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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THE NEATBEATS(2004年11月号)- ニートビーツ暦1970年、劇的進化を遂げ新境地へ離陸!!  

ニートビーツ暦1970年、劇的進化を遂げ新境地へ離陸!!  

2004.11.01

ニートは本来面白くてユーモアのあるバンド

──タイトルの『ATTENTION PLEASE!!』は、新たな地平へと離陸する今のニートビーツには相応しいですね。
 
真鍋:イメージとしては、来日バンドなんですよ。日本へやって来た外人のバンドというか。70年代のバンドって、飛行機で移動してるイメージがあるじゃないですか? だからジャケットでわざわざ記者会見を開いているわけです(笑)。
 
──ビートルズを筆頭に、ディープ・パープルとかデヴィッド・ボウイとか、昔の洋楽アーティストは来日すると東京ヒルトンホテル(現・キャピトル東急ホテル)の真珠の間とかで必ず記者会見をやりましたからね。
 
真鍋:結構大変だったんですよ。ブックレットでは全員スチュワーデスの恰好までしてますから(笑)。
 
──そこまで自由度が増しましたか(笑)。「真空パック」や「SPEED WHITE」に顕著ですが、エレピやキーボードを効果 的に配したナンバーがニートビーツの新機軸としてとりわけスリリングですね。 
 
土佐:「イアン・マクレガン(スモール・フェイセズ、フェイセズのキーボーディスト)が好きで…」みたいな話を奥野さんとしてて、そこから急速に親しくなったんです。そういう共通点があると、ライヴやるにもレコーディングするにも話が早いんですよね。
 
真鍋:僕らが好きなオルガンの音と奥野君の出す音がピッタリ来てたしね。と同時に、他の楽器もよりパワフルになったし、それは顕著に出てますね。
 
──「HI-FI LADY」やキンクスの「David Watts」を彷彿とさせる「とってもスター」(ライヴ音源)など、往年のニート節が炸裂したナンバーも健在で。
 
真鍋:僕らがルーツとしていたマージー・ビートとかの音楽を聴いてる人は、本来ブリティッシュ・ロック好きやと思うんですよ。いわゆるキンクスとかフー、モッズ・ビートの流れですよね。そういうコアなファンのハートを掴むような音にはなってると思いますね。それプラス、バンドの音として他にはないサウンドやと思うし。モノラルからステレオへ、モノクロからカラーへというような変化はあると思うけど、そんなに枠をもの凄く外れたっていう意識もないんです。あくまで、ごく自然な流れだから。だから俺、スティーヴ・マリオットの気持ちがよく判るよね(笑)。スモール・フェイセズでの音楽的変遷、それ以降のハンブル・パイまでの流れとか。
 
土佐:逆に、ニートビーツを全然知らないような人には間口が広がったアルバムになってると思いますよ」
 
真鍋:そう、僕らのことを全く知らない人がこのアルバムを聴いたら面 白いと思うよね。そこから昔の音源を遡っていった時に、「エ~ッ、これ同じバンド!?」ってかなり驚くだろうしね。そこまで変化を遂げたバンドってなかなかいないだろうから。60~70年代のロックって、バンドが1年ごとにもの凄く変化していってるでしょう? 今そういうバンドがいてない気がするんですよ。どんどん変化していくバンドを周りが面白がって付き合うようなことが少なくなってきてる気がして」
 
──確かに。「スカーレット」「ピーナッツ・ギャラリー」には、ボブ・ディランの『欲望』『ローリング・サンダー・レヴュー』に参加しているヴァイオリニスト、スカーレット・リベラがサポートしてますね。
 
三浦:ええ。ヴァイオリンを曲のなかに入れたいって話になって。もの凄く感性の鋭い人やったね。
 
真鍋:元々、繋がりは何もなかったんですよ。ただこっちからコラボレートしたい旨を伝えて、たまたま彼女が日本に来る予定もあって、幸運にも実現できたんです。3月にやったライヴにも飛び入りで出てもらって。その時にディランの『HURRICANE』をカヴァーでやって、『ボブ・ディランの次に良かった』って言われたんですよ。
 
──凄いじゃないですか。
 
真鍋:でも、「ボブ・ディランより良かったでしょ?」って訊いたら、『いや、そんなことはない』って(笑)。ビートルズでもストーンズでも、ボブ・ディランからの影響って強いじゃないですか? ニートビーツは特にハンブルグ時代のビートルズっぽい固定のイメージを持たれがちだったから、そういうディラン的要素を出すのが難しかったんですよ。でも、さっき話した2ヵ月という時間を経て、ここまでやったら何やってもええやろうと思って。
 
土佐:最近のライヴをビデオで見ていて感心するのは、真鍋君のムダな動きの多さ(笑)。それが凄く70年代のロックっぽい。バラードでもメッチャはっちゃけてるしね(笑)。
 
──でも、ムダとかトゥーマッチな感じっていうのはロックの重要なファクターですよね。
 
真鍋:確かに。70年代のバンドってムダに走ってるイメージがありますからね。
 
──この『ATTENTION PLEASE!!』で劇的進化を遂げたニートビーツがこの先どう変わり続けていくのか、いよいよ楽しみになってきましたね。
 
真鍋:このアルバムで“離陸”したんで、どう着地しようかな? って思ってるんですよね(笑)。オペラ的なロック・ムーヴィーをいつか作りたいとは思ってますけど。間にコントを挟むようなね(笑)。そのサントラとしてアルバムを作るとか。ニートビーツは、世間一般 の人が思うような恰好いいバンドじゃないんですよ、絶対に。面白くてユーモアがあるほうがいいと常に思ってるんですよね。だから楽しんでバンドを続けていきたいんです。俺がこのヘア・スタイルにして、客席にキツツキ・ヘアが増えたら面 白いじゃないですか? …実際、まだ見たことはないですけど(笑)。
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