“ドリカム・ミーツ・ハードロック”なバンド!?
──3曲とも感触が全く違うし、このヴァラエティ感からして相当に聴き応えのあるシングルですよね。
加藤:よく出してくれたなぁと思いますね、メジャーの人が。よくOKしてくれたと思いますよ、ホントに。
──他にもいろいろと候補があってのこの3曲なんですか?
堤:いや、結構トントントンと決まりましたね。アルバムの曲作りも並行してやってて、候補は何曲かあったけどサラッと決まった感じで。その結果 、いずれも表情が違う3曲が揃ったという。
──今、アルバムの話が出ましたけど、ほぼ仕上がりの状態ですか?
堤:もう完パケです。
──話せる範囲で結構なんですが、次作はどんな塩梅なんでしょう?
堤:シングルが3曲とも違うように、アルバムも10曲全部表情が違いますね。聴けば聴くほど好きになる。知れば知るほど虜になる。そんなアルバムだと自負できますね。
山本:今度のアルバムは自分でも珍しいくらいヘヴィ・ローテーションして聴いてますよ。『青いカラス』の時は俺、そんなに自分で聴かなかったんですよ。
堤:まぁ、バンドを結成してからライヴでずっとやっとった曲が『青いカラス』になったっていうのもあるよね。全然やってないまっさらな曲が今度のアルバムだし。何というか、違うバンドみたいな感じで聴けますね。
山本:“こんなバンドがあったらいいのに”っていう音なんですよね。自分たちで言うのも何だけど。
──それは期待できそうですね。さて、夏のツアーが終わって、ロフトではフラワーカンパニーズとの〈SATURDAY NIGHT R&R SHOW〉が控えてますが。
堤:そうですね。俺は昔からリスナーとしてすっごく好きだから、一ファンとして。
──誌面を通じて、フラカンの皆さんに何かメッセージがあれば。
山本:グレート(マエカワ)さんに、「今度その繋ぎを貸して下さい 」って。あ、あれはオーバーオールか。
堤:俺も同じくグレートさんに、「モノポリーいつするんですか? 連絡ください」と。
──モノポリーっすか?(笑) でも一ファンから始まって、こうして同じイベントで共演できるまでになるとは、感無量 ですよね。
堤:そうですね。
──他に対バンしてみたいバンドは?
堤:ドリカムですね!
──エエッ! マジですか!?
堤:本気ですよ。結構どこでも言ってるんですよ、実現しないかなぁと思いながら。
──〈ドリカムワンダーランド〉に出たいと?(笑)
堤:出たいですよ、オープニング・アクトとして(笑)。あとはウルフルズとかスピッツとか、中学とか高校時代にそのラインをずっと聴いてたから対バンしたいですね。やっぱ憧れじゃないですか。
──Bivattcheeの音楽的要である加藤さんは、完全に洋楽志向だったんですよね?
加藤:そうですね。邦楽はほとんど聴いてこなかった。グランジとかが出てくる前のハードロック世代で、ギターは速く弾ければいいだろうって思ってた時期もありました(笑)。
──イングヴェイ・マルムスティーンのように(笑)。
加藤:そうそう(笑)。『YOUNG GUITAR』は今でも読んでますから。
──そういう音楽的ルーツを考えると…不思議なバランスで成り立ってるバンドですよね。
加藤:ドリカムとハードロックですからね。“ドリカム・ミーツ・ハードロック”って書いてもらう?
一同 :(笑)
引き出しの多さがBivattcheeの強み
──今まさに日本語パンクが隆盛を誇る時期で、Bivattcheeもその文脈のなかで語られることが多々あると思いますが、自分たちを“パンク・バンド”として捉えてますか?
堤:ないっすねェ。
加藤:次のアルバムを聴いてもらえればより判ると思うんですけど、パンキッシュな曲って実は余りないんですよね。8ビートの速い曲をやれば、それが何でもかんでもパンク・ロックというひとつのジャンルとして今は括られてますけど、それはちょっと違うだろうと思いますよ。
──確かに、今チャートを賑わせているパンクと称される音楽は、オリジナル・パンクとは似て非なるものだと個人的には思いますけどね。
加藤:ですよね。
堤:ハッ? って感じですよね。最近は恰好いいバンドが少ないですよね。
加藤:ロックをやってるのに、余り恰好つけようとしないでしょ。「等身大でいいじゃん」みたいにありのままの姿を強調して言うけど、等身大の意味をはき違えている気がする。
堤:それか、余りに恰好つけすぎて訳判んないのかもな(笑)。
──ああ、やりすぎて一回転しちゃったと?(笑)
加藤:僕らは基本的には歌モノですよね。歌がまずあって、それを盛り立てるための速いリフだったり、8ビートだったりが曲に馴染んだからそれを選んでいるわけで。“このアレンジじゃちょっとパンクっぽくないんじゃない?”っていうのもないし。
──改めて今回のシングルの聴かせどころを伺って締めたいと思うんですが。
堤:3曲とも三者三様の表情があったり、今度のアルバムでも傾向の違う10曲を揃えたり、そういう引き出しの多さが俺らの強みだと思うんですよ。Bivattcheeというフィールド、Bivattcheeというジャンルの。どんなスタイルでも、どんな形でも、聴いてくれる人の好きなBivattcheeを選んでもらえればいいかなと。これからも楽しみにして下さい。
加藤:これまでの『青春の炎』から今回の『プラスチックモーニング』まで繋がりがちゃんとあるので、その辺をよく聴いてほしいですね。単なるシングル・カットとかじゃないんで。「青春の炎」は次のアルバムには入らないし、シングルは独立した一作品として出しているので、是非聴いて下さい。
山本:今回のシングルは、聴く時は必ず歌詞カードを見ながら聴いてほしいと思います。5倍、いや10倍僕らの世界に入ってこれるんじゃないかと。
田代:「750キラー」っていう曲はですね、750のバイクを想像してもらうと困るんですよ。750のバイクよりも速い350ccなの、ホントは。
堤:それすなわち、“カストロローザー”。
一同 :(笑)