ホリエアツシとナカヤマシンペイからなるストレイテナー。今回メジャーからのファースト・フルアルバム『LOST WORLD'S ANTHOLOGY』とシングル『TENDER』をリリース。美しく輝く儚いメロディーに、ストレートな激情サウンド。血肉の通 った人間くさいリアルさを内包する詩の世界。そしてエネルギーとパワーに満ちあふれた今作をひっさげてツアーを行います。しかも、彼らにとっても初の試みとなる新宿ロフト・下北沢シェルターの2会場で2daysのワンマンからスタート!! きっと2004年が歴史に残る年になること間違いない!(interview:やまだともこ)
一度リピートボタンを押したら最後まで止められないぐらいのものを
——以前『Silent Film Soundtrack』をリリースされた時もROOF TOPで取材させていただいたんですが、あれからバンド的に変化があったりしました?
ナカヤマ:正式なサポートベースが加入しました。
——日向さん(ex.ART-SCHOOL)。
ホリエ:はい。去年の5月のレコ発(2003.5.24@新宿ロフト)が終わって、夏ぐらいからサポートとして加わってます。去年の秋のツアーでも参加してもらってました。
——じゃあ『LOST WORLD'S ANTHOLOGY』と『TENDER』は日向さんが加わって初めてリリースする作品ってことですか?
ホリエ:作品としては先行シングルが昨年10月に出てるんですが、正式なサポートになってからの音源としては初ですね。
——やはりベースの方が加入したことによってサウンド的にも変わったりしました?
ナカヤマ:全然変わりますね。ホリエ やり方が変わったというよりは、完成したものとそれを聞いた人達のリアクションが全然違いますね。単純にバンドサウンドとして完成してきましたし。
——その『LOST WORLD'S ANTHOLOGY』の発売が明日(このインタビューをしたのは1/20)となりましたが、今の気持ちはどうですか?
ホリエ:今までインディーズで何枚も出してきたんですが、やはりメジャーともなるとちょっと違う喜びがありますね。初めてのフルアルバムっていうのもあるし、モチベーション的には上がってます。
——このアルバムで一番気を使ったところは?
ホリエ:いつも通りなんですけど、一切の妥協をせずにできた。レコーディング中、夏のイベントに出演したりしてトータル2ヶ月ぐらいかけましたね。そのたびにできたやつを聞いて考えながらできたし、一度ミックスしたものをもう一回やり直したりとか、そういう意味で妥協せず。あとは今回、一発で全曲聞かせるかっていうところを一番考えましたね。聞いてたら止まらなくなるというか止められなくなるようなものを。
——今回のアルバムは、『Silent Film Soundtrack』からの流れにすごくつながっていると感じたんですよ。何かコンセプトというものがあったんですか?
ホリエ:作る前にはなかったですね。出来た曲を並べたというか、楽曲的には特に変わったところはないですね。メジャーになる前と後では。でも、アルバム作って何が楽しいかって言ったらライブですよね。同じ日にたくさんの曲がまとめて出るっていうのが今までなかったんで。たとえばイベントで30分持ち時間があったら、その時間で1枚のアルバムが演奏できちゃうじゃないですか。アルバムのまま伝えられるというか。
——なるほど。ナカヤマさんはどうですか?
ナカヤマ:僕もライブが楽しみですね。アルバムが出るまではライブでもあまりやらないでおこうって感じだったので、それがやっとできるっていう楽しみ。
——なんでやらなかったんですか?
ナカヤマ:今まである曲を聞かせたいのもあるし、知らない曲をやったところでお客さんが楽しめないと思うんですよ。だったらみんなで楽しんだ方がいいかなと。アルバムをリリースしてようやく解き放たれる感じがしますよ。
——タイトルなんですけど、第一印象はストレイテナーらしいと思ったんですが、どうやって付けられたんですか?
ナカヤマ:タイトルは僕がアルバムを全部通して聞いて、候補を出したうちのひとつなんです。『LOST WORLD』っていう曲はインディーズで出した『SILVER RECORD』っていうシングルに入っているんですよ。元ある曲だからそこに「ANTHOLOGY(名曲集)」を付けようっていう流れです。
ホリエ:ロストワールドの名曲集。まぁ漠然と、何かが失われているという感じですね。でも、このアルバムでは何かが失われた先に展開しているストーリーがあって、1曲1曲別々なんですがそれらが集まって1つの作品を作り出しているというイメージです。
——失われた世界っていうネガティブなものではなくて、先に進もうみたいな。だからジャケも明るく対照的なかんじで…。
ナカヤマ:特に対照的ってわけじゃないんですよ。LOST WORLDって言う曲の感じを出しつつ、アルバムのジャケットだからちょっと華やかにしたんですよ。そういうイメージもあるしっていうぐらいの。
ホリエ:陰鬱な感じというよりはきれいな世界。不必要なモノがたくさんあふれていて汚い今の世界っていうよりは、何もなくなってきれいなものが残ったって言う世界ですね。
——今回もジャケットはナカヤマさんが?
ナカヤマ:そうです。だから、ストレイテナーとしてのと言うよりは、俺の主観性が多少出てますね。あとは、商品としての派手さも考えてます。
——そういえば今回も日本語が多いですね。最後の『MAGIC WORDS』だけ英語で。
ホリエ:最近そうとうがんばらないと英語の詩が書けなくなってきました(苦笑)。
——『MAGIC WORDS』はアルバムの締めの曲というイメージがわく曲で…。
ホリエ:これは絶対最後って決めてました。めちゃめちゃ静かな映画のエンドロールで明るいパーティーソングだったりする持って行き方ですね。
——そして、アルバムをリリースした1ヶ月後にシングル『TENDER』がリリースされるわけですが、このリリースの早さは…。
ホリエ:もともとこの曲は冬に出したかったのと、アルバムが出た後のシングルにとは思っていたんで。そうするとすぐに春になっちゃうしってことで間が狭まってしまったんです。アルバムは9月末ぐらいには出来上がって、発売を待つのみだったんですが、いろいろあって1月のリリースになってしまって…。この『TENDER』っていう曲はおととしのシェルターワンマンで演奏していてけっこう前からある曲なんです。でもアルバムに入れるつもりはなかったんですよ。
——『TENDER』を聞いてみて、今までのストレイテナーにはない雰囲気を持った曲だなと思ったんですよ。他の曲に比べると歌い方やメロディーも違うし。それは少し前に作った曲だからかなと今までのお話を聞いて思ったんですが。
ホリエ:作り方からして違う感じだったと思いますね。なんか、歌詞をメロディーにのっけている時点で自分的に癒されている感じがあったんですよ。他の曲を作ってるときにはなかった感じなんですが。その結果歌詞が全部できあがって、曲として完成してタイトルを付けるときに、『TENDER』しかないって思ったんですよ。やさしい気持ちになれるというか。だからですかね。
——それは身辺的にそういう気持ちになれた何かがあったってことなんですか?
ホリエ:2年前なので忘れました(笑)。
——ホリエさんがこの曲を持ってきたときナカヤマさんはどう感じました?
ナカヤマ:もともと中学校のときから作っている曲を聞いてきてるから、あんまり違和感もなかったし。ただ、いい曲ができてきたなという感じはしました。
ホリエ:作った瞬間に名曲ができました! とは言いました(笑)。
ナカヤマ:アルバムのリードシングルになってくれるかもしれないですよね。
——アルバムもシングルもかなり完成度の高い作品になってますしね。
ナカヤマ:あとは、聞く人によって一番好きな曲ってバラバラなんで自由に聞いて下さいと。どこを見せても恥ずかしくないものになったので自信を持ってお薦めしますよ。ホリエ 曲的にはメロディアスな曲が多いんですが、総合的に見ると激しい曲が多いので聞いてライブに来たら絶対自然と上がってくると思いますね。