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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】LINK(2003年11月号)- 「俺たちは出来るんだ」ってことですね。

「俺たちは出来るんだ」ってことですね。

2003.11.11

「俺たちは出来るんだ」ってことですね。

──まず最初に、今回のADELINEからのリリースですけど、そもそものきっかけは何だったんですか。

小森:僕らのライブに良く来てくれてる、ブルースさん、グラハムさんっていうオーストラリア人の兄弟がいて、その人が「今度GREEN DAYのメンバーに会うからCD渡しといてあげるよ」っていうんでサードアルバムの「REVOLUTION ROCK」を渡してもらったんですよ。でもその後、別に気にはしてなくて「聴いてくれたらすごい嬉しいな」くらいに思ってたら、気に入ってくれたっていう連絡があって……。

──それは渡してからどれくらい経った頃だったんですか。

柳井:二ヶ月くらいですかね。

小森:もうちょっと忘れかけてたんですけど、突然気に入ってくれたっていうことで、Billie Joe(GREEN DAY)が「ADELINE RECORDS」っていうレーベルをやってるからそこから出さないかって言われて。もう即答で「出します」って(笑)。

──世代的にやっぱりGREEN DAYとかすごく聴いたんじゃないですか。

柳井:中学生の頃に「Dookie」が出たんで、すごい聴きましたね。初来日の時には普通 にライブ見に行ったりして……。

──人づてにCD渡してもらうまでは当然GREEN DAYとは全然面識なんてなかったわけですよね。

柳井:そうですね。なんていってもGREEN DAYですからね! すごいですよ。

小森:まあ、いきさつはそんな感じですね。

──今回の話が出てくるまでは海外での活動って頭にあったんですか。

柳井:バンドを始めた高校生の頃とか、セカンドアルバム出すくらいまではすごい考えてたんですよ、アメリカ行ってライブとかやりたいなって。でも、ちょっと最近忘れてたんですよね。サードアルバムくらいから「日本でがんばっていく感じなのかな」とか漠然と考えてて。

──ちょうど歌詞に日本語を取り入れだした頃ですよね。

柳井:それもあるかもしれないですけど、本当に忘れてたんですよね。向こうでやるっていうことを。

──その思いが、思いがけない話でいきなり復活したと。でも確かに前々から思ってましたけど、LINKって曲調的にも海外で受け入れられそうな感じはしますよね。

小森:まあ、日本人日本人って感じでもないですからね。

──いままで、アメリカって行ったことあるんですか。

柳井:初めてでした(笑)。

──じゃあ大変だったんじゃないですか。初めてのアメリカでレコーディングからライブまでやって。

小森:でも、行く直前まで曲作りに追われて毎日スタジオに籠もってたんで「初めてのアメリカだ~」とか考える余裕もなくって。もう本当に曲作りのことばっか考えてたんで、旅行の準備もままならぬ ままって感じで……。

──ガイドブックも買うヒマもなく(笑)。何日間くらい滞在したんですか。

柳井:五泊六日でしたね。

小森:その中でレコーディング二日と、ライブ一日やったんで、あんまり遊びに行く時間はなかったですね。

──憧れのビリー・ジョーが待つ所へ、新曲を持っていってレコーディングするってことで、プレッシャーとかあったんじゃないですか。

小森:う~ん、ちょっとあったかも。……みんな優しかったから。

柳井:でもやっぱレコーディングについては、いつもやってることをそのまま出したって感じだったんですよね。エンジニアの人がアメリカの人だったんですけど。行くまでは、そこで意思の疎通 って難しいかなって思ってたんですよ、特に音のこととかって言葉で表現するのが難しいし。でもやってみたら全然問題なくって、逆にすごい俺らのことを分かってくれてたんで、やりやすかったですね。

──よく海外レコーディングは「電圧が違うんだよね~…」とか言いますけど、どうでした。

小森:うん、あっちは電圧とか空気が違うってよく言うじゃないですか。確かにいい音だったんだけど、でもそういう問題じゃなくて、俺らがいいテンションだったのと、単純にいい機材だったってことだと思いますけどね。

柳井:普段、日本で使ってる機材より全然いい機材だったから、そこでの音の違いですよね。果 たして気候が違うからなのか、機材がいいからなのか、どっちだったのかわからないですよ(笑)。

──「アメリカへ行く」っていういいテンションのままやれたのは大きいでしょうね。

柳井:曲作りを本当にギリギリまでやってたんで、心的にも全然用意とか出来てなかったんですよ。だから、その分気負いがなくいつも通 りやれましたね。

──アルバムの頭三曲が新曲なわけですけど、この三曲、かなりいい出来ですよね。今までの要素も入ってて、プラスして新しい展開もあり。

柳井:曲の作り方をちょっと変えたんですよね。昔は日本語を書いてから、英語に訳して、それにメロディをつけてたって感じなんですけど、今回は英語を考えながら日本語訳も考えて、さらに韻を踏む感じとかも考えて、音とメロディも同時に乗せていくっていうやり方をしたんですけど、それが結果 的にものすごく歌いやすくなったんですよ。

小森:言葉が自然に入ってる分、疲れないんだよね。最初に柳井がギター一本で持ってきた時からわかりやすかったんですよね、言葉がつまってないから。コーラスとかで一緒に歌っても、すごい口の回りが歌いやすくって、歌ってて気持ちいいですね。

──納得いく曲を作ってレコーディング出来たわけですね。本当に、この三曲だけでシングルに出来る感じですよね。

柳井:それはせっかくだから三曲違う曲を作ろうって意識はしたんですけどね。

小森:なんか、三曲とも雰囲気がいいんだよね。今でもすごく聴いてますもん。メロディーがポップだし、雰囲気もポップだし、これを聴いたら俺たちがこれから進んでいく方向性がわかってもらえるんじゃないかな。

──その後の曲は今までの音源からのベスト盤的な選曲になってますけど、選曲はどういう風にやったんですか。

柳井:始めBillie Joeが四曲選んだんですけど、割と渋い曲を選んできてたんで、あとは俺ららしさが出ている曲を選んだって感じですね。まあベスト盤なんだけど、曲順とかもすごく考えて流れを作ってるんで、普通 の新しい一枚のアルバムとして聴けるような感じにはしたつもりですね。

──日本語詞の曲(FREEDOM STYLE)も入ってますけど、あれはどっちが選んだんですか。

柳井:実はBillie Joeが選んだんですよね。この曲はすごい好きだって言ってくれたんで。

小森:Billieは「PAINS」「GUNFIGHTER」「CHANGES」「FREEDOM STYLE」っていう四曲を選んだんですよ。

──英語、日本語は関係ない感じですね。

柳井:そうですね。どうなのかなと思ってたんですけど、メロディーを気に入ってくれたんですかね? まあ英語詞の方も俺が作ってるんで、完全には意味は通 じてないと思いますけど、わりと雰囲気みたいなモノは感じ取ってくれてるんじゃないかとは思いますけどね。

小森:ADELINEからリリースが決まったんで他の全部CD渡したんですけど、GREEN DAYのメンバーにそれを全部聞いてもらえたという事自体が嬉しかったですね。ベースのMIKEにも「君たちは音楽をわかってやっている」って言ってもらえたんで。

──やっぱり、LINKってルーツ的な所に洋楽とかがキッチリ入っているから、あっちの人にも受け入れられやすいんじゃないですかね。

柳井:もちろん日本のバンドもすごく聴くんですけど、同じくらいアメリカのバンドも、イギリスのバンドも聴くんで。その三つが混ざった感じなんですかね。

小森:特にサードアルバムの感じとかはGREEN DAYに近い感じもしますしね。軽くてポップな感じとかが。

──アメリカでライブもやったわけですけど、あっちでの反応はどうでしたか。

柳井:ライブはものすごい面白かったですよ。500人くらい入る「ギルマン・ストリート」っていう有名な所があるんですけど、そこでやらせてもらって。ライブ自体はやっぱアメリカにいるっていうだけでものすごいテンション上がってて、その分始まるまではすごい緊張してたんですよ。でも三人で最初の音を「ジャーン」って鳴らした瞬間に違うところに行ってましたね。

──もう吹っ切れたと。

小森:観ている人たちも、すごい盛り上がってくれて。やっぱり拍手の大きさとか、声援が日本と全然違うんですよ。日本だと、曲が終わって拍手があって、それから喋るのを待つみたいなのがあるじゃないですか。

──あっちは話を聞かないんだ(笑)。客層ってどんな感じだったんですか。

小森:モヒカンのパンクスとかもいたけど、あんまり若い人たちというよりは、濃い感じでしたね(笑)。

柳井:でも、みんな終わった後「良かったよ~」って言ってくれたんですよ。あんなに間近で外国の人と触れ合えることってないし、しかもただ旅行で行ってるんじゃなく、音楽を通 して気持ちを通じ合えたんで最高でしたね。

──アメリカでライブをやってきて、その後気持ちとか変わりましたか?

小森:変わったね。

柳井:それは意識した訳じゃなくて自然と。そんなんで変わるのも悔しいんですけど、明らかに変わったよね。

小森:パワーが違うっていうか。アメリカで今までにないくらいハイエナジーなライブがそこで出来たんですよね、その感覚が日本に帰ってきてからも持続してる感じですね。

──まあ、今回はアメリカでのライブは一つだけだった訳ですけど、これからCDリリースもあるし、もちろん今後も海外を視野に入れての活動は続けていくんですよね。

山上:とりあえず来年はまたアメリカで何本かやりたいですよね。他の国でのツアーっていうのがどんなもんなのかっていうのも知りたいし。

柳井:アメリカツアーはやりたいですね。……というか間違いなくやるでしょうね。今回は一回だけしかやれなかったんですけど、Billieやレーベルの人たちも「まだ来るんだろう」って言ってくれたんで。

小森:そうだね、今度はもっと長く行きたいな。

柳井:今回はとにかくいっぱいいっぱいで、アメリカにいるっていう実感があんまりなかったんですよね。すげ~楽しかったんですけど、実感よりも楽しさの方が上で。日本に帰ってきてから冷静に振り返ってみると「すごいことして来たんだな~」って。

小森:あっちいる間は楽しすぎて寝れなかったですからね。寝てもすぐ目が覚めちゃって。

柳井:ADELINEって基本的にはアメリカの西海岸の一部の地域のバンドばっかりやってて、海外(日本)のバンドをやるっていうのは初めてなんですよ。アメリカの方ではレーベル内のバンドの結束が強くて、本当にファミリーみたいな感じなんですけど、俺らがアメリカ行った時にはそのファミリーの中にちゃんと入れてて。その中にはGREEN DAYもいて。そういうファミリーに「入れてもらってる」んじゃなくて「入ってる」っていうのは嬉しかったですね。そんな経験ってなかなか出来る人はいないじゃないですか。

──たまたまCD渡した所から始まって、本当にすごい経験ですよね。

柳井:もちろんそれは自分たちが動いたからこそ得られたチャンスなんだけど、そういうチャンスをちゃんとつかめてきたと思うんですよ。「俺たちは出来るんだ」ってことですね。

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