世間の流れを客観的に観て、参画し自分達の立場を明確にする
──ジャケットですが、この2つ並んだ墓標は?
Petero:これは僕が学生時代にパリの郊外で撮影した写 真で、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの墓です。その横は唯一の理解者であった彼の弟の墓標です。EVIL SCHOOLの雰囲気を伝えるのに凄くいいと思って。ゴッホの生きた人生っていうのは、自分が生きる上で数少ない指針になっているんです。彼の苦しみ抜いた人生っていうのはやはり凄まじいものがあるし、生きる上での苦しみを他の画家達の何百倍、何千倍も背負っていたと思うんです。畏れ多いのは覚悟の上で、ちょっとでも彼に近付きたいという気持ちの表れなんですよ。
──インナーも…これは、地下鉄サリン事件の新聞記事が使われてますね。
Petero:生きてる人間であれば誰でも“弱さ”を持ってるじゃないですか。何かにすがりたいというような。オウムの信者達が特異な人間だと僕は全く思わないんです。今の社会が抱えている病理だという意識があるんですよ。誰にでも起こり得ることだし、現代社会の暗黒の面というか。
──最近のゴスロリみたいなものについてはどう思いますか?
Petero:ロリータという言葉には凄く反応するし、憧れますね。そういう耽美的なものには。
K.:語義としてのオリジナルのロリータね。今ではもう形骸化しちゃって変態のジャンルの一つになってるけど、そうではなくて、もっとロマンチックな。
Petero:そう、もっとこう、純粋でメルヘン性のあるものというか。
──EVIL SCHOOLのお客さんにも来てほしいですか?
K.:当然接点はあると思うよ。ちょっと前にゴスロリの女の子の彼氏が両親を殺傷する事件があったけど、そういう人達の救いになったりすることもあるかもしれないし、そんな接し方ができると凄く嬉しい」。
Petero:それは重要だ。
K.:ヴィシュアル系のお客さんやゴスロリその他の人達っていうのは、世代は全然違うんだけど、結局そのスタート地点の影響を受けたものは一緒で、その枝分かれであって、言うなれば、大変な別れ方をした異母兄弟ということになるんじゃないかな。だから当然、近親憎悪もあるわけで、“彼らとは違う”と思っていても、外側から見るとそっくりだったりね。
──普段はハードコアのバンドと一緒にライヴを演ることが多いと思うんですけど、ヴィジュアルやゴスロリ系のお客さんにもこういう音楽を聴かせたいですか?
K.:うん、そういうお客さんにアピールする自信もある。所謂日本のパンク・ロックの最近の傾向って、リスナーと同じ目線に立った言葉、同じTシャツ、ジーパンっていうカジュアルな恰好でやっているバンドがたくさんいると思うんだけど、でも実はそれは凄く“作られたもの”なんだよ。そういうのに比べると、我々の方が断然リアリティがあると思うね。
Petero:人間は十人十色だから、精神論とか実際に生きる人生論がそれぞれあるのが当然だと思うんだけど、K.が言うように最近のパンク・バンドは唄う内容が皆似てきてるよね。自分の生きる世界観は耽美的だったり、もっと暗い一面もあるわけで、そういう面も隠さずに出しているほうがリアリティがあったりするんじゃないかと。人間誰しも、生きていれば色々なことを考えたり経験したりもするし。
──以前、とあるバンドの方がライヴのMCで、タモリの話を引き合いに出して語っていたことを思い出しました。「彼は昼の番組では大衆受けするキャラクターを演じていて、深夜の番組では自分の好き勝手な感じでやっていて、その多面 性に共感を覚える」みたいなことを言っていたんですが、そういうことですか?
Petero:うん、彼はそういった二面性を出しているいい例だね。昼の“虚”の部分と夜の“実”の部分っていうのは誰にでもあると思う。職場に入って…とか、家庭に入って…とか、意識はしていないだろうけど、自分なりに演じているというか。歌の世界やバンドの音楽性に関しても、二面 性以上のモノがあってもいいと思う。特にEVIL SCHOOLではそれを出しやすい。
──今後、バンドとしてどのように活動していきたいですか?
Zany:それは、世の中の情勢によって変わっていきます。
K.:世の中に対してアンチというんじゃなくて、その事象にある暗黒面を引き出す。
Petero:当時のポジパンのバンドには世間と常に乖離しているところがあったかもしれないけど、我々は世間の流れを客観的に観る目を失わず、そこに参画して自分達の立場を明確にしていく。そこが当時のバンドと一番違う部分かもしれないですね。俺達は他のバンドとは全然違うぜ、っていうんじゃなくて、自分達は今この時代のシーンの中に於いて果たしてどういう位置にいるんだろうか? ってことを模索していくと思う。
──では、世間の状況次第ではこういうスタイルでなくなることもあり得ると?
K.:あるね。全くバンドがなくなってしまうことも可能性としてはある。
Zany:どうなるかは本当に判らないね。
Petero:これからのバンドが皆、全員白塗りとか、音楽形態が変わってクラシックやジャズを採り入れたりしてきたら、我々も変わっていくと思う。でも我々は
アナリストではないので、今後の音楽シーンがどうこう語る気はない。
──ある種、人間全体から離れた目線で観ていくような感じですか?
Petero:そうですね。でも、傍観者ではいたくない。やっぱり自分達も主体的にその中にいて、模索して考えていきたい。だから全然違う容態のバンド、ノイズやハードコアからもっとアンダーグラウンドな暗い雰囲気を醸し出しているバンド…今でも一杯いるんだけど、私達がそこに居ても遜色のないグループで在りたい。















