Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】mill nuts ('04年1月号) - 自分たちの一番気持ちのいいいところで音楽が楽しめる

自分たちの一番気持ちのいいいところで音楽が楽しめる

2004.01.29

 去年の夏、ロフトのバーカウンターでデモテープをもらった。別にデモテープをもらうことは珍しくないのだけど、もらった相手が石丸氏(SNAIL RAMP)でD.I.Y.なすぎる風貌なデモテープ(メディアは本当にカセットテープ)で、しかもそのテープの内容、成り立ちも生まれも前説もなく、普通に唐突に渡されたもんだから、なんとなく臆してしまい、結局見た目で判断してしまい、今まで聴くことはなかった(捨てることもなかったのだが)。 冬になりかけの夜に、シェルターからほど近いバーで石丸氏と飲む機会に恵まれ、1枚のCDを渡された。自分のバンドでリリースが決まったって嬉しそうだったから、その帰り道早速聴いてみた(無理矢理聴かされたという節もあるが)。一聴したところ、散々呑んで酩酊寸前の脳が一気に目覚めた感覚。私の全ての感覚が、初期衝動の固まりのようなしかもどこかこなれたmill nutsという音楽に自然と集中して「もっと!」って欲求ししちゃうどうしようもない感覚はとても心地よくて、忘れられない。次の朝、自分のデスクの上に転がっていた例のデモテープをみて、しまった~! という気恥ずかしい思いをしたのはいうまでもない。 新しい音楽と出会うチャンスは誰にでも数限りなくあるように思えるけど、自分で自分に勝手に壁を作ったり、思い込みで決めつけたりして、その実はそうでもない。mill nutsと出会うチャンスをみすみす1回逃している私がでかい口は叩けないが、このページに目をとめた皆様「なんかしらの縁があったんだ」と思ってmill nutsを体験して欲しい。彼等のスタイルそのままに自由に判断して、出来れば楽しんで欲しい。 DUCK MISSILEもGOING STEADYも大好きだったしSNAIL RAMPも好きだけど、<やっぱり音楽が好き>という根本を気が付かせてくたmill nutsに最大級の感謝と讃辞を込めて、インタビュー敢行。 (ROOF TOP 荒木智絵)

それぞれの<音楽が好き>という経験値

──何でまたmill nutsをやろうっていうことになったんですか?

ISHIMARU:SNAIL(RAMP)は、語弊があるかもしれない中敢えていうと、ちょっと息苦しかったんだよね。やっぱりあのくらいの規模なバンドになると、音楽をちゃんとやらなきゃ感があるんだよね。誰にいわれたわけでもないんだけど、やっぱり軽く縛りがあるように感じて。嫌いじゃないし、否定はしないんだけどね。ただ、もっとバカに音楽がやりたいなって。例えば笑いながらスタジオに入って、楽しくバンドがやりたいなって。(SNAILがスタジオで笑ってないわけじゃないよ。)そういうことで、この4人でやるのはいいんじゃないかなって思った。ホント、この4人でバンドがやりたかった。

Dynamite:誘われたとき、石丸君が作るバンドってどんなんだろう? っていう興味がわいたよ。音楽的な話どうのこうのっていうよりも、人間的な信頼があるからね。音楽的な部分でいったら、石丸君はDJも昔からやっているじゃない。で、その選曲にしても、幅が広いんだよ。音楽が好きなんだなってわかる選曲。そのSNAILじゃない石丸くんがバンドをやったら、どんな音楽になるんだろう? っていう面白さ。よいしょするわけじゃないけど、一緒にやりたいなってずっと思っていたんだよね。

──mill nutsを始めるタイミング的には、ジャストだったんですね。

ISHIMARU:それが、偶然なんだよね。

Dynamite:やっぱりね、やってみたかったメンツなんだよね。それが一番なんだよね。

TxKxO:今までのキャリアとかって、いわれてみればそうなんだけどね。それほど気にならないことなんだよね。僕らなんてさ、自分たちで曲作って、スタジオ行って、あわせて。それからライブをやって。そのサイクルはどのバンドでも一緒なんだろうけど。その行為が好きなんでしょうね。その感じはかわらないですね。このメンバーでやることが今の僕らにとってジャストだったんですよ。ゼロから始めるっていっても、mill nutsだったら、4人それぞれの音楽が好きという経験値で音楽を続けていけるなって思ったんですよ。

──ただ、不思議なつながりですよね。

ISHIMARU:そうなんだよね。ちょっと、変な言い方なんだけど、縁があったんだろうね。何かしらの。

SNAIL RAMP + GOING STEADY + DUCK MISSILE = mill nuts?! という解釈をはるかに凌ぐ1枚<nuts>

──-mill nutsの歴史にとっては、最初の一歩なアルバム『nuts』ですが、ヴェルヴェットスヌーザーからのリリースですね。

ISHIMARU:メンバーのプロフィールから、mill nutsというバンドが片手間なバンド=サイド・プロジェクトにみられてしまうのが嫌だったんで。しかも、信頼できるレーベルだと思ったしね。

──アルバムの方向性に関してもバラエティーに富んでいて、楽しかったよ。

ISHIMARU:そういう気分だったね。mill nutsの音楽には、基本的にくくりだとか縛りだとかは作りたくななくて。だから、mill nutsの音楽性はこれから先、どんどんかわってくるかもしれない。単純な話、おもしろおかしくそのときできることをやりたいだけなんだよね。

──音楽に対して自由でありたいということですね。

ISHIMARU:一本調子にはしたくないし。常に、やりたいって思ったことを4人で表現するのが第一だよ。なんにしても、一番いいのが自然だと思うんだよね。自分の気持ちに素直なもののほうが楽しいよね。

──特に音楽ですからね。讃辞をのべたいんだけど、表現が上手くできないな、すごく良かった! おかしな言い方になるけど、聞き手を選択しない感じがする。キャッチーなんだけど、ルーツはしっかり散りばめられていて。爆発力もあるし。

Dynamite:今の時点ではいいものができたという自信はあるけど、ここが最終地点ではないかな。

TORU:僕はバンド名でいうキャリアでいうと、有名なバンドをやっていたわけじゃないんだけど、SNAIL RAMP + GOING STEADY + DUCK MISSILE = mill nutsっていう解釈だけでないと思うんですよ。それよりも、SNAILの石丸さんっていうことじゃなくて、石丸さんは単なる石丸さん。それは他のメンバーもそうで。人間として一緒に音楽をやってみていい具合だなって思っていて。今回のアルバムに関しても、一人メンバーが変わっちゃったらもう、mill nutsの音にはならないようなアルバムになったんです。

──でしょうね。その辺がこのバンドの面白いところだと思います。

TxKxO:古くて新しいんだと思うんですよ。mill nutsは。一回りした人の音楽っていうか、自分の忠実に音楽やっているわけですから。やっぱり、自分たちの聴いてきた音楽と経験してきた音楽がいい感じで、それぞれから出てきていると思うんですよ。

──一番大事な「音楽を素で楽しむ」というメッセージが詰まっているような気もするんですよね。シリアスじゃなくて。遊び心もふんだんで。

ISHIMARU:9曲目から10曲めとか遊んじゃったよ。無駄に声を逆送させてみたりとか。いいだしたらきりがないくらいなんだけど。作っているときもすごく楽しかった。バカだと思うけど。

──そのオバカキチュ-ンから、今回のテーマ的な1曲につながっているのも、小気味いいですよ。本気だって思った。で最後、YOU'LL NEVER WALK ALONEですよね! もう、サイコー! やりすぎ一歩手前な感じで、次へのステップも期待できる1枚ですよ。ジャンルを問わずいろんな音楽を聴いてきたつもりだけど、そのベスト1だと言ってもいいくらいの、大好きな1枚です。大推薦ですよ~! だって、いろんな音楽がつまっているじゃない? 何回も言うようだけど。

Dynamite:例えば、俺が一人でまたバンドをやろうって考えたとしたら、多分それまでやってきた古い感じのものになると思うんだよ。それでも、そういう今まで俺がやってきた音楽もすごくすきだから、いいと思うけど。ただ、このmill nutsの4人でやると、同じ俺が参加しているのに、全然違ったアプローチになるんだよね。古い感じの楽曲を作っても、なんだか古く感じないんだよね。それは、すごく面白くて。

LIVE INFOライブ情報

mill nuts レコ発ツアー<FLY FLOW FLY TOUR>決定!
2月4日(水)大阪・十三ファンダンゴ
2月5日(木)名古屋アポロシアター
2月9日(月)東京・下北沢SHELTER
 
1月8日(木)下北沢SHELTER 
<Amy 1st Album "emotion" レコ発記念LIVE>
w / Amy / WONDERS / with my foot
 
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