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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】URCHIN FARM(2005年6月号)- 極上のメロディを最大限引き出した総天然色サウンド

極上のメロディを最大限引き出した総天然色サウンド

2005.06.01

 一撃必殺の虹色メロディを身上とするURCHIN FARMが、昨年秋に発表した『RainbowL+1』に続き初のシングル「MONOchrome」を発表する。プロデューサーにあの佐久間正英を迎えて生み出されたこのシングル、彼らの持ち味である上質なポップ・センスはさらに研ぎ澄まされ、最大の武器である極上のメロディを極限まで引き出した至上の作品に仕上がっている。純粋な感性の赴くがままに独自のポップ・センスを頑なに信じ、完膚無きまでロックの覇道を突き進む彼らの"3P"="Power Pop Punk"が、日本のロックの新たなスタンダードとなる日も近いかもしれない。(interview:椎名宗之)

モノクロな日常をカラフルに変えていこう

──待望のファースト・シングル「MONOchrome」がリリースとなりますが、すでにライヴでは核となるお馴染みのナンバーでもありますね。
 
師崎洋平(以下 MORO/g, cho):そうですね。「MONOchrome」は結構前に作った曲で、ずっと温めて機が熟すのを待っていた感じなんです。
 
斎藤 孝(以下 SHITTY/b, cho):初めてロフトのステージに立った“BOφWY'S BE AMBITIOUS!!! ~BEAT RESPECT 3 DAYS~”(2004年2月)でやったよね。
 
矢沢壮太(以下 SOTA/vo, g):そうそう、ロフトで初めてやったんだ。最初は「odds & ends」っていうタイトルで、歌詞もちょっと違ったんだよね。
 
MORO:曲を作ってる時から今までにはない感じだったし、バンドの沸点が一気に上がる曲だったんですよ。イントロの頭でドーンと入るところから温度が上がるのが自分たちでも判るくらいの手応えだったんで。だから凄く大事に作ったんですけど、意外とすんなり完成して。SOTAが書いてきた歌詞も、自分たちが今一番言いたいことをコンセプトに仕上げることができたし、“今やりたいのはコレだ!”というのを充分納得してできましたね。
 
──SOTA君が「MONOchrome」の歌詞に込めようとした想いというのは?
 
SOTA:「MONOchrome」というタイトルがまず自然発生的に自分のなかで降りてきて、MOROに「こういうタイトル、どうだろう?」って訊いたら「イイね」って言ってくれて。“monochrome”=白黒なんだけど、曲は華やかにカラフルで行こうと。つまらない日常をモノクロに喩えて、それをカラフルに変えていこうよっていう前向きな歌詞にしたいと思いました。
 
SHITTY:ライヴで初めてやった時から周囲の評判が良かったし、そんな曲をこうしてファースト・シングルとして音源化することができて良かったと思ってます。
 
森下哲也(以下 TETSUYA/ds, cho):自分たちでやってても凄く楽しい曲なんで、シングルで切れるのは嬉しいですよ。
 
──昨年リリースした『RainbowL+1』は、既発の『RainbowL』をリミックスして1曲(「Past Time」)追加した作品だったから、何曲もまとめてレコーディングするのは随分と久しぶりだったんじゃないですか?
 
MORO:そうですね。『RainbowL』を録ったのも、もうかれこれ一昨年の話ですから。
 
SHITTY:あとは『BOØWY Respect』に参加した「ホンキー・トンキー・クレイジー」くらいですからね。
 
──そんなBOØWYやTHE BLUE HEARTSなどを手掛けた御大・佐久間正英さんを今回プロデューサーに迎えて制作されたわけですが、URCHIN FARMとの相性はバッチリでしたね。まさに適材適所というか。
 
MORO:ええ、結果的には。でも、最初はろくに口も利けなかったよね?
 
SOTA:うん。もともと四人囃子やプラスティックスで活躍されていた凄い経歴の持ち主だし、こっちも完全に萎縮してました。佐久間さんの前で初めて音を出した時も、まずはチューニングを直すように指摘されて…。
 
MORO:ちょっとやそっとのことじゃ取り乱さない、シティ・ボーイ風な人でしたよ(笑)。ウチのレーベルの社長(BEATSORECORDS主宰、土屋 浩氏)の紹介を受けて、佐久間さんに「胸を貸して下さい!」って飛び込んで、最後はホントにドンピシャの相性だったなと思いましたね。
 
──あのBOØWYも、サード・アルバムをレコーディングしている時に松井常松さんが佐久間さんからベースの弾き方を徹底的に叩き込まれたという有名なエピソードが残ってますよね。
 
MORO:まさに同じような場面が多々ありましたよ(苦笑)。佐久間さんの前でレコーディングをやるにあたって、今まで以上にちゃんとやろうとまず思ったんですよ。たくさん練習して、ミスのないように心懸けて。でも、途中からそれだけじゃうまく行かなくなって悩んでいた時に、佐久間さんから「ちゃんと弾くことよりも、この瞬間に4人で一緒に音を出してることが一番大事なんだよ」って教わったことが凄く大きかったですね。ちゃんとやることはもちろん大事なことなんだけど、一番大事なことではないというか。
 
──佐久間さんがプロデュースしたことによってURCHIN FARMのレインボー・サウンドが再構築されて、より万人に受け容れられるものにビルドアップした印象を受けたんですよ。
 
MORO:そうですね。今までは楽器からアンプ、音のチョイスに至るまで自分たちの好きな音っていうのを勝手に決めていたんですけど、今回のレコーディングを通 して、ギターも、ベースも、ドラムも、歌も含めて全部そうですけど、佐久間さんに自分たちの音の方向性を決めてもらった感じなんです。“あ、この方向に向かえば正しいんだな”っていうのが判った。
 
SHITTY:自分で判断に迷うところでも、佐久間さんが冷静に俺の資質を見抜いてジャッジしてくれたから、凄く安心感をもってレコーディングに臨めましたね。
 
TETSUYA:自分たちの力量を瞬時に見抜かれたというか。「もっとできるんじゃないの?」みたいに無理なことは要求しないし、凄くリラックスしてできましたよ。セッションの時に佐久間さんがベースを弾いて、一緒にプレイできたことも自分にとって貴重な経験になったし、そこでリズム隊の方向がガッチリと固まって整頓されましたから。
 
──しかも、皆さんがカヴァーしたBOØWYのファースト・シングル「ホンキー・トンキー・クレイジー」が発売された丁度20年後の6月1日に、URCHIN FARMのファースト・シングル「MONOchrome」が発売されるなんて、全く奇妙な縁ですよね。どちらの曲もファースト・シングルで、佐久間さんのプロデュースであり、この「MONOchrome」はBOØWYのマネージャーを務めていた土屋氏のレーベル発でもあるわけで。
 
MORO:すべて全くの偶然なんですよ。凄いミラクルだし、それを知った時は鳥肌が立ちましたね。
 
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