Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューNARI ('06年8月号) - Nari's Appease Relish Island ──NARIの欲求が満たされたアルバム

Nari's Appease Relish Island ──NARIの欲求が満たされたアルバム

2006.08.11

音楽が好きという気持ちを再認識したかった

──10曲目にシークレット・トラックとしてホーンがメインになった曲があるんですけど、これはやっぱりSAXプレイヤーとしての存在を忘れて欲しくなかったから?

NARI:そうですね。基本的に僕はSAXプレイヤーであり、でもそこでソロを出して、聴いてもらうアルバムとしてはこういう形でありたいっていうのは先程話した通りなんですけど、“本分としてはこうなんだよ”っていうのをいわゆるおまけで付けてみた感じで。これはホントに自分で全部、SAXとかも5管くらい重ねて、自分で録ってMIXまで自分でやって…だから音は粗いんですけど、面白いかなって思って。SAXプレイヤーとしてアルバムを録ったらこういうのをやりたいっていう提示みたいな感じですね。

──2曲目の「ゲツロウ」は格闘家・佐藤ルミナ選手に捧げた曲ということですが、NARIさん自身も格闘技をやられていますよね?

NARI:そうですね、僕もルミナくんに出会ってから始めたんですけど。ルミナくんにはホント良くしてもらって、彼に対して僕が何か出来ることしたいなぁと思ってて。それで、ルミナくんに捧げる曲を作ろうと考えたんです。RHYMSTERのMUMMY-DさんとBACK DROP BOMBのTAKAくんという…異色なんですけど元々自分がそのコラボを見たいってのもあって(笑)。でもホント、この曲は思い入れが深いですね。

──それにしてもアルバム自体、全曲違う感じでカラフルになっていて聴きやすいなと思ったんですが。

NARI:いやぁ、それは良かった。元々SCAFULL KINGでやってる時にSHOW的要素ってのが凄い重要だというのを学ばせてもらって。それでやっぱり、その人に魅せる時に音+αで何かを魅せないと…っていう感覚がアルバムを作る時もあって。でもやっぱり全部インストだったり、僕のSAXソロで2時間のアルバムだったりとかだとかなりMY WAYだなって思って。ホントにみんなが聴いて飽きない、途中飛ばされないように作りたいな、と。

──曲ごとにSAXを吹いたりFLUTEを吹かれたりしてるんですけど、その割当はイメージで決めてるんですか?

NARI:そうですね、イメージですね。あと全体の曲の流れで、敢えてこの曲はホーンがここしか出てこないっていうのがカッコいいと思ってて。ホーン・セクションっていうのは楽曲のメインではなく、最高のつまみっていうか脇役であるという意識があるんです。ホーン・セクションとしてここだけ、ピンポイントなのが最高である、と。特に9曲目の「Marvin」なんかそうなんですよ。

──ところでSCAFULL KINGが活動休止になって、MASTER LOWやWACK WACK RYTHEM BANDのサポート・メンバーとして活動されたりしてたんですけど、実際、両バンドともライヴの本数、リリース数と少ないですよね? その間、NARIさんは何をなさってたんですか?(笑)

NARI:いやぁ…正直、遊んでました。

──ははははは。

NARI:休止した後はとにかく飲み歩いてましたよ。今、ブランドのMOBSTYLESってところと非常に仲良くしてもらって、よくつるんでるんですけど…そこで出来た繋がりっていうのが今回こうやって形になったっていうのもあって、ただ遊んでないで良かったなって。そんなこともありつつ、本分でもあるところ、自分の思ってるところをやっぱり思ってるだけじゃなく形にしないと人は認めてくれないってこともあり、ソロを出したいって行動に出たって感じですね。

──かなり長い時間…寝かしを効かせましたね(笑)。

NARI:ははは。SCAFULL KINGの休止後はホントに音楽嫌いになってたんです。でも、その嫌だなって気持ちは遊び回ってた時に克服出来たなって思ってますけどね。その時はソロ・アルバムを作るしかないと思って、いざ作ると楽しくなって、最後は“やっぱり音楽が好きじゃん!”ってなるんですよね。そういう“音楽が好き”っていう気持ちの再認識が欲しかったっていうか。音楽から離れてた時期に、また音楽の世界へと背中を押してくれたのもそのMOBSTYLESの人達だったんですよ。ホント感謝してますね。

──気が早いかもしれないですけど、アルバムの曲をライヴでやるのが結構大変だと思うんですが…。

NARI:ですね。レコ発はオールスターでやりたくて。その後は、今考えてるのはDJの人と2人でつるんでやっていく形と、また新たにバンドを組んでアレンジし直した形でやっていく感じと…例えばTAKUMA(10-FEET)が歌ってるのを僕が歌ったり、また違う人と一緒に歌ったりとか、そういう感じで来年から動ければって考えてます。

──こういうアルバムが出来て改めて思うのは、やっぱりNARIさんの人徳ですよね。

NARI:いやぁ、ホント申し訳ないです。いや、ありがたいですね。ただ自分の曲を聴いてもらって「良い」って言ってくれたんで、多分参加してくれたんだろう、と。ちゃんと楽曲を評価してやってくれて、結局何だかんだみんなソロ作ってる話をどこからか聞いて参加してくれて。「ソロどうなの?」「俺に出来ることがあったら力になるよ」って言ってくれたメンツがこれだけ居た、と。ホントそこは感謝してますね。

──1枚作り終えて生みの苦しみを味わったばかりでしょうけど、今は「もっと作るぞ!」っていうモードですか?

NARI:正直、今はないですね。ただもうちょっとしたら「作るぞ!」って思うと思います、確実に。初めてソロを作ったんでいろんな大変なところもあったんですけど、その辺も何となく判ってきたところなんで、もっと出来るかなって思ってます。

──では、今はやっと作り終えてちょっとホッとしてる感じですか?

NARI:いや、全然してないですね(笑)。いわゆる“出して終わり”にしたくないんで、この先どうしていこうかということで一杯一杯ですね(笑)。

──アルバムをリリースしてようやくスタート地点に立てた、というか…。

NARI:いやぁ、贅沢な話ですよね(笑)。ホントに申し訳ないですよ。でもやっぱりホッとはしてないですよ、バンドとは違いますから。ホント、バンドの時はヘラヘラしてましたから(笑)。でも、今はいつもいろんな方向にアンテナを張っておきたいですね。

──最後に、このアルバムのオススメのところは?

NARI:自分の中では全曲シングル曲を作った気持ちなんで、ホント全部を聴いて欲しいですね。それと僕の意外性を見てもらえたらな、と。

 

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻