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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】アンダーグラフ(2006年7月号)- マイナスからプラスへ導く音楽のチカラ

マイナスからプラスへ導く音楽のチカラ

2006.07.01

1997年、真戸原直人(Vo.Gt.)、阿佐亮介(Gt.)を中心に、中原一真(Ba.)、谷口奈穂子(Dr.)らで結成。大阪城公園を中心に大阪・神戸でのLIVE活動を開始。2000年夏、活動の拠点を東京に移し、都内ライブハウスでの精力的なLIVEを行ってきたアンダーグラフ。6月21日はシングル『ユビサキから世界を』、7月19日にはアルバム『素晴らしき日常』をリリース。彼等がメロディーに乗せて伝える一言一言は、挫けそうになった時の支えとなったり、迷っている時にあたたかい手を差しのべてくれるようである。自分達が音楽に助けられてきたように、自分達が作る時もそうでありたいと話した真戸原氏。音楽と真剣に向き合う姿、伝える言葉は全てリアルであるからこそ伝わってくるんだと改めて感じた。彼等の話を聞き、私自身も一歩前に進むことができた。(interview:やまだともこ)

音楽をやってることの意味が再認識できた

02_ap01.jpg──まず、シングル『ユビサキから世界を』ですが、先日のライブでこの曲を歌う前に「ユビサキから世界が変わるかもしれないと思うことがある」とおっしゃっていましたが、具体的にどんな時に変えられると感じますか?

真戸原:家で一人で曲を書いたり4人でスタジオに籠もっていると、無限に可能性を感じることがあるんです。ホンマに世界が変えられるんじゃないかって。でも、そんな簡単なことじゃないし、なかなか口に出して言えなかったんですけど、ふと自分がこれから音楽を作りながら人生を渡っていく中で、曲は何曲作れるのかとか考えてもその数に無限性はなくて、それなら今のうちに1回歌ってみようかと思って曲を書きだしたんです。そしたらどんどん自分の中に入っていって何かを変えていきたいとか、聞いてくれる人にも今までの自分をちょっと変えようとか、間違ってることを見直してみようっていうきっかけになって欲しいなって思って完成させていったって感じですね。具体的に指のユビサキだけじゃなくて、考え方の端にあるものとか、思ってることのスタートの部分であったりとかの意味合いを込めて“ユビサキ”っていう言葉を使ったんです。

──メンバーのみなさんはこの曲を聴いた時に、ユビサキから何か変わるかもしれないって思ったことはありました?

中原:僕は、自分の中で気付いてない振りをしてたところとか、普段生活して流してしまってるところとかあるかもしれへんなあって考えましたね。自分は音楽をやって誰かに何かを伝えていきたいってのもあるし、自分自身も音楽によって一歩前向きになれたところがいっぱいある。だから僕らの曲を聴いてくれて感じ取ってくれて、どんなことでもいいので一歩前に、ずっと心に留めてくれるだけでも全然いい。そっから自分の中の何かが変わっていくちゃうかなと。

谷口:私も、まず自分が変わらんとあかんなっていうのがあって、変えたい思いとかもちろんあって、私も音楽やってたら世界が変わっていくと思ってたし、変わるもんやってずっと思ってたけど、なかなか早く変わっていくもんじゃない。だけど、その前に自分がモノの見方とか、人を見る目とかそういうのを変えてみたらどうやろうって。自分を見直したりとかそういうのを再認識してもらったら嬉しいなと思います。 阿佐 誰に対してでも言える曲っていうのが第一印象だったんですけど、自分以上のものを出すこともないし、できる範囲のなかで変われることはいっぱいあるし、だから立ち止まって考えてもいいんやろなって。もちろん前に進むことが前提であって、立ち止まっても考え方が前に進んでいるっていう形でいいんじゃないかなって思いました。

──発信する人たちがそういう気持ちでやってたら伝わるんですよ。ところで、真戸原さんが言う“世界”は、文字通りワールドというよりは自分をとりまく環境や日常生活っていう意味なんですか?

真戸原:個人的な野望としては世界っていうのはもちろん…(笑)、でもみんなに世界を変えてくれって言ってるわけじゃなくて、心の中に持ってる世界観っていうのを一回フラットに戻す。勝手にボーダーを付けたところを取り外してみる。親に感謝の気持ち言えなかったのがこの曲聞いて言えるようになったとか、そういうふうに変わっていってほしいなっていうのは思います。

──何かが変わるきっかけって小さなことですからね。一歩進みたいんだけど足踏みしているところをちょっと押してあげるって感じですね。

真戸原:そうですね。僕ら自身が音楽にそうしてもらっていたので、自分が作るときもそういう音楽を作りたいっていうのが根底にあるんです。人の背中を押すだけでなく自分達が音楽をやってることの意味っていうのを、『ユビサキから世界を』ができたことによって再認識できたというのはすごく大きくて…。そうやって背中を押せるような存在でいれたらなぁってずっと思います。

──今までの楽曲は彷徨っている中で光を求めているのだとしたら、この曲は光を見つけた場所にある感じがするんです。そう考えるとこの曲はいつ出来たのかなと。

真戸原:音楽をやってるときっていうのは手探りで何か答えを見つけていくということの繰り返しなんですけど、これが見つかったから間違いないっていうのは未だにないですね。言いたいこと言えたっていうのは瞬間的に訪れるんですけど、時間が経つと少しずつ切れて、また探し続けるという作業なんです。制作したのは昨年の12月ぐらいなんですけど、どっちかって言えば一番しんどかった時期。『真面目すぎる君へ』もそうなんですけど、一番しんどい時にこういう曲を書けて自分自身をフラットに戻っていけるっていう感覚はあります。

──アルバム『素晴らしき日常』も、もがいている誰かに助言してあげてる詞がすごく多いなと感じました。光を導いてあげる詞がすごく多くて、『五色の虹』(M-1)は、自分の中にもある虹で言う不完全な二色分をみなさんの曲を聴くことによって補われているのかなっていう気がします。

真戸原:僕自身がいろんな面があって、弱い自分がいてそれを応援する自分がいて、辛い自分を埋めようとする。そうやって向かっていく気持ちは発信しても力を持っているものなのではないか、基本的にはそれが背中を押せること。自分自身をマイナスからプラスに変えることっていうのが背中を押せるところじゃないかなって思います。みんな自分自身を不完全と思ってるかはわからないですけど、考えとか自分の生活に100%満足するってことはできない。それをアンダーグラフが生み出す音楽で導けるなら幸せなことやなあと思いますよ。

──『ユビサキから世界を』は行定勲監督によって映画化されると伺いましたが、いきさつは…。

真戸原:レコード会社の方が行定監督にこれでPVを作って欲しいと音を渡してくれたらしいんですけど、逆転して監督から映画を撮ってみたいって言っていただいたんです。

──でも、PVとか自分達の曲を映像でイメージを限定させる危惧ってのはないですか? 音楽を聴いて個々人が膨らませる風景描写であるとかを限定しすぎちゃうのはどうなのかなって。

真戸原:そこは悩んだところでもあって、ジャケットひとつにしても、できることなら音そのまま出したいっていう気持ちがあるんです。でも最近思うのは僕らが真ん中にいて、いいものを集めていくということは僕らの音楽を好きな人にとっては悪くないことやなと。映画は作品の延長上と考えてもらって、曲自体は聴いた人のフィルターで判断して欲しいなって言うのは思います。ただ、上映されるために作ったというよりは作品を作りたかったんですけど、出来上がると無限大に見て欲しい感じがするんですよね。

──生徒役で出演もされていると聞きましたが…。

真戸原:そこは全く話が広がらないと思いますけど…(笑)。すごく大好きな監督だったので経験してみようって。誤解されると難しいんですけど、ここで音楽っていうのが軸に見えるだろうと思ったし、その辺を気にしてても誤解はされへんやろという余裕からやってみたんです。

──久々の学ランはどうでした?

真戸原:(笑)無理があります。正直、全員無理があります。

──谷口さんは?

谷口:主役の子らと同じ制服で。あまりにも見た目が違いすぎて…。似合うと思ってたんですけど、さすがに無理でした(笑)。

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