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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BAKI(2005年2月号)- "Sing for life"──それこそがロックンロールなんだ

“Sing for life”──それこそがロックンロールなんだ

2005.02.01

 メタリックなギターとパンキッシュなビート、そしてメロディアスなヴォーカルから成るその"Heartful Melody"で、日本のパンク・シーン黎明期において絶大なる影響を及ぼしたGASTUNK。1999年1月10日、解散から10年後に行われた彼らの復活ライヴが今回DVD化されることに相成った。と同時に、ヴォーカルのBAKIが現在精力的に活動を続ける#9〈ナンバーナイン〉のニュー・アルバム『Sing』も併せて発表となる。バンドのスタイルは異なれど、今なお一貫して"Heartful Melody"を唄い上げる不世出のヴォーカリストにしてパフォーマー、BAKIにGASTUNK時代から今日に至るロックンロールの矜持を訊く。(interview:椎名宗之)

GASTUNKはまたやりたいと思ってる

──解散から10年を経てのGASTUNK再結成は、そもそも何がきっかけだったんですか?
 
BAKI:X-JAPANのhideが亡くなって、追悼ライヴの話が俺のところへ来たんだよ。hideちゃんはGASTUNKを凄い好きだって言ってくれてたんで、できればGASTUNKとしてライヴをやりてぇなってメンバーには話してたんだ。ただ、最初に来たその話は流れちゃったんだけど、まぁどうせならやるかって話になって。
 
──今回DVD化される赤坂ブリッツでのライヴは、どんな手応えでしたか?
 
BAKI:凄い楽しかったね。緊張感もあったけど、あんなに面白いことは余りないなと思ったから。最初は、ブリッツでやる前にウォーミング・アップとしてどこかでライヴをやろうって話もあったんだけど、それもやらずに、全くの10年振りにみんなで気持ちを集中させたライヴだったんだよね。
 
──スキンヘッドに白塗りの表情からは窺えなかったですけど(笑)、素直にライヴは楽しめたんですね。
 
BAKI:うん。楽しかったし、メンバーのみんなからは気持ちとしてのロック・スピリットみたいなものが感じられて、立派なもんだなとも思ったね。10年間、みんなそれぞれ違うことをやって、違う人生を歩んできても、根本にはそんなスピリットがあるんだなっていう確認ができた。“GASTUNKはやっぱりロック・バンドだったんだ”って、俺は凄くハッピーな気持ちになれたんだよね。大した奴らだなと思ったし。
 
──DVDを観ると、意外とオーディエンスは若い層が多いですよね。今観ても十二分に凄味の伝わるDVDだし、GASTUNKの“Heartful Melody”が今日においても有効であることの証明だと思うんですが。
 
BAKI:まぁ、嬉しいことだけどね。面白いライヴだったから一番やりがいがあったよね、単純に。
 
──BAKIさんのなかでは、GASTUNKは思春期のバンドという位置付けなんでしょうか?
 
BAKI:どうかなぁ…。思春期って言ったら、俺にはGASTUNKの前にEXCUTEっていうバンドがあったからね。そのバンドで挫折して…挫折っていうか、パンクやハードコアっていうものに対して、もういいや! って思ったんだよね、俺はね。だから、思春期のバンドっていうのとも違うかな。
 
──BAKIさんと言えば、未だにGASTUNKとイコールで結ばれると思うんです。解散から今年で17年経つ今、GASTUNKというバンドをどう対象化していますか?
 
BAKI:うーん、それは答えにくいなぁ…。
 
──未だにそれだけ生々しい存在というか…。
 
BAKI:まぁ、いろいろと大変なバンドだったからね(笑)。
 
──DEAD ENDやX-JAPAN、L'Arc~en~CielのメンバーもGASTUNKからの影響を公言していますが、ご自身としてはどう思われますか?
 
BAKI:単純に褒められることは嬉しいけど、やってることも違うし、みんなが俺の真似をしてるわけでもないしね。ただ、今回こうして過去のライヴ映像がDVDとして再発されるのも、自分が何十年前にやっていたようなことに未だ商品価値があるというのはとても有り難いことだと思ってる。それに対して自分がどう思うかとかは余りないんだよね。それは聴いてる人やレコード会社の人の判断であって。未だにGASTUNKをやっていたことの恩恵は受けているし、良くしてもらっているのは確かだけどね。運が良かったのもあるだろうけど、それはやっぱり有り難いことだよ。
 
──“メタルとパンクのクロスオーヴァーの元祖”と言われることに対しては?
 
BAKI:実際にそうだったからね。20年前はパンクとメタルが反目した判りやすい時代だったから。ハードコアやってるのに“速弾きィ!?”なんて言われたし(笑)、ライトハンド(右手でハンマリングをして音を出す奏法)がまだ出始めの頃だったしね。とにかく誰もまだやってないことをやろうってことに尽きたよね。当時は自信を持ってやっていたし、音楽的に特殊なもんだと思ってた。何か新しいことをやるっていうのは、バンドを始める時に凄く重要なことだからね。そんなチャレンジ精神が自信に繋がって、レコードを作ってみようって思うようになった。
 
──黒い長髪に白塗りというBAKIさんのヴィジュアルも、当時かなりのインパクトだったと思うんですが。
 
BAKI:小さい時に聴いてたKISSが俺の原点としてあるからね。人を驚かせたいっていうのが今もずっとあって、音楽だけじゃない部分でアピールするのが面白いんだよね。
 
──GASTUNKの音源を今も聴くことがありますか?
 
BAKI:聴かない。ほとんど聴かないね。自分が生きていくためには作品を作っていくことしかないと思って頑張ってきたけど、過去の作品はどれだけ内容が良くても、次にもっと良いものを作ろうと思うから振り返ることはないね。自分がこれまで生み出してきた作品に胸を張れないものはないけど、常に次のステップを第一に考えてるから。作品が完成したら、その善し悪しはリスナーに任せるよ。個人的には2ndアルバム(『UNDER THE SUN』、1987年発表)が一番面白いと思っていて、いろんなものを詰め込むだけ詰め込んで…でも全然うまくいかなくてね、合宿までして(笑)。
 
──ズバリ伺いますが、今後またGASTUNKが復活する可能性はありますか?
 
BAKI:意外な話かもしれないけど、メンバーの気持ちとしては…“またやりたいね”ってみんな言ってる、単純に。本当にできるかどうか、それは人が集まってやることだから今の時点では判らないけどね。約束はできないし。まぁ、タイミングが合えば俺もやりたいとは思うよ。やっぱり、ファンの人達が喜んでくれるからね。
 
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