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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】Dachambo(2006年10月号)- 野外フェス・カルチャーの申し子、Dachambo

野外フェス・カルチャーの申し子、Dachambo

2006.10.01

昨年はフジロックに出演、今年はお台場「"渚"Nagisa Music Festival」のメインステージに"春"&"秋"と連続出演、福岡サンセット・ライブにも2年連続出演を果たし、さらにこのRoof Topが出る頃には裏フジロックとも言われるフェス「朝霧JAM」への出演も発表されている。中小の野外フェスへのオファーは、まさにひっきりなし。もちろん、そのライブの充実もうなぎ登り。この1年、どんな観客の前でも、どんな天気と場所でも、彼らはその強靱で幸福感あふれるグルーヴを止める事がなかった。Dachamboは野外フェス・カルチャーの申し子とも言えるバンドだ。いわゆる"ジャム・バンド"の筆頭として紹介もされるが、その演奏とアンサンブルの充実はそうやってひと括りにするレベルをすでに軽く超えている。
そんなDachamboがさらなる飛躍を期して、1年ぶりに発表する渾身の新作が「Newrasian Gypsies」。今ノリに乗っている彼らのライブでのバンド・マジックをそのままに、過酷なほどのツアーの中で観客とやり取りしながら練り上げた作曲&編曲、スタジオでの緻密なアレンジ、これらが一体となって昇華する渾身の自信作だ。(文&インタビュー:南兵衛@鈴木幸一)

自分たちの今までのラインをギリギリまで押し上げた

南兵衛:前作から1年だっけ?

エイジ:そうです。いつも夏前にはアルバム出してフェス巡りをした いって話すんだけど、遅れてしまう(泣)。

南兵衛:レコーディングの諸々を考えずに、ライブをバンバン入れて忙 しくて遅れるっていう悪循環なんじゃないの?

エイジ:鋭いですね(笑)。インディーズで契約とかまったくないの に、結構せっぱ詰まりました。

南兵衛:今度こそは、って感じもあったしね。

ハタ:最高傑作!?

AO:今のところのね(笑)。仕上がりは満足してます! インパクトが あって、みんなに飽きずに訊いてもらえる自信があります。歌でテン ション上げたりとか、構成もPOPで気持ちよく聴いてもらえるよ うにって。自分たちの今までのラインをギリギリまで押し上げた感じで すよ。

南兵衛:開放感があって、アップテンポな曲が多いよね。

AO:ピッチを上げたり、明るめの編曲を心がけたり。

ハタ:今までにないスカッと抜ける感じに仕上がったよね。

エイジ:今回はレコーディングにもしっかり向き合いました。曲も全部 が新曲、レコーディングと平行したライブでお客さんの反応もみながら 仕上げた自信作です。

新作は万人に聴ける音楽 ~ 10万人ぐらいOK!?

~ PHISHの紹介などで知られる音楽ライター:菊地崇さんイキナリ登場 ~

菊地:新作、いいよね! ウチの事務所の女の子が聴きながら「子宮に来る!」って言うんだよ。 今回の新作は誰でも楽しめる感じだね。今まで1万人なら、今回は 10万人でもOK。

エイジ:やった、10倍だ!

南兵衛:そうすると、リアルには4万枚ぐらい売れるかもです か!?

エイジ:うわ~、微妙な数ですね。

AO:バイトやめれるかな?

ハタ:週2ぐらいにはできるんじゃない?

AO:週2じゃ、クビになっちゃうよ!

ハタ:また新しいバイト探さないとね!?(笑)

聴きながら子供つくって欲しいね(笑)

南兵衛:お客さんにはどういう感じでこの新作を聴いて欲しい?

ハタ:今回は、どういう場所でも聴けるアルバムになりましたからね。

AO:もう、お好きなように。 ドライブにも合うし、部屋でも聴けるし、恋人同士でももちろん (笑)。「アンジョリーナ」でもリピートさせて甘~く過ごして欲しい ですね。聴きながら子供つくって欲しい(笑)。

エイジ:でもなんかホントにお客さん同士オレ達のライブで出会って、 つき合い出しました、とかあるもんね。そのうち結婚しましたとか、出 てくるよ(笑)

ハタ:そしたら結婚式呼んでくれるかな?

AO:目標は、街から街へとファンの結婚式を渡り歩く、幸せを届ける ウェディング・バンド!?

ハタ:いいねぇ、ハッピーですね(笑)。そしたらオレ達も幸せだね。

エイジ:でも、人の幸せ見るばかりかもよ!?

ハタ:オレ達は幸せになれないの~~?(泣)

気持ちイイ堅さの密度と、流動的で自由な風通しが両立している

エイジ:時代の流れが、CDは売れなくて、フェスとライブの動員 は伸びてる。その時しかない何かを感じる気持ちよさを、みんなが体感 して来てますよね。

AO:オレ達、その時その時しか出来ないからね。正確には再現できない (笑)。

南兵衛:冗談はともかく、実際にフェスティバルを筆頭にした“体 感”の場に人が集まってきている今の流れは、Dachamboには追い 風だよね。 しっかりと演奏が密度をもって噛み合って、それでいてそれぞれが自 由。演奏に密度はあるけど固まっていない、気持ちイイ堅さの密度と、 流動的で自由な風通しが両立している。ホントに気持ちいい。

AO:それはお客さんのチカラが大きいね。

ハタ:お客さんとのやり取りでチカラをもらうから、複雑で強力で自由 な演奏が生まれるんですよ。 BUKKABILLY:インプロビゼーションと演奏を自由に楽しむっていう意味 では、僕ら本当に楽しんでると思いますよ。

エイジ:なんでも有りで、ロックだし、トランスだし、ファンクだし、 最近は歌も歌っちゃうしね(笑)。

楽しむ事を忘れちゃいけないよね

南兵衛:ライブが去年は80本以上だっけ? 今年はもっとハイ ペースだよね?

AO:どうでしょうね? まあ、年末のお楽しみってコトで(笑)。とに かく誘われたら断らないもんね。

ハタ:NOと言えないDachambo!(笑)

南兵衛:このライブの本数に、バンドとしての覚悟が現れている気がす るんだよね。

AO:いや、「NOと言えない」だけですから(笑) 旅がすごい好きだし、東京にいるより旅している方がホッとするような ところもあるし。

ハタ:色んなところで色んな人に会えるからね。変な人も一杯いてね~。

AO:あ~、その辺はもっと開拓r?したいよね。

エイジ:僕たちその場でドンドン変わっていくんで、環境が変わればま た新しいモノが生まれて来るでしょう?旅でバンドが変わっていくんで すよ。それがまた楽しくてのめり込みますね。

南兵衛:旅したくてライブしてる、みたいな?

ハタ:あ~、キャンプインの時とかは食材とか一杯買い込むよね(笑)

AO:楽しむ事を忘れちゃいけないよね。

エイジ:僕たちはノビノビ教育なんで、ライブをしっかりしたらあとは 好きにしろと(笑)

南兵衛:この1年、ライブもうなぎ登りで充実して集客も増えてるけ ど、そんな中での手応えはどうなの?

AO:色んなキッカケがその時々にあって、元々バンドの中でグッとくる ものは常にあったんですけど、それがこの頃は沢山のお客さんと一緒に 広がっていますよね。いい呼吸の取り方が、皆で出来るようになってい ますね。

南兵衛:そのグッとくる感じって? もうちょっと具体的には?

AO:死んじゃうんじゃないかな、って思う時もありますよ、演奏しなが ら。ワーッて来て、ホアーってなって、ホワイトノイズが目の前にか かって、一瞬音が消えるんですよ。

エイジ:ギターアンプの音がデカ過ぎるだけじゃないの?(笑) BUKKABILLY:意識のシンクロの部分っていうのが、やればやるほどドン ドン同調してくるんですよね。そしてオレ達の一体感が高まると、客席 の一体感も高まるんですよ。その瞬間がドンドン多くなっているのがス ゴイ実感ですよね。

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