わかる人にだけわかる音楽はやりたくない。そんなマニアックなことはしたくない。もちろんこだわりはありますが、幅広い人に聴いて欲しいし、でもちょっとしたエゴもあるので織りあい感は出てると思いますよ。

um:バランスは取れてると思いますよ。

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