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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ズボンズ×オーサカ=モノレール(2003年6月号)- オーサカ=モノレールはすごく良かったです

オーサカ=モノレールはすごく良かったです

2003.06.01

殺されないようにがんばります(笑)(中田)

07_3.jpgDON:オーサカ=モノレールは、ふだんはどんな感じでやってんの?

中田:大阪にいるときは、定期的にクラブ・イベントをやってたんですけど、それは去年まででお休みしてて。だから、最近は夜中にやることが少ないですね。クラブ・イベント自体が、下火になってきたのかもしれないけど。ふだんは、ライブハウスって感じですか?

DON:いまは、そうだね。

中田:日本中、あっちこっち行くような。

DON:まあ、そうでもないけど。でも、演奏するのはとにかく楽しいから、俺としては1日でも多くステージに立ってたいんだよね。ステージに立ってない日は、ムダな気がする。ただ、いまは、ファンキーな感じではないけどね。

中田:曲はどういうふうに作ってるんですか? やり方はいろいろあると思うんですよ。たとえば簡単なメロディとかベースラインがあって、それに沿ってやっていくとか…。

DON:えーとね、わかんないんだよね。説明しがたいというか、あんまり考えてやってないから。スタジオに入るときも、まったく何も決まってないことが多いし。そうだなあ……まず俺がワッと弾きだして、それにみんながどう反応するかで、曲になるかならないかが決まるっていう感じかな。そのまま30分やっても何も生まれなかったら「ダメだね」ってことになる。で、何かが出てきそうなときに、それをどうつかんでいくかっていう。おそらく、それが俺の役割だろうね。だから、知らないメンバー同士でも、1時間くらい音を出してたら、曲を作るってことはできると思う。いま、ズボンズとは別 に「FUTURE JAM」っていうのをやってるんだけど、それは、まさにそれなんだよね。客がいる前で、知り合いといっしょにステージ立って、そこで何かが起こるかっていう。

中田:なるほど。おもしろそうですね。

DON:おもしろいよ。この前は、(元)くるりのドラムとDMBQの増子君、あとは俺とズボンズのベースだったんだけど、決めごとは作らずに、自由に音を出していく。「いま、凄く良かった気がするから、ホントはどうだったのかなあ」って思ったりして。ズボンズも、けっこうそんな感じかな。もちろん、うまくまとまっていけばいいなっていうのもあるだけど、演奏して演奏して演奏して、その果 てに何があるかっていうのを見たいって気持ちもあって。「俺は、神に近づけるんだろうか?」って感じかな。

中田:音楽っていうのは、なんかわからんけど、ふたつあると思うんですよ。こうやって(と、ピアノを弾くマネ)、「ここのコードはこうで、フレーズはこうで」ってやってくのと、とにかくグワーっと音を出していくのと。僕は、絶対に後者のほうだと思うんですよね。お客さんが聴いておもしろいかどうかは別 の話ですけど、それが純音楽なんじゃないかなと。大昔の人がガンガン太鼓をたたきながら「朝ですよ~!」って知らせてたのに近いというか。たとえばね、「マイルス・デイビスが新しい音楽をいっぱい作った」ってよく言われるけど、それを誰がやってたかっていったら、バンドのメンバーがやってたわけですよね。別 にマイルス・デイビスが….。

DON:譜面を書いてたわけじゃないから。

中田:そういうことですよね。バンド・メンバーが反応しあって、インプロビゼーションをやったわけで。僕らにしても、ショーアップしてダーン!とやりたいっていうのもあるんですけど、やっぱり演奏に没頭いてるときがいちばん楽しいですから。

DON:あのさあ、今度、オーサカ=モノレールに出てもらう「ZOO JAM」っていうのは、ジャムをやるのが前提で。モノレールがやって、ズボンズがやって、最後はジャム・セッション。

中田:あ、そうなんですか。はよ言うてくださいよ(笑)。

DON:そこで何をやろうか考えてるんだけど。どうしたもんかねえ?

中田:まったく何も決めず、いきなりやりましょうって感じですか?

DON:まあ、それだと俺たちにはかなり簡単なんだけど。もしくは、あらかじめグルーヴのもとになるようなものを渡しておいて、それに沿った形で考えてきてもらうっていうのもあるけど。それは、好きなほうでいいよ。

中田:たぶん、後のやり方のほうがいいような気がしますね。でも、いっしょに何かやるっていうのは、いいですね。

DON:そうだよね。ほら、イベントなんかに出てもさあ、楽屋でちょっと話をするくらいで、いっしょに音を出すってことはほとんどないじゃない。俺はさあ、ミュージシャンの話を聞くだけじゃなくて、その人のやってる音楽に対して、自分がどういう反応をするかってことに興味があるんだよ。実際に音楽をやった上での情報交換というか。それを、ステージの上でやりたい。そういうことが少なすぎるから。

中田:そう思います。

DON:たとえばジミヘンだってさ、デビューする前には毎晩のようにジャム・セッションをやってて。そこで腕も鍛えられるし、知り合いも増えるってことがあったわけだよね。いまでも欧米では、それは普通 のことであって。ただ日本ではなかなか…。俺としては、その日その日をスペシャルな感じにしたいからさあ。「そのときにしか見られない」っていうのが大事で、そのためにライブをやってるんだから。ただレコードを再現するためにやってるわけじゃないでしょ?

中田:そうですね。何かハプニングみたいなものがないと、腐っていきそうですよね。

DON:そうそう。刺激っていうのは常に自分のなかにあるわけじゃないから、外からの異分子っていうのも必要で。それが入ってきたときに、何が起きるかっていう…。まあ、何も起こらないこともあるけどね。ただ、俺たちもそうなんだけど、同じようなことばっかりやってると、だんだん客の反応のほうにフォーカスしちゃうってことがあって。自分たちがどんな音を出せてるかってことと、客の反応は、本来、別 の話じゃない。でも、同じメニューをこなしちゃうと、そうなっちゃうんだよね。若いときは演奏できればそれでいいのかもしれないけど、俺たちもそんなに若いわけじゃないし、やり方も変えていかないと。それに、ジャム・セッションってやっぱりおもしろんだよ、肌を合わせるというか、試合みたいな感じで。じゃあ、やってみますか?

中田:はい。殺されないようにがんばります(笑)。

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