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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE MACKSHOW(2005年12月号)- 昭和80年、全ての永久未成年に捧ぐ極上のバラード・ナンバー

昭和80年、全ての永久未成年に捧ぐ極上のバラード・ナンバー

2005.12.01

実体験ではなく“憧れ”が大事

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──10代の時に書いた曲を本気で楽しめるっていうのは、ステキですよねぇ。

KOZZY:20代の時に書いた曲はやれないんだけど(笑)。思わず耳をふさいでしまうと言うか、わりとホロ苦い感じで。もっと経験を積んでいけば、楽しめるようになるのかなって思うけどね。マックショウに関して言えば、まず、“シンプルな音楽をやろう”っていうのがあって。コルツもそうだけど、人数も多いし、イヴェントに呼ばれたりしても“トラックを出さなくちゃいけない”とか、移動費だけでも大変なことになっちゃう。だったら最小の人数で、ギターとドラムとベースだけ持っていって、“アンプは貸してね”っていう感じでやれる方法はないかなって。最悪、“悪いけど楽器も貸してくれる?”とかね。

──チャック・ベリーなんかもそうやってツアーしてたみたいですね。

KOZZY:そこに僕らはロマンを感じると言うか、そういう状況でやれないと、ロックンロール・バンドはダメだと思うんですよ。そこで本質が判っちゃうって言うか。実際にそれができたっていうのは嬉しいですよね。ドラムのバイク・ボーイは後から入ったんですけど、その前に俺とトミーでいろんなところに行ったんですよ。飲んでる席でブライアン・セッツァーのドラムとセッションすることになった時も、全然大丈夫だったし。「ファンキー・モンキー・ベイビー」をやったんですけど、多分、その人は(曲を)知らなかったと思うよ。

──そうでしょうね(笑)。

KOZZY:でも、ガキもオヤジも“最高でした!”って感じになるわけ。音楽に壁がないっていうのはこういうことかなって、身をもって体験して。で、マックショウもどんどんツアーもやろうよってことになって…まぁ、それが今やキツイことになってるんだけど。でも、「来てほしい」って言われたら、行ってあげたいじゃない? 体力が続く限りはやりたいなって思うけどね。…ところで、なかなかCDの話にならないけど、大丈夫?

──すいません。えーと、今回の音源には「彼女は蒼い月」のセルフ・カヴァーも入ってますが…。

KOZZY:いや、それは“1曲足りねぇな”っていう…。

──ははははは!

KOZZY:『BEAT THE MACKSHOW』っていう1枚目のアルバムに入ってる曲なんですけど、まさかこんなにたくさんの人に聴いてもらえるとは思ってなかったと言うか、申し訳ないけど、1枚目を出したのはシャレだったんですよ。レコーディングも納屋みたいなところでやっちゃったし(笑)、音も悪い。でもさぁ、必ずいるんだよ、「僕はファースト・アルバムが一番好きです」ってヤツが。まぁ、判るけどね。バンドはファーストしか良くない!

──言い切っちゃいましたね。

KOZZY:みんな、“あれ(ファースト)をもう一度録り直したい”って思い続けてるんだろうけど。「彼女は蒼い月」に関しては、ライヴでもよくやってるし、“好き”ってヤツが多いから。この音源に入れることで、もっといろんな人が聴いてくれるだろうし。ま、それだけのことです。あと、ドラムのヤツが唄ってる曲(「ウソつき女」)があるんですけど、それは捨て曲なので、どんどん飛ばしてもらって。

──いやいや、そんなことないでしょう!

KOZZY:リハの時に唄わせてみたら、なかなかいい声してたんですよ。“おまえ、いいじゃないか! 知らなかった”っていう。で、ちょっと唄わせてみました。実は、ヤツの電話番号も知らないんですけどね。この前、打ち上げの席で「携帯の番号、教えてよ」って言ってたら、周りのヤツがビビッてました。「電話番号、知らないんですか? SMAPみたいですね」って(笑)。

──SMAPとの意外な共通点が(笑)。

KOZZY:それでもバンドができちゃうっていうのが、ロックンロールのマジックだよね(笑)。

──ベーシックな3ピースのロックンロールって、今の10代の人は知らないかもしれないですね。20代でも知らな?いか。

KOZZY:そう、僕らとは全然違う感覚で聴いてるんでしょうけど、それは単純に嬉しいよね。ライヴ中に「君はいくつ?」って訊くことあるもんね。「どう見ても中学生だろ。お父さんに言ってきたのか?」って。そしたら「お父さんと一緒です」って言うから、そっちのほうを見るとリーゼントしたオヤジが「ヨロシク!」なんて言ってて、ダメだこりゃっていう(笑)。あとね、普段はヒップホップなのに、マックショウのライヴの時だけはリーゼントっていうヤツもいるし。考えてみると僕らもそうだったんですよね。今日はパーティーがある、ってなると、革ジャン着て、サングラスして、で、自転車乗って遊びに行くっていう。おかしくない? 9,800円くらいのビニールみたいな革ジャン着て、ティアドロップのサングラスして、自転車で広島の商店街を走って。クールスとか唄いながら。外から見れば“ちょっと、君たち、大丈夫?”ってことなんだけど、そういうピュアな感覚を伝えたいよね。

──背伸びしてるって言うか、憧れてるって言うか。

KOZZY:リーゼントも革ジャンも750〈ななはん〉も、夢の話。憧れですよ。キャロルにしてもロックンロールにしても、実体験の世代ではないですから。

──キャロルをリアルタイムで知ってるのは、もっと上の世代ですよね。

KOZZY:そうですね。地元では「バイクだ!」って言うと、走って見に行ってましたから。UFOみたいな感じ(笑)。UFOも追っかけたことあるんですけどね。まぁ、UFOじゃないと思うんですけど(笑)。

──ウハハハハハ!

KOZZY:でもね、実体験じゃなくて“憧れ”っていうのが大事だと思うんですよ。「クリスマス・キャロル」の歌詞もそうだけど、実際は雪の中で恋人を待ったりしないよね。“だったらいいな”っていう。

──そうですね。

KOZZY:20代前半の頃は、そういうのは陳腐な感じがしてましたけど、そういう気持ちって大切だし。それを大マジメにやれるっていうのは、幸せなことだなって思います。

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