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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ASPARAGUS(2004年6月号)- 1にメロディ、2にメロディ! 疾走の中に迸る絶大な解放感!!

1にメロディ、2にメロディ! 疾走の中に迸る絶大な解放感!!

2004.06.01

待ちに待った甲斐あり年7ヶ月ぶりとなるASPARAGUSの新作は、なんとフル・アルバムの2枚同時発売。『KAPPAI』は自身のレーベルSTACKERS / 3P3Bから、『KAPPAI』はPIZZA OF DEATH からのリリースで、純度も完成度も抜群の贅沢すぎる2作品となっている。元CAPTAINHEDGEHOGの渡邊忍(vo,g)、元ナイスマーブルスの山下潤一郎(b)、元 ぽpcatcherの一瀬正和(ds)の3人からなるASPARAGUS。そんな彼らの贈る8月の" KAPPA TOUR "に向け、待ち遠しさのあまりついつい気が急ってしまう。(interview:高橋典子)

1枚目の1曲目と2枚目の最後で繋がってる

──前作『tiger style』を振り返るといかがでしょう?
 
渡邊 忍:まぁ、いい意味でも悪い意味でも危なっかしいなって(笑)。
 
山下潤一郎:いいアルバムだなって思って、今でもちょこちょこ聴きます。
 
一瀬正和:“これがASPARAGUSですよ”みたいなのをちゃんと提示できたんで、次もやりやすかったですね。いろんな面でいいアルバムなんだろうなって思います。
 
──今作は曲よりアルバム・リリースの話が先にあったと伺ったのですが。
 
忍:このアルバムを出すって決まってから気合入れだしました。でも曲を溜めておくよりも、追い込まれる自分が好きな感じがあるんで。これでアルバムの話がなかったら曲もまだちょっとしかなかったかもしれないし、時間は関係ないですね。
 
──体質的に追い詰められて力を発揮するタイプなんですか?
 
忍:そうですかねぇ。本当はテンパるし嫌なんですけど、もしかしたらそのほうが合ってるのかもしれないって思いました。
 
──さて今作『KAPPA I』『KAPPA II』は2枚同時発売で、合計22曲も収録ですが、制作期間はどれくらいだったのでしょう?
 
忍:まぁ、締め切りまでに(笑)。それこそ20歳頃に作った曲もあるんで、それ考えると制作期間は年単位 になっちゃいますね。
 
──コンセプト・アルバムではないと紙資料にあったのですが、全曲が出来上がってから2枚に振り分けた感じですか?
 
忍:そうですね。レコーディングではこれはどっちっていうのは決めないで、22曲いっぺんに録って後で曲順を考えました。
 
──他にも曲をたくさん作って選んだ感じですかね?
 
忍:いやっ、まぁ、50曲くらいあってそれをどんどん捨てていって……
 
潤一郎:ブブッ!!(笑)
 
忍:うっちょ~んみたいな(笑)。22曲ギリギリです。……カツカツでした。
 
一瀬:パツンパツンです(笑)。
 
──(笑)。まったく一緒の時期の作品2枚ってことは、その振り分けも難しくなかったです?
 
忍:どちらも1曲目は決めていたんですよ。だから曲順はその1曲目からの流れで決めていった感じですね。一応2枚で1枚ってイメージがありつつも、セカンドとサードだし。だから1枚に対しての良い流れを組めればと思って決めてましたね。
 
──2枚同発だとよく「こっちが好き」とかありそうですけど、今作は『I』もアルバム、『II』もアルバムって感じがすごくします。
 
忍:両方流れるようなイメージを持ってますね。要するに1枚目の1曲目と2枚目の最後で繋がってるって感じですね。
 
──タイトルもそうですもんね。『II』の〈ENDING〉は、いい意味で終わりっぽくない曲調ですし。
 
忍:そうですね。タイトルは〈ENDING〉ですけど、むしろあれも始まりみたいなプロローグ的な感じですね。
 
──アルバムの頭にも戻れるし、さらに次の作品にも繋がるような……。
 
忍:知らない間にそういう感じになってました(笑)。あんまり意図してやってないというか、流れですね。
 

完全にメロディ重視 “テンパリを越えた後の安らぎ”

──曲についてなんですけど、やっぱりどんな場面でもメロが立ってますよね。勢い、スピードばかりを優先すると、よく暴れる為の曲みたいなものになる場合ってある気がするんですけど、そうじゃなくやっぱりメロ。
 
忍:完全にメロディ重視ですよね。曲を作る時も、ギターでポロンポロン弾きながら鼻歌で歌っていく感じなんで、要するにリフとか伴奏の感じだとかは後で考えますね。それよりもメロが良い感じの流れでできたら、逆に後はどう料理しても多分いいものになるんじゃないかなと思って。よくカヴァーとかありますけど、それはやっぱ元がいいから何をどうやっても格好いいんですよ、そういう感じです。メロとコードの流れ、AメロからBに行く流れ、Bからサビに行く流れ、そういうのですよね。
 
──曲はどんな時に作ることが多いですか?
 
忍:まぁ、追い詰められた時に作ります(笑)。たま~にフッと浮かんだりすることもありますけどね。だいたいそういう時は誰かの曲だったりしますね(笑)。“あ~、パクってた”って。ギター持って作るぞってなれば、そういうのも敏感に感じ取るんですけど、歩いてていきなり“おっ! これきたっ!”って思う曲ほどパクってますね。まぁ、たまたま街で流れてたんでしょうね(笑)。
 
──流れてた曲の続きを作っちゃったり(笑)。あと今回『II』の〈NAP〉が日本語曲になってますね。
 
忍:それがさっき言った20歳前半の曲ですね。昔、ベースの潤くんと4人編成でバンドをやってて、前やってたCAPTAIN HEDGE HOGのもっと初期の頃で、その頃はまだ日本語でやってたんですよ。その頃の曲で、たまたまライヴの空き時間に潤くんとちょっと歌ってたらドラムの一瀬が“それいいじゃん”って。かといって、間違われないでほしいのは、このアルバムに曲が足りないからじゃなく純粋にアルバムに入れたかったんですよね。日本語に思い入れがあるわけでもないし、日本語詞に挑戦しましたみたいな変な気負いもないし。ホント流れですよね。
 
一瀬:スタジオで聴いて、もう“すげぇいいな”って思いましたね。忍が作ってくる曲は、いつも“いいな”とは思うんですけど、それはまだ荒削りというか。でもできてる曲を潤くんもハモって歌われると、良いに決まってるじゃないですか。メロとコードの感じがすごい綺麗で、やってないのはもったいないなって。
 
──日本語って判らないくらいですし、アルバムの流れをまったく乱さないですもんね。英詞曲は初めから英語を頭で考えるんですか?
 
忍:曲が先で宇宙語で歌って、詞はそれからですね。まぁ、15歳くらいまでずっと海外に居たんで、その流れが……(笑)。
 
一同:あははは(笑)。
 
忍:うっちょ~んみたいな(笑)。ま、嘘ですけどね。辞書見ながら頑張って奮闘しております。
 
──結構な労力って感じですか?
 
忍:そうですね、やってる時はもう相当ゲッソリしてましたけどね。でもやっぱり人間って追い詰められるとできるんだなって思いますよ。追い詰められた時に、ホントにすんごいテンパっちゃったら多分できないです。“テンパリを越えた後の安らぎ”みたいな、そういう時に何か見えてくるんですよね。まぁ、例えるならば“スピードの向こう側”みたいな感じですよ(笑)。
 
──へぇ~(笑)。何が越えさせるんですかねぇ。
 
忍:何ですかねぇ? 心の中のドーパミンか何かが出てくるんでしょうね。
 
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